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腹ペコ4兄妹ダンジョンに行く〜貧乏農家はお肉が最優先です〜  作者: 熾之


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2 全員集合!避難開始!



 何も生み出さないお肉会議から2週間後、いつも長閑な田舎町はパニックに陥っていた。町民はほとんどが外に出て様子をうかがっている。


 どうやら町内にダンジョンが出現したようだ。しかも、我が家から歩いて10分くらいのところにだ。


 世界中にダンジョンはあるが、いつ・何処に・何でできるのかはわかっていない。


 ただ、ダンジョンから得られる資源は有益な物が多く、曾祖父の病気を治したポーションのように奇跡を起こすような物から、未知の鉱石や植物、肉・野菜・果実などの食品、エネルギーの代わりになる物などさまざまな物が得られる。


 初めて日本に出現して100年ちょっと経った今では、ダンジョンは社会の一部にしっかりと組み込まれていて、仕事として又はエンタメとしてなくてはならない場所となっている。


 そんなダンジョンが田舎に出現したとなってはパニックになっても仕方がない。ここから1番近くのダンジョンまでは車で6時間はかかる。それが歩いて10分のところに出現したとなっては子供達は大興奮だ。



「なぁ、聞いたか、ダンジョンできたって!!」


「聞いてるけど、まだ入れないらしいよ」


「ええ〜、何でだよ!!」


「知らないよ…。防災無線聞こえないから静かにして」



 長男が騒いでいると父親がやって来て家族全員を集合させた。



「これからすぐに町の避難所に避難することになった。各自、着替えや貴重品など持って15分以内に出発できるように準備してくれ!」



 我が家は定期的に避難訓練をしている。10人家族なので誰かがもたつくと他の皆を巻き込んでしまう可能性があるからだ。曾祖父母と祖父母が熱心に避難訓練に参加しているので、子供達も真面目に取り組んでいた。


 非常用持出袋が1人1つ用意してあり、着替えや貴重品も事前に何を持っていくか決めてある。ササッとリュックに詰めると兄妹揃って玄関に向かった。


 外では軽トラの荷台に荷物を積んでいて、曾祖父母が車で他は徒歩で避難所に行くことになる。子供4人と祖父母は集まり次第出発し、両親は荷物の積み込みが終わったら追いかけるかたちになる。


 何事もなければ軽トラが先に到着するので、曾祖父母達に情報収集をしてもらい、わかった事を残りの家族に伝えるというのが我が家のやり方だ。




 追いついて来た両親と合流して避難所に到着すると先ずは曾祖父母を探す。待ち合わせ場所は予め決めてあるのですんなり合流することができた。



「スタンピードが起きる可能性があるってことで避難指示が出たみたいだけど、今のところ何もないわ。山口さんが言うには、ギルドの職員がダンジョンの調査に向かったからもう少しすれば何かわかるかもって」



 曾祖母の芳恵ヨシエが友人達から話を聞いてくれたみたいだ。最悪、この町が魔物に飲み込まれる可能性がある。短時間で必死に調べてくれたようだ。



「1番近くのダンジョンまで車で6時間でしょ。でも、ギルドの職員だともっと早くこっちに到着するみたいなの。たぶん、ヘリコプターね。ダンジョンが出現してすぐにアッチに連絡して職員を呼んだらしいわ」


「しばらくはここで待機で大丈夫ってことでいいか?」


「そうみたいよ。念のため、逃げる準備だけはしておきましょう」



 大人達がそれぞれ知り合いと情報交換している間、子供達は子供達で集まりおしゃべりをする。中学・高校生くらいになると今の状況をしっかりと理解しているため、逃げるとしたらあそこの道を通ったほうがいいとか、出来るだけ離れるにはこっちのほうがいいとか相談している。


 小学校の高学年になるとダンジョンについての授業があるので、子供達は教わった事を思い出しながら話している。小学生のうちは倫理と危機回避のための授業が多いので、そこまで詳しくはないが理解しようと頑張っている。


 スタンピードが自分達の想像よりも危険なことだというのはわかった。だから、こんなにザワザワしてるんだと納得し、ちょっとドキドキしてきた。



 4兄妹は周りの話を聞きながら情報を集め、20分後に両親のもとに戻った。大人達は皆集まって相談中だったので邪魔しないようにしゃがんでいることにした。


 ソワソワと周りを観察しながら待っていると親達の相談も終わったようで、避難所の端に移動して休むことになった。周りの様子からしてそんなに緊迫した状況ではないみたいだ。



「いろんな人に確認したけど、皆知ってることは同じだったな」


「そうだな。今のところ出来ることはないし、ムダに体力を使わないように座って静かにしていよう」



 父の郁斗イクトと祖父の政斗マサトが指示したのでそれに従いつつ、それぞれが聞いた事をあーだった、こーだったと話しだした。



「ダンジョンってさ、魔物がいるんだろ?俺にも倒せるかな?」


「その前に中には入れないよ」


「えぇ〜!!なんでだよ!!」


「さっきも同じ話しなかったっけ?」



 スタンピードに怯えつつ、新しい出来事にワクワクしながら事態が動くのを待っていた。…どうなるんだろう。




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