Day3-2 接触
「で、お前は何に協力してほしいんだ?」
「……僕は昨日、予言を聞いた」
「いきなり何の話だ?」
そう、昨日。仙煌が勝手に何処かに行った後の話だ。
―――
「会ったんだから一緒に攻略したってよくないか?」
僕がホテルを出て、走り出した直後だった。
イヤホンに謎の音声が流れたのだ。周囲に敵はいなかったため、反応が遅れることはなかった。
〈……あー、あー。聴こえるか?リミヤ……とかいう少年〉
「……は?」
成人男性の声。この時の僕の「は?」はどちらかというと恐怖が多分に含まれていた。姿無き声と、深まった未知への恐怖が。
〈お前の声は聞こえてるから心配はいらねーよ。ま、初対面の相手に開口一番「は?」はどうかと思うけどな〉
耳も同然の機器に勝手にアクセスしている謎の存在には言われたくない。
「……あなた、誰ですか?なんで僕の名前を?」
〈詳しいこたぁあんまり言えねえ。ただ、俺はこのゲームの運営と敵対してるってことは言っておく。あ、敬語は外せ、ムカつくから〉
「分かり……分かった」
危なかった。未知の空間で未知の存在を怒らせるなんざ愚行が過ぎる。
〈それでいい。さて、わざわざお前の通信に割り込んだのは訳がある……当たり前か〉
「一人ツッコミをする前に用件をさっさと話してくだ……くれ。」
〈うるせえな、せっかちかよ。分かった、手短に話す〉
一呼吸を置いて、謎の存在は言った。
〈お前の親友の憑者、凪。そいつを守ってくれ〉
「憑者を……守る?何から?というか、他人の憑者と意思疎通なんて図れるのか?」
〈憑者同士なら出来る。誰から……つったら、そりゃあ――〉
直後、謎の存在は、僕を言葉で抉ってきた。
〈お前の親友、センコウからだ〉
親しかった人から唐突に鈍器で殴られた気分だった。仙煌から、仙煌の憑者を守れと?
〈……どうした?何かあるなら聞いてやるよ〉
「憑者を、その依者から守るだと?何を言ってるんだ?」
〈色々あるんだが、最大の理由は奴の適応能力だ。ほっとくと近いうちに、凪が消失しちまう〉
「じゃ本人の素質だろ!?仙煌の適応能力がヤバいのは昔から知ってる!でも、適応の止め方なんて分かるわけない!」
〈これまでの流れを見てきた結果、センコウには危機に陥った際に何かしらの補正がかかる。そしてこっち側の技術による予想によれば、その補正が途切れることはない〉
「急に何の話か分からないし……予想?補正?言ってることがさっぱりだ!」
〈……例えるなら、そうだな〉
放たれたのは、明らかに現実には似つかわしく無い単語だった。
〈センコウ。奴には恐らく、主人公補正がある〉
「主人公……補正?」
漫画やアニメでも直接言及されることは少ない、基本的にファンの会話でしか使われないような単語。
「じゃあ、仙煌は……」
〈そういうことだ〉
謎の存在と、認識が合致する。
「このゲームの、主人公なのか……?」
〈このゲームの、主人公だ〉




