癒やしが切れるとどうなる? カイくん不足でポンコツ化する美女たち
いつも通りの一日が始まるはずでした。
ですが、ヒロインたちの様子がどうもおかしい。
「カイくんの指先」を知ってしまった彼女たちの、末路とは……。
「……カイくん……あ、やっと会えた……」
六日目の朝。
俺がいつもの路地裏に到着するなり、待ち構えていたリアナがふらふらと俺に倒れ込んできた。
ギルドの制服はシワだらけ、いつも完璧な髪もボサボサだ。
「リアナさん!? どうしたんですか、その幽霊みたいな顔」
「……昨日の夜、寝られなかったの……。カイくんに肩を揉んでもらわないと、枕が硬く感じちゃって……もう、限界……」
彼女は俺の腰にしがみつくと、八百屋の箱に座るのももどかしいと言わんばかりに、俺の胸に顔を埋めてきた。
ギルドの聖女が、完全に「重い女」と化している。
「……主。私もだ。私も、昨日から仕事が手につかぬ」
路地の奥から現れたセレスティーヌ王女も、同様だった。
書類の山を抱えた侍女を引き連れているが、本人の目は虚ろだ。
「主の『しおきゃらめる』がないと、何を食べても味がせぬのだ。……責任を取れ。今すぐ私の口に、あの甘美な絶望を放り込め」
「王女様まで……。仕事してくださいよ」
「……主よ。私は、もう歩けぬぞ」
最後に来たアイリス団長に至っては、路地の入り口で壁に手をついて立ち止まっていた。
鎧の隙間から見える彼女の指先は、小刻みに震えている。
「主の指圧を思い出してしまい、訓練に身が入らん。部下たちからも『団長、最近だらしなくなりましたね』と指を差される始末だ。……すべて主のせいだぞ。ああっ、早く……早く私を揉め……ッ!」
三者三様の「カイくん中毒」。
彼女たちはもう、俺の現代知識による癒やしなしでは、まともな社会生活を送れない体になってしまっていた。
「……わかりましたから。とりあえず、順番に。……リアナさん、離れてくれないと準備ができません」
「……やだ。あと五分、このままでいさせて……」
結局、彼女たちがそれぞれの「通常運転」に戻るまで、俺は一時間以上も抱きつかれ、甘えられ、愚痴を聞かされる羽目になった。
なんでも屋というより、もはや『人生の避難所』。
俺は八百屋の箱に座りながら、この先彼女たちの依存がどこまで深まるのか、少しだけ怖くなった。
【後書き】
完全に「カイくん不足」に陥っている三人。
癒やしが中毒になる……現代知識の恐ろしさ(?)ですね。
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