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箱庭の調停者ー神様の気まぐれを添えて  作者: はりまる
龍の里編
10/13

8話ー妊娠と娯楽

気づかなかったが、ハクエたちのお腹が膨れ始めていた。

ハクエたちの体型が変わることは今までなかった。

そう、妊娠したのである。

今までで人化で妊娠したことがなく、知りようがなかった。

ハーカが記憶を辿り、妊婦の扱い方を他の仲間に教えていた。

いつそんなのを見たのだろうか、ドラマかアニメだろうか…。

自分の覚えていないところまで記憶を見られているとなると途轍もなく恥ずかしい。

凄い恥ずかしいが、新しい命は嬉しいものである。

とりあえず暴れるなといい、温泉までは階段を作ることになった。

それにしても全員が全員15人同時に妊娠するとは思わなかった。

期間を少しあけ、バハムートとセルケトも妊娠した。

一体なんのこっちゃわからない。やることをやっているからわからなくもないのだが…。

というか、人間と龍族のハーフは龍人族ということになるんだろうか。

15人同時に生まれるとは思わないが、それでもおそらく30通りくらいの名前を考えないといけないのかと考えると少し頭が痛くなる。

それと何が起こるかわからないため、バハムートとセルケトの名付けを禁止とした。

少なくとも全力を持って臨んでほしい。

あとは妊娠してからどれくらいで出産するのだろうか。

人と一緒であれば大凡300日くらいだった気がする。

しかし、お腹が出始めているということはもう少しあとなのだろう。

うーん。わからん。

オロチとモーセ、ネーブ、レブレ、たまにハーカが相手をしている。

そして夜から解放された。

ハーカたちも流石にということで避けている。

こればかりはしょうがない。

しかし、やれることは変わらない。

トンネルを掘り、果実を食う。

そしてハーカと一緒に新しい武器ができた。

刃渡160cmの大太刀。龍脈水をかけた相も変わらずの透明な刀身。

透明であるが故の長さの感覚がわからないが、これは慣れていくしかない。

そして透明なナイフを使っていたオルムの刀身が欠けることはないという。

良くはわからないが龍種は目がいいらしい。

この能力は受け継がれなかったみたいだ。

よーく、目を凝らせばわかるかもしれない…くらい。

これを使えば荒削りのところを綺麗にできるだろう。

それとこの太刀、とても軽い。

能力を使い、果実を食らう。

回復中に外壁を太刀で綺麗に平す。

テュポンが代わりにやりましょうというが、ここまでやってきたことを自分で最後までやりたかった。

テュポンもわかってくれたのか色々仕事をしながらこっちを見ていた。

と言っても果実を拾ってくるだけ。

この龍峰、龍の里に来て大凡3−4ヶ月経つ。

そろそろトンネルも半分くらいになっただろうか。

移動するだけで時間がかかる。

飛べば一瞬だが、5kmは結構昔なら疲れる。

元気な体を授かって良かったというべきか…。

一羽撃きで5kmの移動は簡単なのだが、ぶつかるといけないからゆっくり飛んでいる。

走るよりだいぶ楽な移動だった。

テュポンは飛べないのか、走ってついてきている。やはり多頭分の肺活量があるのか、一切息が切れていない。

逆に他のモーセ、レブレ、ヨルムなどは息を切らす。それでも普通の人間よりは肺活量はあるんだろうけど。

3km走った時点で右脇腹が痛かった自分は運動不足なのだろうか…。

そんなことを憶えながらトンネルを出る。

温泉に向かう。

先にレブレがいた。

軽く会釈だけして中には入る。

気持ちがいい。

レブレが憔悴しているところを見ると、よほど忙しいのか。それとも何かがあったのか。

―

「その…やることがないと言うことで、何か面白いことをしろと言う無茶振りを受けてまして…ハーカが神代様の記憶を頼りに現在○×ゲームとやらを永遠にやらされておりました…」

あー…いっつも暴れ回っているから、大人しくするっていうことも難しいのか…。

「すまん」

「気にしないでください。ハーカがトランプ?やらボードゲーム?やらを作れば問題ないと仰っていましたが、クリート様もご懐妊中であるため、能力を使わせるのも憚れると言っていましたね」

