117/117
第十話
第十話
『食堂』
食堂へとやって来た俺たちは、いつも利用している丸テーブルへと視線を向けた。
まぁ、やはりと言うかなんと言うか、そのテーブルを避けるようにして他の生徒たちは席に着いていた。
同じように避けているのは、桜井さんがお兄さんたちといつも一緒に食事をしている長テーブルか。
呪いでもあるのか?と思うこともあるが、座る場所に困らない。と言えば有益なので特に気にしないことにしている。
「それじゃあ俺は昼飯を買ってくるよ。凛太郎たちは先に席に向かっててくれよ」
「OK幸也」
券売機の方へと向かった幸也と別れを告げ、俺たちは丸テーブルへと歩みを進めた。
「あはは。ついに私も丸テーブルデビューかぁ」
「……え?桜井さん。あの丸テーブルには何かあるのか?」
ボソリと呟いた桜井さんの言葉に、俺は疑問を投げかける。
「あの丸テーブルには何かあるんですか?私も気になってたんですよね」
「有名な先輩たちが使ってた。って話は聞いてたけど……美鈴ちゃんはもしかしてお兄さんから聞いてたりするの?」
俺たち三人の疑問に、桜井は軽く苦笑いをしながら言葉を返した。