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佐久間五十六厳選ヒューマンストーリー集  作者: 佐久間五十六


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本宮修子の思考

 本宮修子―難関私立大学を優等で卒業出来る力を持ちながらも、この就職難の煽りを受けて就職活動では、30社以上受けるも内定ゼロ。ハードルを中小企業に下げてようやく辿り着いたのが、亜細亜出版であった。

 どーしても大企業のネームブランドと高給に引かれていた事を面接官に見透かされていたのかもしれない。そんな事を今更知っても後の祭りである。小さな頃から人一倍勉強だけは頑張った。小学校のテストでは100点が当たり前だった。中学・高校に入ってもオール5と、成績に文句のつけようは無かった。大学も推薦で入り挫折をしたことが無かった。

 良い成績を取れば良い人生を拓ける。現代の受験競争で育ってしまった世代にありがちな間違った価値観を持ってしまった事が根底にはあった。世間は広い。見渡せば本宮よりも勉強の出来る人等、はいて捨てる程いる。それに就職試験で大切なのは人間性である。その事を理解しないまま就職試験に臨んでも内定は出ない。

 本宮は、確かに成績抜群であったが、その人間性を理解しないまま就職試験を受け続けた為、大手企業に落ち続けた。ある意味ではそう言った名だたる企業ではなく、新興勢力的な中小企業に本宮の様な人材が流れるのは吉と出るかもしれない。

 優秀な人材が大企業にばかり流れるのは良い事ではない。社会にとってはバランス良く人材が流れる方が良い。中小企業とは言え、人材が枯渇すれば破綻するし、大企業を支える中小企業をその様な風に放っておけば、そもそも社会が成り立たない。バランスの取れた人材が大企業のキャパシティを上回るから、本宮修子の様な人材が中小企業に流れるのである。

 学生の側も大企業に入社して上を目指すだけが人生では無いと言う事を教育されるべきである。また、それを理解する柔軟な考え方が人生を豊かにする。本宮修子は不本意ながら亜細亜出版にやって来たが、何故亜細亜出版なのか?それは人智の及ばない運命と言う力が作用したのかもしれない。そんな事は本宮にはどうでも良かった。内定をくれたから来た。ただそれだけの事である。

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