第13話 彼がいないことを考えてしまう
俺は即席で組んだパーティーらと、討伐任務をこなしていたんだが。
任務の内容はホブゴブリンの討伐。適度に排除しないと繫殖期になればたちどころに増えてしまう厄介な魔物だ。
組んだメンバーはそれなりの実力者たちではあったが、ふと、思い出すのはギルドで何回か会った『リアン』。
ソロ活動をメインにする、俺より少し若い青年だが。
あいつ働きぶりを知らない者からすると、特に目立たない輩にしか見えないだろう。だが、俺はそうではないことをよく知っている。
「サファ~。こっち片付いたよ~」
「おぅ。わーった」
とは言え、今は任務に集中しなくてはいけない。目の前の幹部格らしいホブゴブリンの爪での猛攻を薙ぎ払い、同時に胴体を搔っ捌いた。それなりの血が噴き出してきたため、返り血を浴びないように後方に避けておく。
魔物によっては、血液も猛毒扱いになることもあるので食用になるもの以外は触れない方がいい。ホブゴブリンの肉はゴブリン同様に固くて食えやしないので、倒れたら放っておくが。巣の殲滅が必要であれば、同行している魔法使いが炎の魔法で焼却処分してくれることもある。今日はその任務も含んでいたため、討伐証拠を回収してから頼んだ。
『焼き尽くせ』
中堅くらいの魔法使いが杖に魔力を集中して炎を噴射させていくが……近づくと火傷で済まないから、俺とかも距離を置いてその光景を眺める。
気持のいいものじゃないが、こっちだって人間として生きるのに必死なんだから……運が悪かったとしか言えない。リアンだったら、この場合どう対処するのか。俺たちと同じようにするかもしんないが、聞いたことがないのでわからない。
(従魔を傍に置くような雰囲気じゃなかったが)
精霊族のウルフディアを従えるあたり、余程『セイ』と名付けたあいつを気に入ったのかもしれない。ソロ活動をメインにしているリアンの邪魔にならないくらい、賢いのだろう。テイムして契約すれば、『念話』で会話は出来るから問題ないにしても……出会った頃の、つんけんした態度とは大違いだ。
『パーティーの勧誘? 悪いが、断る』
護衛任務はともかく、CかDだとしても実力がそれなりにあるのにソロ活動をメインにするリアン。
あいつの実力を目にしたのは、たまたま別任務のときにリアンがオークを討伐していた時だ。
短剣二本で、鮮やかに胴体を掻っ捌く姿は……舞のようにも見えた。純粋に、すげぇとしか思えなかったが、そんな戦法も有りなんだと感心するばかり。だから、まあ、いっしょに組んでみたい理由のひとつはあったけど……セイに、先を越されちまったな。
それかセイを得て、いくらか落ち着いた気持ちになれたかもしれない。
(あ~あ。まあ、いつまで今の街にいるかもわかんねぇし? 俺ってこんな執着心ある奴だっけか?)
さっぱりした性格だなとかはよく言われたりするけど。俺だって、ただの人間だ。欲しいものは欲しいし、そのために努力しようとするのは惜しまない。
だけど、リアンの攻略はなかなか難しそうだからな……。セイが増えたことで、同行志願をしても前のように断られる可能性は高い。
とりあえず、今は目の前の任務が完了するまで待つしかない。燃え方がいくらか落ち着いたあたりで、今度は水魔法で鎮火させてやれば……焦げた臭いは仕方ないが、山火事にならないようには消火出来たようだ。
「よっし。皆、街に戻るぞー」
今回組んだパーティーの『リーダー』としては、きちんと指示を出さなくちゃなんない。リアンと組めば、あの妙技を色々見たい気持ちはあったが……多分、ペアで組む申請をしても断られそうだなあ? 何回か押しかけるようにして交流はしていても、一定の緊張感があるようだし。
男に恋しているわけじゃないけど、出来ればいっしょに仕事がしてみたい。
この願望……いつか叶えることが出来るだろうか??
次回は火曜日〜




