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今後(アトル視点)

 もし、キクがそれに気づいたんだとしたら今後の身の振り方を話す必要がある。



 先入観もあるのかもしれないが、クロは目線の配り方立ち振る舞いが普通の人と違う

 普通に暮らしていたら必要のない動きがクロにはある


 チンピラは、悪事を働いた後、疑心暗鬼になり周囲を警戒し始めるが

 そんなお粗末なものとは違う、もっと無駄を省いた磨き上げられた動き。

 クロはごく自然にそして息をするようにそれを行っている。


 一体いくつ修羅場を潜ってきたのか。それだけ身近に危険があるということだ。



 今のところクロは俺たちに害を加える気はないのかもしれない。


 だが一緒にいればクロの抱える厄介事に巻き込まれる可能性が高くなる。

 クロと違い俺たちは身を守る術を知らないから巻き込まれれば命が危ない。


 だから一般人は闇側の人間とは関わろうとしないのだ。



「クロ助か」とつぶやくキクの顔に珍しく険しい表情が浮かんでいる。

「何してるか知らんが、ありゃ良くないの」


 ……やはり気が付いたか。

 まあ、衣服を洗濯するたびに赤く染まるのをみれば怪しいよな。


 そうなってくると今までと状況が変わってくる。

 今まではキクが、クロを疑ってないことで均衡が保たれてきた。


 怪しいクロがここにいるのは、キクが希望したからだ。


 俺もクロも、キクの意思を尊重したのだ。


 この関係が崩れる。



 キクが気付いてしまったからには、自己防衛を優先すべきだ。

 リスクを考えると闇側の人間と寝食共にするなど言語道断。

 速やかに離れなければ。



 それにしても、あんなあからさまなキクの指摘があったが、クロはどう思っただろうか


 その後のクロの沈黙が怖い。



 普段の温和なクロから考えれば、話せば納得して身を引いてくれる気がするが

 もともとが皆殺し予定だったことを考えると、今のうちに逃げた方がいいのかもしれない。

 クロの裏の顔が謎すぎて、予想ができない。


 クロの実力を考えるとよほどうまく策を講じないと逃げきれないだろうな。やっぱり。


 ……俺の剣の修業も中途半端になるな。

 

 毒を食らわば皿までと思っての弟子入りだったが

 案外良い師だった。


 そのことを若干惜しみながら、眉間にしわをよせているキクに今後の提案をしようと口をひらいた。

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