大陸編 5幕 最強と最狂
「強いとは言ったけどさぁ…」
俺が闘技場に目を向けると、
そこには手から血を滴らせている塚野が映る。
「剣聖が素手で圧倒するなよ…」
ここは王国外れにあるコロシアム。
大きさは半径150mくらいのお馴染みの形のやつ。
その真ん中にある半径50mの円形のリングから
塚野がゆっくりと去っていく。
「こりゃ、優勝はあのゴツイので決まりだな。」
と、ソラが漏らすが絆那が即座に否定する。
「いや、まだ『最強』を見ただけだ。
多分、次は『最狂』の試合だぞ。」
絆那の予想通り、斧を担いだドワーフと
大和が同時に入場してくる。
ソラが「あれが?」と聞いてくるが、
まぁ無理もない。
さっきまで一緒に武器を弄ってた奴が
めちゃんこ強いなんて信じられないもんな。
そして、開始の銅鑼が鳴った
その刹那、
ドワーフの背後に大和が立ったかと思えば、
ドワーフの腹から鮮血が吹き出す。
「ありゃ、やりすぎた?」
この光景を見たソラが息を詰まらせる。
裏から出てきた5人のエルフが
ドワーフの身体に治癒魔法をかけながら、
担架で運んでいく。
「な?」
俺がソラに指を立てながら言うのと同時に、
大和は短剣に着いた血を振り落とし、鞘にしまう。
次は決勝…
塚野と大和の試合。
勝率は大和が6割ってとこかな。
2時間後
ゆっくりと2人が入場してくる。
互いに中心に立ち、一礼した後
少し距離を離して向き合う。
あとは銅鑼を待つのみ…
だったはずが、思いがけない乱入者が現れる。
「やぁ、下界の子供達。
元気だったかい?」
ロキだ。
ロキがコロシアムの縁に頬づえをついて座っている。
なんで今更ここに?!
俺が剣を抜こうとするが、冷静になり、収める。
「うん、正解だ。」
ロキはコロシアムの中心上空に浮かぶ。
「今宵、闘技場はかつて無いほど熱に塗れるだろう。
今そこに立っている子は僕の傑作だ。
そして、方やこの子は
全く想像していなかったダークホース!
楽しみでしかないだろう?」
「下界の子供達よ、
貴様らは見たくないか?
一体、どちらが最強か…
いや、違うな。
勝者はどちらの『さいきょう』なのか。」
「うるせえ神だぜ。」
「ここまでお膳立てされたら半端な試合出来ねぇよ。」
「私が作り上げた『最強』の戦士と」
「偶然生まれた『最狂』の暗殺者と。」
「どちらが『英雄』となるか。
しかと見届けよ。」
お久しぶりです
霧ヶ峰藤五郎です
気が付けば1年が過ぎましたね。
歳をとったなと感じられます




