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ドラムとエレキベース

3階から、東階段で2階に下りる。


その間、たけちゃんとアレンジのお話。



「イントロはピアノで、テュッティ、でも

ドラムが入るから。そうそう、エレキベースの

チョッパーもアクセントになるね」と

僕は言う。



たけちゃんは「ドラムはいいけど、大太鼓で。

あんなに早く叩けるかなぁ?」




確かにそうだね、と

僕も思う。



たぶん、バスタムで演奏してるんだろうな、と

僕は想像。




でも、エレキベースは?




「コントラバスのピチカートでできないかな?」と、たけちゃんは階段を下りながら。




2階に到着。




「あれって、チョッパーしたあと

スラーするよね。コントラバスでできるのかな?」と、僕が言うと、たけちゃんは




「うちの学校にコントラバスってあったっけ(笑)」




そうか、と、僕も笑った。




コントラバスが弾ける人がいなければ



エレキベースを弾くしかないけど



「でも、エレキって学校が許すかなぁ」と

たけちゃん。





公立中学なので、僕が

アコースティックギターを持ってくるのでさえ

特例、みたいな感じだった。



田舎だから、まだまだロックとか

エレキって偏見があった。




でも、中山はそこで

ロックオペラを合唱コンクールで

演奏したい、なんて


過激な事を考えた訳だ(笑)。





「凄い奴だな、中山って」と、僕が言うと

たけちゃんは「スーパースターの事?」と

尋ねるので、僕は頷く。




「だって、それで内申書に響く、なんて

考えないのかな。進学」




と言うと、聞いていたしんちゃんは



やっと自分に解る話題になった、と(笑)



「中山ってそういう奴なんだ。[jesus christ superstar]の時も

担任の先生に談判しに行って

夕方まで戻らなかったんだ」



まあ、噂だけど

先生に逆らうと、内申書って言っていた


高校受験の時、成績を書く書類に



悪くかかれると。




それを気にして、先生に逆らわないように

って

考える人もいた。





中山は秀才だから、気にしていないのかもしれないが




(この後県立東高校、という

県内で一番のところへ行き、東京芸大へ行くのだけど。それは、音楽の才能なのだが)。





「なんとなく解るな、僕は。

中山っていい演奏したいだけなんだよ。きっと」




そういうところが、たかたか先生に

好かれたのかもしれない。





音ってなんだろう?

中山は、将来なんて計算しないで

好きな音を演奏したい。



いい奴だ。







僕も、ジャズ、と言うかアドリブが好きだった。



自由に、思い通りに吹くのが好きで



それで、サックスなんかが好きだった。




自由が好きなのかもしれない。



それなので、ロックってそんなに好きじゃない。




決まったフォーマットの中で、勇ましい音を

出すのは



バロック音楽みたいに感じた。


ジャズは好きだけど、それも

ジャズの形に嵌まっているみたいに感じ




一番好きなのは、フュージョン、みたいで



例えば、山下達郎さんの[sparkle]の

間奏に出てくるサックスを真似て吹いたりして。



それなので、さっきもリコーダで



[夏の日の恋’76]を吹くのは

普通に出来る事だった。






2Fの教室について、午後の授業になるけど


アレンジの事で、もう授業にならなかった(笑)。





5時間目の休み時間に、アルトリコーダで





[夏の日の恋’76]の、イントロを吹いて見る。




跳躍があるので、ちょっと

合奏しないと変な感じ。



ピアノを入れればね、せめて。



ピアノの音と、ストリングスの音で

ハーモニーになるんだもの。





そこで、ドラム。



フィル・スペクターのセッションのドラマー、

ハルブレインみたいなダイナミックな音だ。




それをイメージしながら、ベースのフレーズを

アルトリコーダでなぞってみる。




すると。



テニス部の平田が、パタパタと廊下を駆けて

スカートを翻しながら

教室に飛び込んで来た。



「大変、たいへん!中山くんが

職員室で先生と激論してる!」



と、甲高い声で。



放送局だなぁ、と(笑)

噂好きの平田を僕は笑った。




「中山、またやったか」と

サッカー部のシミケンは


シニカルに言った。






平田は、僕のところに来て


「コンクールの自由曲を変えたいって

先生に言ったんだけど。深町くんが

元々の」と。



平田は、いつもそういう考え方をする。




損得とか、責任とか。

大人っぽいのかもしれないが。



その割には、初美ちゃんの想い人、

佐々木秀晃に


勝手に想いを伝えてしまい


佐々木くんが照れてしまって、上手く行かなくなった、なんて

余計な事をする奴だから




僕は、知らん顔してリコーダを吹いていた。



「どうするの!」と、平田がうるさいので


僕は「お前に関係ないだろ?」と、静かに

言った。


「コンクールの話は、中山の考え。

僕は関係ない」と言うと


平田は感情的に金切り声を上げた。




母親がそういうタイプなのだろう(笑)


所謂共依存。



娘につくしているのだから、娘は

言うことを聞く。



そういう、相手の気持ちを無視するタイプで

僕は平田が嫌いだった。



あまりうるさいので、平田の耳のそばで

アルトリコーダをブローしてやった(笑)。



耳を押さえて、平田は静かになった。




6時間目が始まって、中山は戻ってきた。



お坊さんのような静かな表情なので

感情はよくわからない(先祖がお坊さんで僕と同じだ。)





まあ、どうでもいいが。


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