プロローグ1
異世界、そんなとこあるなら一度行ってみたい、日帰りでいいから。
そんなことを思っていると、数少ない友人が。
「なぁ桐風、今日転校生が来るらしいぜ、転校生と言ったら美少女っていうのが定番だろ?」
すかさず俺が。
「そんなに期待すんなよ、男だったらどうすんだよ、ショックがますばかりだぞ!」
「その辺は抜かりなく、女子だという情報がすでに入っている」
へぇー……こいつはいったいどこから情報を入手したのやら。
「なぁ、仮にだが、美少女だったとしてもだな、恋愛経験の無いお前は何もできんだろ?」
聞いてみた。すると口の端を釣り上げ。
「これが俺の嫁だとか言ってフィギュアを愛でたり、画面の中の女の子を眺めているお前よりはよっぽどましだと思うのだが?」
言い返したいところだが周りの視線が気になる。
ーーその時だったーー
ガラガラという音を立てて扉が開けられる。
それと同時に、にぎやかだった教室がすぐさま静けさを取り戻す。
しかし、どこかざわついている。
担任の後ろについて来たのが噂になっていた転校生のようだ。
桜色の髪、整った顔立ちをしていて絶対リア充になるであろうと思われる。
まぁ、俺には関係ないだろう。
教室のそこら中から黄色い歓声が密かに上がっていた(男子中心)。
先生が黒板にチョークを走らせて名前を書き終わった後。
転校生が自己紹介をはじめた。
「私の名前は有馬史絵、地球に降臨した女神なの、私が杖を一振りするだけで地球などたやすく支配できてしまうわよ、分ったなら私のことは女神様と呼び、奉るがいいわ……」
この転校生何かやばい……、おそらくみんな思ったのだろうシーンとした空気が教室中に染み渡っている。
担任も苦笑いである。
その約一時間後(正しくは五秒後)に担任は
「それでは席は……」
あいつの横になるのはやばい、頼む、頼むから隣だけは隣だけはやめてくれ!
心の中で強く願った。
「あなたが私の席の隣ね、これからよろしく!」
ホームルームが終わると足絵(中二病患者)が告げてきた。
どうやら俺の願いは神様には届かなかったらしい。
いったいなぜこんなことになってしまったのだろうか。
ついさっきまで隣が空いているから隣になってくれないかなぁ……、なんて思った自分はどこへ行ったのだろうか。
そりゃ俺だってかわいい子の横がいいと思うさ、それに画面の中の女の子には到底かなわないけど、だってだって、もしかしたら、もしかするじゃん。
俺にだってそういう事考える権利あると思う、いやあるんだよ!
この先まだまだ中二病患者と隣だとか考えただけで先が思いやられる。
この先いったいどうなるのやら……。