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佐久間五十六厳選ヒューマンストーリー集  作者: 佐久間五十六


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不思議な人

 留土羅が本宮修子に惹かれる様になったのには勿論理由がある。見た目以上に親切な所が、留土羅には響いた。そうした目に見えない肌で感じる様な部分より、もっと深い心の奥に留土羅は惹かれた。

 それが"安らぎ"である。留土羅は本宮修子に対して何とも言えない安らぎを感じる様になっていたのである。何とも言えない不思議な感情を二人とも感じていた。勿論、初めからその様な感情を持っていた訳ではない。

 会社で毎日顔を合わせる事で培われた自然な愛情である。留土羅の心の中には本宮修子以外に入る余地を残していなかった。この感覚はちひろやひかるの時には感じなかったものであり、ただ同期だからと言う事でもどうやら無かった。

 この気持ちを恋だと思える様になるまで、それなりの時間を擁した事は言うに及ばず、今思えば本当に本宮修子を愛せているのか分からない所があった。好きだ嫌いだと言う従来の恋愛感情では図れない恋をしていた。これは言うなれば本能的な恋であった。だから留土羅はどうする事も出来なかった。

 反対に本宮修子は阿野留土羅と言う人間をどう評価していたのか?結論から言えばアウトオブ眼中だった。留土羅に魅力を感じつつも、彼女自身が恋愛モードを閉じていた事に原因があった。仕事が軌道に乗るまでは、男にうつつをぬかしている場合では無い。そう思っていた。

 かなり古風な考え方だが、そうやって仕事をしていれば上司からの評判は確かに上がる。それが自然に出来る所が本宮の長所であった。一見すると欠点は無さそうだが、程よく砕けてミスもする。まるで四面楚歌を絵に書いた様な人である。不思議な人間で、会社で確たる地位を築いていた。

 そんな彼女の恋愛は目を当てられないものと言え、留土羅としては長期戦を覚悟で粘り強くやっていくしか無かった。こうした長期戦は留土羅にしても初めての経験で、難攻不落の城を落とす様なスリリングな恋は刺激的で、新鮮な感覚であった。仕事は仕事。恋は恋。と、留土羅には緒戦で培われたスイッチの切り替え法が出来ているかが問われる所であった。

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