第5話 プライドを探す旅
生きて生還した俺は監獄に帰ってきた。
しかし、誰も俺を出迎えてはくれなかった。
看守達が広めた噂が聞こえたのだろう。
誰も目を合わせず、複数の勇者は俺の俺を見続けていた。
クラリスは死んだ魚の目をしている。
へモンドは瞑想中。
ハンナにいたってはゴキブリを見る目で見ている。
「サキュバスはどうだったんだ?ウヘヘ」
おっさん勇者のドームが声をかけてきた。
普段はやる気ないくせにエロい話になると積極的になるダメ勇者だ。
「別に…何もなかったけど…」
「嘘を言うんじゃねぇ!俺にアッチ系の嘘は通用しねえぞ」
アッチ系ってなんだよ。
おっさん目が怖いって。
何で真面目に答えなきゃなんねぇんだ。
適当にあしらって無視しよう。
それよりへモンドに話を聞くの忘れていたな。
へモンドは相変わらず瞑想タイムのようだ。
瞑想を邪魔すると機嫌が悪くなるし、また明日でいいか。
「オメェならサキュバスのとっておき情報教えてやろうと思ったのに無視はねぇだろぉ…」
………なに…?
サキュバスのとっておき情報…だと…?
待て待て…これは罠かもしれない。
ドームが俺をスケベキャラに仕立て上げようとしているだけかもしれない。
ここは慌てずに冷静に…
「聞かせてもらおうか」
冷静に話を聞こう。
話によって有意義な時間を過ごせるかもしれない。
「へへ…オメェは俺と同じ匂いがするぜぇ」
俺はお前みたいに加齢臭はしない。
それは否定する。
「いいかぁ?サキュバスはこの時間外の自然の雨エリアでシャワーをしてるらしい。それも大勢でだ。看守達もその時間になると自然の雨エリアから離れてその姿を見ないようにしてる。欲を奪われちまうからだ。つまり警備はガラ空きって訳だ」
「つまり…今なら見放題…と言う訳だな」
「その通り」
ドームめ…有意義な時間を過ごせそうじゃねえか。
これは俺の復讐のためにしてる行為だ。
決して寄り道ではない。
これが進む道だ。
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「痛い痛い痛い痛い痛い!」
「お、おい誰か!こいつが腹が痛いって言ってんだけどぉ!」
「な、なんだと!?くそ!勇者のくせに腹を痛めるな!処置室に連れて行け!」
ドームのおっさん。
ナイス演技だったぜ。
俺の腹痛の演技もなかなか上手かったようでゴブリンの看守もまんまと騙されたようだ。
そのまま処置室へ運ばれ、ベッドに横になる。
ここから作戦決行だ。
ドームのおっさん曰く、処置室に運ばれてから15分はベッドの上で放置されるらしい。
なぜかと言うと医療担当のモンスターが監獄から15分ほど離れた場所に駐在しているからだ。
ドームのおっさんが以前酔い潰れた時にタイムを計測していたからだそうだ。
俺は処置室の窓から脱出し、そのまま自然の雨エリアへと急ぐ。
このままゴールまで走り切るのもいいが、それではドスケベすぎて言い訳が効かない。
保険をかけておくという事が今回のミッションでは重要になってくる。
自然の雨エリアへ向かう道中に別の目的を見つけなければ俺は再び他の勇者達から変な目で見られてしまう。
毎朝地形は変動しているが、意地でも見つけてやる…!
見つけなければならないのだ!