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第10食目:ティルマモメのジュース

「まあ、そんな物騒ぶっそうな話よりも、ルピア、カリスナダさんのご飯、めっちゃ旨いですよ。私はもろこしに対する偏見を改めました」


「あ、うん。その反応は読んでたんだ」

ルピアが呆れ顔。

「本当にご飯以外どうでも良いんだね。清々しいな」


「学園生では無いんですよね。候補生自らがそんな事するとは思えませんし。先生も有り得ない。だとしたら私の知らん人なのでどうでもいいです」

「……頭は回るけれども」

「まあ良いじゃないか、実際ミルとは面識が無いやつだろ?」


なんでも、学園の掃除担当だったらしいですが、わたしには関係ないのです。

それよりも


「美味しいでしょ!ルピア!」

「……カリスナダさん、なんでこんなにご飯作るの上手いんですか?」


ルピアはまた涙を流しながら美味しそうに食べていた。



翌日は学園がお休み。

「休みの日ってなにをするのですか?ショッピング?」

「ああ、ちょうど明日はショッピングね。学園生は外歩けないの。でも服は欲しいわよね。例え着る機会があまりなくてもね。他にも必要な物はいっぱいあるわ。大抵の物は学園が用意してくれるけど、みんなと一緒とか嫌だし。そんな学園生の為にバザーが、月に一回校庭で行われるの」


「おお。また楽しそう。屋台は来ますか!?」

「ええ。給食もないしね」

「最高ですね!早速行きましょう!」

「まだ夜だからね。それじゃお休みなさい」



翌日。カリスナダさんは

「屋台でいっぱい食べた方がいいよ」

と、穀物の砂糖まぶしをちょっとな朝ご飯。


ふふふ、私もお年頃なのです。

いっぱい買って、いっぱい食べるぞ!


勇んで校庭に行くと


「う、うおおおおおお!!!!!想定よりヤバい!!!凄い!!!」

いや、こういうのってフラグじゃないですか。

学園生って80人しかいないし。


そんなのために、お店なんて数店舗。

屋台なんて二つあればいい。

みたいな規模も想定していたんですよ。


ところが。


露天ろてんは200ぐらいあるし、屋台も20はある。

凄い!凄い!

というか屋台はなんなの!?

節制の人達しかいないのに、20種類も食事あるの!?

と急いで屋台に行くと


「ああ!なるほど!果実のジュース!!!」

でもルピアは果物は贅沢だからめったに出ないって言っていたのに。


「ふふふ、あのね。今日はね月に一回の『ゆるシ日』なの」

「『ゆるシ日』ですか?」

あ、このおっぱいはビネハリスさん。13とは思えないおっぱいですね。


「ええ。この日は贅沢してもいいのよ。もちろん不浄ふじょうな食事はできないけれども」

なるほどー。


「あなたも貴族よね?三つ名乗りがあったし。ここのバザーは凄いわよ。街でも買えないのが多いからね」

へー。


「ありがとうございます!楽しんで回ります!」



まずは果実ジュース。

ティルマモメという果実なのだが

「赤くて、甘くて、幸せです~」

わたし、ティルマモメだけ飲んで暮らしたいです。


バザーを見ると、異国の品が多い。

都の品はあんまりないんだね。

すると、カリスナダさんが、お店の人と親しげに話をしていた。


「カリスナダさん、お知り合いですか?」

「ええ。この人は帝国からの出稼ぎだからね」

「え?帝国の人も来るのですか?」

ビックリ。安全面大丈夫なの?ここ?


「ははは。帝国と言っても、私はエルメルダの民なのです。聖女様の信仰をしております」

なるほど。


「エルメルダには何度も行ったことがあってね。エルメルダは帝国と、この大陸の繋ぎ役になっているの」

「ええ。帝国の装飾品は凄いのです。特に銀細工はね」


ずらっと並べられる銀細工。

どれもセンスが良く、ちょっとしたアクセントにいい。


「うわぁ。凄い。なにか欲しいです」

ファッションにはあまり興味無いのですが、これは凄い欲しい。すると


「ああ、やっと見つけましたわ。相変わらず凄い素敵ね。どれにしようかしら」

後ろからヤファさんが来る。


取り巻きが来る前に選ぼう。

「おじさん、これください」

「うん、これ一つだと銀貨2枚。金貨があれば5品持っていってくれ」

「あ!じゃあ5個ください!」

良さそうなのを5つ選ぶ。


「まいど!いや、しかしこの学園のバザーは毎週して欲しいよ。用意してもすぐ完売するからね」にこにこするおじさん



続いて洋服

「仕立て服の露天ろてんなんだー」

確かに出来合いの服は貴族着ないよね。でも露天ろてんで仕立て服するんだ。


「お嬢様、どうですか?お気に入りの絹があれば明日中に仕立てますよ?」

「明日中!?そんなに速いのですか!?」

「ええ。このテントの奥に人が大勢おります。でもご安心ください。貴族の皆様に恥を欠かせるような仕立てはしません。もっとも簡易的な服だけです。ドレスなどはお時間頂きますわ」


「簡易って、例えばどれぐらいです?」

「はい。こちらのような部屋着。それと外出着などですね」

出来合いのサンプル品を触るが


「うわぁ……凄い良い手触り。着たいのです。部屋着と、外出着二つ作ったらおいくらですか?」

「絹によりますが、通常であれば、金貨を一枚頂きますわ」

高い。高いが。わたしにはジュブグラン基金こと!おばあちゃんのお小遣いがあるのです!

うちの家は鉄貨一枚くれませんでしたがね!


「これでお願いします!」

金貨を差し出す。

「ありがとうございます。それでは絹をお選びください」


その間に寸法を測ってもらう。


どれも素敵な手触り。

「そうですね、着心地を重視したいんです。これと同じ生地で合わせて欲しいのですが」

「ええ。部屋着はそれがよろしいかと。色合いはそうですね、このような組み合わせは如何ですか?」

生地を合わせて服っぽく組み合わせてくれる

「これで!素敵です!」

「ふふふ。ありがとうございます。ランダ!すぐ作業に入ってください!」

後ろのテントに呼びかけてメモ書きを渡す。


「外出着も同じ感じで良いのですよ。サンプル品が気に入りました。あれの色違い……そう、青を基調にしてもらうといいかな?」

「ありがとうございます!あのサンプル品は自信作なのですよ。ありがたいですわ」

このお姉さんが作ったのか。


「ええっと、そうしたら」

「お名前をお聞かせ願えばお届けします」

「ミルティアです!」

「承りました。ありがとうございました」


バザーやばいな。楽しすぎる。

私はしばらくバザーをぶらついていた。

金貨は1枚10万円。


銀貨1枚は1万円。


ぐらいの感覚です。


転生候補生は殆どが貴族なので、基本的に高級品ばかりが並んでいます。



ティルマモメ→苺みたいなもの。量が取れないので高価な果実

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― 新着の感想 ―
[一言] そりゃあ金持ちで節制してる子らが月イチで解放されたら、大金が飛び交うよね。 ここに出店する権利だけでものすごい利権だろうなぁ。 でも所詮80人で月イチだから、本当に超大手はそこまでは気にしな…
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