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間話 休んでください

読んでくださった方ありがとうございます

茶色の軽いくせっけ、小さな背、そばかすだらけの頬

どもりやすいせいかく

どれも自分の嫌いなところ


いま、うとうとと舟をこぎ始めたこの部屋の主人

彼女は、綺麗な黒髪に、神秘的な紫の瞳


顔立ちも整っていて肌はあれることを知らない


さっき、自分が運んだカモミールティーは全部飲んである

クッキーは若干残してある

食べきれなかったのだろう


足湯の湯はぬるくなっており、気付かないようにそっと出して足を拭き、履物を履かせる

ラベンダーの香りはかすかに残っている気がする


この主人は、変り者で今日は疲れているようだった

もちろん、変り者というのには根拠がある






主人は、私に向かって掃除してくれることに感謝したのだ

おかしな話だ


貴族が、平民に、感謝するなんて変な話


でも、悪い気はしなかった

本当に悪い気はしなかった


昔から、感謝というものをされたことは無かった

家では、母はいつもおらず、ずっとアルコールを飲んでいる父と過ごしていた

殴られて、蹴られてなんてよくある話


別に不幸とかは、思っていなかった


ある日、怪我した私にクロッカス家の人が薬をくれた

本当は、お金を取るけど内緒だと、立派な服を着た人は言った

私よりも小さなお嬢様が作ったと聞いた


なんとも思わなかった

けれど、傷だけは消えていった

あっという間のことだった



その後、いろいろ縁があり、お貴族様方がたくさんいる学園で働くこととなった


それでも、褒められることは無かった

むしろ、存在さえ気にかけられなかった

まあ、私なんてそんなものだ


ある年から、クロッカス家のお嬢様の話題を聞いた

あまり良くないうわさ話だ

そのうわさ話を、皆信じてはいなかった


薬のこと、みんな知っていたもの



けれど、あの時驚きすぎて変なことを口走った気がする

それさえも許した

この人は寛大な人だ


だから、憧れて堂々とした態度を、まねした

どもらなくなり、メイドたちの中でも尊敬の目で見られるようになった


でも、ここまでの意地っ張りはまねできない

この人は、周りに人はいるが結局いつも一人で戦ってしまう


今日も、どうせ一人で頑張りすぎて疲れたのだろう


カミモル侯爵家のお坊ちゃんは、頭はいいが鈍感すぎる

この方が、疲れているのを感じ取ることすらしない

守ってやることすらしないどころか、堂々と浮気している

お相手は、いとこのナーシサス様だ

あの男に、この方はもったいない


可哀そうな方

私は、無力ですができることはしますから


疲れたときは、休んでください



アザミーナにとってナーシサスはクローバの従妹だから別に、いいんじゃないという感じですが

他人から見れば、浮気みたいですね


明日は午前8時に次話投稿します

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