一般入試組
青龍は大学共通テストを終えて一安心していた奥野永作に対して、水菜美とのデート写真を嫌がらせの様に見せびらかしていた。
「これが東京スカイツリーのお膝元のソラマチだ。どうだ?良いだろ?」
「あのさ、俺はまだ受験競争のまっただ中にいるんだ。茶化すつもりなら帰る。」
「まぁ、まぁ、他人がイチャついてる写真はまだしも、風景写真を見るのは気分転換になると思ってさ。俺は悪気がある訳じゃないんだ。」
「ほとんどの写真水菜美ちゃんかお前写ってますけど?」
「モチベーションになるだろ?こう言う事してやるって。」
「まぁ、そうとも言えなくも無いが、今の俺には毒素だな。」
「ところで大学共通テストどうだったんだよ?自己採点したんだろ?」
「とりあえず志望校の合格ラインには届いているみたいだけど…。」
「手応え無さそうだな?まぁ、奥野はいつも本番には弱いタイプだからな。」
「落ちたら落ちたで浪人するつもりはないから、青龍と同じ就職組だよ。」
「志望校一択なんだ?」
「まぁ、そうなるな。」
「野球で飯は食えないだろ?だったら学歴勝負だろ?」
「お前もちゃんと先の事考えていたんだな?」
「当たり前だ。」
「俺の様な一般入試組がきっと一番バタつくんだよな。」
「確かに推薦組は10、11月には、入学決まっちゃうもんな?」
「それに比べて俺達一般入試組は決まるの2、3月だもんな。」
「就職が実は安パイだったりして。」
「そうかもな。でも勉強キツいのは今だけだから。頑張れるのは今しかない。」
「そうだな。あと少し二次試験だけだ?」
「え?奥野まさか国公立目指しているの?」
「大分背伸びしたがな。」
「それより青龍に聞きたい事がある。」
「何だよ?」
「この先青龍と水菜美ちゃんはどうするつもりなのかなって?」
「そんな事お前が知ったって、二束三文にもならないだろ?」
「まぁ、そうなんだけどさ、実際プチ遠距離恋愛に成る訳じゃん?」
「確かに。」
「会えるのは週末だけじゃん?」
「いや、それも分からん。仕事慣れるまでは会えないからな。」
「そんな苦労をしているのに、水菜美ちゃんは大学と言う人生で最も楽しいフェイズに入る。」
「青龍?それがどういう事を意味するか、分かっているよな?」
「水菜美はモテるからな。」
「それ分かっていて水菜美ちゃんを行かすのか?」
「見くびられて浮気されるなら、俺はその程度の男って事になる。」
「そうならない様に水菜美ちゃんをしっかり捕まえとかなきゃだぞ?」
「余計なお世話だぜ。まぁ、勉強中の所邪魔して悪かったな。」
「おう。くそ食らえだぜ。」




