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勇者刑務所からの脱出  作者: 象牙
6/6

第6話 雨の恵み

 残り12分。

 タイムオーバーになる前に別の目的を見つけ、一瞬でサキュバスのシャワータイムを見なければならない。

 しばらく進むと看守達がゴロゴロと見回っているエリアに辿り着いた。

 普通の勇者ならばここで引き返すだろうが、俺は引かない。

 ステルスの呪文を使い、透明になり看守達の間を通っていく。


 看守達の警備の厚さ。

 きっとこの先に自然の雨エリアが待っているはずだ。

 この先に桃源郷が…


「おい」


「なんだ?」


 目の前にいたゴブリン看守が突然振り向いた。

 予期せぬ振り向きに俺はブレーキをかける。

 しかし、そのままズルズルと滑っていき、ゴブリン看守の唇に顔が接してしまった。


「今何かが唇に!?」


 オエエエエエエエエ!!!

 ゴ、ゴブリンの茶色い唇が…俺の唇に…!!

 オエエエエエエエエ!!!


「?」


「いや、気のせいか?」


「女に飢えてんだなお前。そろそろ勇者の中にいる女勇者を拷問にかけるだろ。それまでの辛抱だ」


 クソッタレ…

 なんとか誤魔化せたが、俺の唇が汚れてしまった…

 可愛い子とキスするまではとっておきたかったのにファーストがゴブリンなんて絶対言えない。

 この事実はなかったことにしよう。

 イヤ…そうしよう!


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 残り8分。

 そしてようやく自然の雨エリアに到着した。

 そこは俺の待ち望んで…ゴホンゴホン…想定していなかった景色が広がっていた。

 水着を着たサキュバス達が数十人でシャワーを浴びていた。

 この自然の雨エリアは常に雨が降っているため、シャワーに最適な場所である。

 今、目の前ではサキュバス達がシャワーを浴びている…

 この光景を目に焼き付け…ゴホンゴホン…何かに役立つかもしれないから覚えておこう。


 残り5分。

 満足した俺は急いで部屋に戻る事にした。

 そろそろ先生が到着する時間だ。

 ステルスの呪文を使いながらダッシュで戻っていたその時だった。

 途中で地図を見ながら迷っているへモンドを見つけた。

 なぜへモンドがここにいるのか疑問ではあるが今はそれどころではない。

 このままでは警備の厚いこのエリアにいる看守達に見つかってしまうだろう。

 しかし、ここで彼を助ければ戻れる保証はない。

 どうする…

 いや…悩む必要はない。


「おいへモンド。何してんだ」


「お前は…ドスケベ勇者の…」


「その覚え方はやめろ」


 やはりへモンドにも広まってたみたいだ。

 ここで名誉挽回しなければ…


「お前には関係のない事だ…」


「どうせ看守にもらった地図が全然違ってて迷子になってんだろ?」


「な…!なぜそれを!?」


「俺にかかればなんでもお見通し…てね」


 嘘です。

 取引現場見てたからです。

 偶然です。


「ここは警備が厚い。このままじゃ他の看守に見つかってお前は死刑になる。俺はそんなお前を助けにわざわざ来てやったってわけだ」


「ぐ…いらぬ…私は…」


「モンスターと交渉してこのザマじゃあ勇者のプライドがズタズタになっちまう。帰って作戦を立て直そうぜ?」


「…わかった」


「さすが交渉勇者。話が分かる」


 これでへモンドを救出するという大義名分ができた。

 誰もサキュバスのシャワータイムを覗きに行った変態勇者とは思わないはずだ。


 残り2分。

 ここからが正念場だ。

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