四十二話別れ2
頑張ります
拳の雨が俺に降り注いでいる
俺はその拳一つ一つをまともに食らい、後ろにあった大木に強かに体を打ち付けた
グウッ、身体じゅうが痛い、腕や足は折れてなさそうだが肋骨は何本か折れてる、その折れた骨が内臓に突き刺さり俺は血を吐いた、このままじゃまずい、何とかしないと
爺さんは追撃をせず遠くから俺を見ている、余裕ぶりやがって
俺は怒りのまま立ち上がり爺さんに突っ込んでいこうとしたが、身体の違和感に気づく
体が、治ってる?・・・まさか、マルチマジック(多重魔法)か?
俺はクロウが説明してくれたマルチマジックに着いて思い出した
数日前
「いいか零、これから俺の最強魔法を教えてやる、」
「最強魔法?、それってメテオストライクのことか?」
「いや、あれはあれで威力の高い魔法だが、今から唱えるのは文字どうり最強の可能性を持ってる」
「ふーん、どんな魔法なんだ?」
「マルチマジックだ、これは単体の魔法じゃない、簡単に言えば、魔法の重ね掛けだ」
「重ね掛け?、そんなことして何があるんだ、あんまり強そうじゃねえな」
「最後まで話を聞け、例えばヒールだ、普通に使えば小さな傷を治すだけだが、ヒールにヒールを重ね掛けして発動させると、ヒール系最上位であるメガヒールよりも効果が高くなる、また、違う魔法を組み合わせた混合魔法も出来る、さらに、実際に懸けてから発動までを自由にすることも可能だ、つまり、戦闘前にヒールを重ね掛けしておけば戦闘中に負った傷を瞬時に治すことも可能だ、、、どうだ、すごいだろ!」
「凄いことは凄いけど、何で今までしなかったの?」
「忘れてた、テヘペロ」
マルチマジック、使ってたのか、俺は自分の体が異様に軽くなっていることに気づいた、恐らくヘイストも掛かってる、、、これなら、行けるか?
俺は怒涛の勢いで爺に殴り掛かった、爺は一瞬驚いた顔をしたが、すぐに此方のスピードに対応してきた
この爺ほんとに人間か?俺は思考加速を発動させ、さらに心眼も使い、なんとか爺に一撃食らわそうとする
マルチマジックによるヘイストの重ね掛け、思考加速、心眼、この三つを使い爺を攻め立てる、今の俺の速度は音速にすら届いているだろう、その速度で数百、数千の打撃のうちの最後の一撃が、、、、通った
俺の拳は爺の胸に深々と突き刺さり、爺を遥後方に吹き飛ばした
「か、勝った、、、のか?」
吹き飛ばされた爺はピクリとも動かない、俺は動かない爺に警戒しながら近づいていく、サイレスはいつの間にか解けていた
「じ、爺?、い、生きてるか?」
俺が声を掛けると、爺の瞼がピクリと動き、開いた
「ゴフッ、ゴフッれ、零よ、よくやった、最後の連撃は鬼神に通じていたよ、お前の勝ちじゃ」
「、、、俺だけの力じゃねえ、クロウに力を貸してもらってあそこまで行けた」
「それでいいんじゃよ、どんな強者も孤独には勝てん、わしは、お前とクロウの絆の力に敗れたのだから」
「爺!今すぐシェリー連れてくる!、メガヒールならきっとまだ・・・」
「よせ、いいんじゃ、最後の最後でとても綺麗な力を魅せてもらった、わしはな零、ずっと孤独じゃった、嫌、孤独であるように自分から動いたんじゃ、それが強さだと思っとった、じゃが、お前たちを見てわしの価値観と言うものがすべて変わった、孤独は弱さの象徴じゃ、じゃからな零、もしも今以上の力を欲するなら、仲間を頼れ、仲間に頼られたら、力を貸してやれ、素直であれ、、、、そろそろ別れじゃ、最後にわしの「理」をくれてやる、邪心討伐、出来るといいの、、、」
最後にそう呟くと師匠の体は無数の光の玉となり天へ昇って行く、その球の一つが俺に近づくとそのまま体の中へ入って来た、次の瞬間、俺の頭の中に此れまで師匠が経験した戦いが刷り込まれていく、その中で、俺は幾多の戦いを体感していく、これが師匠が言ってた「理」か、、、、有難てえじゃねえか
・・・・零は、アビリティー武蔵流を獲得した・・・
次の日、俺は近くにあった手ごろな大きさの石に宮本武蔵と彫り、師匠が最後に倒れていた場所に置いた
その日はそれだけで終わってしまった、と言うのもマルチマジックのリバウンドが激しく重度の筋肉痛に為っていたのだ
戦闘に支障が出ないまで回復するのはまだかかりそうだった、動けない俺に対してシェリーは優しかった、献身的に俺の介護をしてくれた、このまま二人でいたい、そう思うほど、シェリーは優しかった
次の話で重大な発表があります




