②記者会見
会議室の外、特設されたスペース。
カメラが並び、マイクが林立する。
記者たちの視線が一点に集中していた。
フラッシュが焚かれる。
一度ではない。
連続的に、空気を切り裂くように光が走る。
橘が前に立つ。
「本日は、サイバーサイジング社様との新たな取り組みについて、ご説明させていただきます」
一瞬、言葉を選ぶ。
「近年、来場されるお子様から『サイバーサイジング社の仕事を体験してみたい』という声が増えております。また、御社について知りたいという要望も多く寄せられています」
水瀬が続ける。
「我々としても、ぜひ一度ご協力いただければと考えておりました」
フラッシュ。
音のない雷のように、光が断続的に走る。
夏美が一歩前へ出る。
その言葉を英語へと変換する。
「子どもたちが、私たちの仕事を理解したいと考えています。そのための機会を提供したい、という提案です」
夫妻は、短く視線を交わす。
そしてアレックスが応じる。
「教育の可能性については関心があります」
アラクネアが続ける。
「本件については、慎重に検討してきました」
夏美が、それぞれの言葉を日本語へと整える。
「教育分野への可能性に関心を持っており、本件についてはこれまで慎重に検討を重ねてきた、とのことです」
質問が飛ぶ。
だが、返答はすべて制御されていた。
踏み込まない。
踏み込ませない。
フラッシュが、再び焚かれる。
その光の中で、誰も『本当のこと』は語っていなかった。




