↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あなたの知らない世界  作者: はまゆう


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
34/34

第33話 外れるヘルメット――エル・ペル=ワカの王墓に並んだ、小さな戦士

グアテマラ北部、ペテンの密林。サン・ペドロ川のほとりに、マヤの都市エル・ペル=ワカがある。古典期の都で、紀元前500年頃から西暦800年頃まで栄えた。

2006年、考古学者ミシェル・リッチらの調査隊は、ピラミッドO14-04の中で封印された墓を開いた。埋葬39。石室が閉じられたのは、およそ西暦650年頃。今から約1400年前です。

王の足もとには、土偶が円を描くように23体、並べられていました。その中の一体が、ほかと違っていました。頭の兜が、外れるのです。

ぴったり合う、もう一つの頭

人形は粘土を型と手で成形し、焼いたものです。兜は別部品。顔の上にかぶせると、円い眼当てと開口部が重なり、まるで儀式用の防護面のようになります。外すと、下から別の顔が出る。遊びではなく、合わせ目が正確です。

この一体は、宮廷の小人(ドワーフ)を表していると考えられています。マヤの宮廷で小人は、道化ではありません。王の側近であり、霊的な仲介者でもありました。兜を着けた小人は、儀礼的な格闘、あるいは雨を呼ぶための戦いの準備をしている、という読みが有力です。

同じ円陣には、鹿の兜をかぶった小人、巻貝のラッパを持つ者、書記、貴婦人、恍惚の表情の女性シャーマンもいます。王の復活や、トウモロコシの再生を演じる宮廷劇を、土で固定した模型だ、と見る研究者がいます。

なぜ外れるのか

マヤの墓からは、着脱式の頭飾りを持つ土偶がほかにも出ます。カンペチェのハイナ島様式では、球戯者の羽根飾りが外れる例があります。ベラクルス沿岸のノピロアでも、ヘルメットが別部品の立像があります。

共通するのは、「完成した姿」と「素顔」を一つの人形が持てることです。祭りの最中、役者が仮面を外す瞬間を、焼き物が再現しているのかもしれません。あるいは、死後の儀礼で、被葬者の前で人形を動かして見せたのかもしれません。紐や革は残っていないので、動かし方までは分かりません。

テオティワカンにも、関節で手足が動く土偶や、兜をかぶった頭部はあります。都市の職人は、人体を部品に分けて作りました。ただし、今回話題になっている「外れるヘルメットの小人」は、太陽と月のピラミッドの下から出たものではありません。画像がテオティワカン付きで拡散しただけの、取り違えです。

墓の中の劇場

埋葬39の23体は、副葬品というより配役です。王が死んだあと、宮廷は一つの場面を土で残しました。

兜を外す。顔が現れる。雨を呼び、地下へ通じ、王を再生させる。

エル・ペル=ワカの小さな戦士は、こう残っています。

1500年前の宮廷は、仮面を「被るもの」だけでなく、「外して見せるもの」として設計していた、と。


※画像はInstagramに載せてあります。

https://www.instagram.com/p/DeD3yfun5Ji/?mdxt=MTlvYXB1NjRhemN5NA==

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。