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佐久間五十六厳選ヒューマンストーリー集  作者: 佐久間五十六


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習うより慣れろ

 本宮修子は仕事が出来る割には不思議と彼氏がいなかった。学生時代には人並みに恋をした事もあったが、両想いのアツアツとはいかなかった。そうやって行く内に、「男なんていなくても幸せに人生は送れる」等と言う間違った価値観を持つようになったのが、彼女の悲劇の始まりであった。勉強や仕事にしか自分の活路を見出だせずに、潤いを無くしていた。

 干物女のレッテルを貼られるも何のその。我が道を進む姿勢は社会人になっても変わらなかった。勉強が仕事に変わっただけで、彼女の生活に劇的な期待していたほどの変化は無かった。時が経つほどにどんどん乾いていくのが分かる。もう恋など出来ないだろう。そう思っていたが、言うほどルックスは悪くない。スタイルもそれなりだ。

 本宮修子が恋を出来ないのは、内面的な事が理由の様だ。どうせ私なんて。と卑屈になり、負のオーラ全開に包まれた彼女は異性を自ら遠ざけている事に気が付かなかった。負のスパイラルに陥った彼女を救うには、自らの行動をドロドロの観念を捨て去り、異性に対してもっと前向きにならねばならない。

 それ以外に方法は無い。勿論、本宮修子本人が一番それを知っており、重々承知していた。しかし、彼女を変えるきっかけが無かった。チャンスさえ掴めれば、ワンチャン可能性はあった。異性をガン無視してきた本宮修子だが、女の顔を見せる事は何度もあった。乙女心も捨てられた訳ではない。だが、神様は本宮修子の望む通り異性を遠ざけていた。

 どうしてもチャンスが欲しい。だが、そう簡単に人は変われない。長年染み付いた負のスパイラルは1日2日で改善する様な代物ではなく、長いスパンで変えていくしか方法は無かった。習うより慣れろの如くとにかく、自分の思考をどうにか変える事から始めなければならなかった。

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