5.悪魔令嬢は、落ち込む
読んでくださった方ありがとうございます。よろしくお願いします
「さっきは何のお話をされていたのですか?」
「クロッカス侯爵家のことについてよ」
「アザミーナ様がかっこよかったです。私のことかばってくださったんです」
ネモフィラちゃんが嬉しそうにクローバ様に笑いかける。その笑みはほとんどの男を虜にさせるような輝きを放っていたが、クローバ様もイケメンオーラを持つ笑みで流しただけだった
「俺もそれ見たかったな。アザミーナ様は優しい人だからきっとあなたの困っている姿を見て、助けずにはいれなかったんですよ」
私はその言葉に、意識を向けた。冷静な思考になるとこれ以上はまずいと踏みとどまった。そもそも、彼女とはこんなに関わってはいけない。私はこの物語の悪役令嬢だ
この子はいい子過ぎる、これ以上関わったら情が移る。それは、私の計画が失敗することを意味する
「ネモフィラさん、勝手にクロッカス家の名前を出すのはやめなさい」
「でも、あれは……」
「貴族には貴族のやり方があるのよ。あれはここではマナー違反。ルールを無視するゲームはナンセンスよ」
「無意味なんてひどいです。私はアザミーナ様のために」
今にもこぼれそうな水のように涙が青い目にあふれかえりそうになる。私は優しい人なんかじゃない。目的のためにこの子を利用しなくてはならない
「やめて。わたしは優しい人間なんかじゃないわ。あの時はあなたが私の家の名前を出さなければ、土俵に立つ必要さえないような戦いだったの。クローバ様、私この子ともう話したくないわルールのこと教えてあげてくださらない?」
それだけ言って私は二人を置いて先に歩きだした。物語と多少ずれていても私が悪役になればきっとその通りに動き出すに違いない。悪役令嬢と主人公が対立すれば、自然と攻略対象のルートが確立する
そのために私がネモフィラちゃんに友と呼ばれるわけにはいかない
どこに行くかも決めないままに、廊下を彷徨って時間をつぶすことにした
「アザミーナ嬢、クローバと喧嘩でもしたのかい?」
ヒーラギ様が一人で歩いてきた。バードック様といつも一緒にいると思っていたがそんなことは無かったらしい。彼女がいなくても護衛はついているだろう
「ヒーラギ様、関係ありませんわ。何でそこで彼が出てくるのです?」
「昼、あなたと一緒に食事ができると楽しみにしていた。もしかしてまだあっていないのか」
衝撃が胸をついてきた。腹に重い感情が渦巻いてくる。これは罪悪感というものなのか
「クローバ様は、私のことを嫌いなのよ」
罪悪感に飲まれる前に、自分を守るために吐き出した言葉は嫌になるほど醜い
「君は、クローバの何を見ているんだい?まるで、こうあるべきだと理想か……いや、強迫観念というものを持っているんじゃないのか?」
「強迫観念、違うクローバ様はクロッカス家のことを恨んでいる」
「一度彼を思いこみで見るのをやめて話し合ってみたらどうだ」
話し合って何になるかと思ってるのだろうか。私だけじゃなくてクローバ様だって思いこみでこっちを殺そうとしているのに。前だって、私が聞いてもはぐらかされてしまった
何をこれ以上話し合えばいいのだろう
吐き気がするほどの憂鬱が私を襲ってきたのであった
ありがとうございました。明日は午前8時に次話投稿します