後で作るか…。説明はハーカに任せればいいんだし。

小物ならそこまで疲れないだろうから、作るしかないか…。

この世界にそういう娯楽があるのかどうかも知らないが…。

上に戻り、数種類産生してみた。

トランプを2種類、赤と青の背面。

そしてリバーシ、将棋、チェスに麻雀。

物は知っているが、内容はうろ覚えである。

作るだけ作って、ハーカに説明を投げた。

夜更かしだけはするなよと、注意し眠る。

ガヤガヤしているが耳栓を作り、耳に入れる。

その日からぐっすり眠れた。

その次の日、ここに来て初めて雨が降った。

おかしいと思ったら、アマネが降らせたようだ。

「主様とゲームがしたいです!」

…。

―

できるのはリバーシと将棋だけ。

それで全員と遊んでいたら1日が終わってしまった。

天候操作などどれくらいの能力を消費するのかと思いきや、雲があればそこまでしなくてもいいらしい。晴天から曇天にするのに3割程度、曇天から雨天にするのには1割程度、雨天から雷天にするのには2割程度らしい。それも名付けをされてからほぼ半分くらいになったらしい。よって造作ないとのこと。

うん、毎日雨はやめてね。

せっかく梅雨とかがないと思ったから。

龍脈水が常に溢れんばかりに出ているため、雨が降らずとも困ることはない。

だから寂しがらずにしてくれ。

たまには相手するから。

だから大の大人が泣くのはやめてくれ。

頼む…。

次の日は晴天だった。

すでにテュポンは起き、迎えに来ていた。

「行くか」

「参りましょう」

二人で崖から降りた。

大きな音を立て、今日も1日が始まる。

歩きながら周りを確認する。

特に代わり映えはないが、少し実の量が減ったか…?

「そうですね、人化が進んでから実の量が減った気がします。おそらくですが、1日に必要な量だけが実るような形なのではないでしょうか」

自動調整されているのか…。

「もしくは龍から何か発せられているものなどが関係あるかもしれません」

発せられる何かか…。

一体何があるんだろうか。

「いえ、わかりません。ですが、人化して食べる量が少なくなり、取る量が減っているにも関わらず、収穫量が減っているのも事実です」

何かと連動しているのだろうか。

まぁ、食べるのに困らなければ問題ないか…。

「魚もあるのでそんなに問題は無いかと思います。兎も美味しくはないですが、増え続けているので」

そういえば…ウサギの量が減っている気がする。

「基本的にはまだ人化できていない龍が食べております。主に龍峰に近いものを食べさせております」

だから最近上では兎を見なくなったのか…。

確かにあの兎デカいと4−5mあるしなぁ。1匹でも食べればみんな腹一杯にはなるか…。

「龍族の時は味の感覚がかなり薄いので、問題ありません。あれを出すとハクエ様たちに怒られるみたいですので…」

食えるだけでマシだとは思うけど…。

そういえば、妊娠すると味覚が変わる…とか言っていたな。余計か…。

「魚の焼いた味を知ってからは不味いの一点張りですね」

兎は不味いから余計か…。

食わせなければ良かったかな。

「安定して魚が取れるみたいなので問題はないでしょう」

「気にしなくても大丈夫か」

「ええ、おそらく」

環境適応力すごいな…。

「片方はできました」

ハーカが何かを持ってくる。透明だが何か大きいものではあるんだろう。

この間作ったものだろう。

軽い何かを立てかけた。

「扉か」

「神代様の記憶通りで作るのであればあとはネジなるものと蝶番を作らなければなりません。後でその方もお願いします」

「わかった」

切り立った壁に穴をあけ、何かあると困る。念の為の対策だ。

結界などがあれば問題ないだろうけど…。

掘り続けていくうちに気力の回路と言うのだろうか、それが新しく構築されていっているのかどんどん効率が良くなっている。

名付けは今されていないはず。

オロチとモーセも忙しく、皆と一緒に龍峰でセルケトとバハムートは安静にしている。

何が変わったのだろうか…。

目を閉じる。おそらく、新しい称号でも付いているんだろうなぁと。

職人の代行者:同じ工程を繰り返すことによって能力の制限が解けていく。

ん?制限…?能力に制限なんてあったのか。

「聞いたことがありませんね…。そもそも制限などがあったのが驚きです」

そうだよな…。

何段階の制限があるともわからないし、これ以上進むとなると能力の制限をむしろかけないといけないかもしれない。

トンネルを掘る間はいいけど…。

3割程度でおそらく倍削れただろう。

もうすぐで魔族の世界に行けそうだ。

―

レブレが温泉に入っていたので少し話し込んでみた。

「なるほど。我々には無い感覚ですね。称号…ですか。一つ思い当たる節があるんですが、オックの超成長が関係あるのでは無いでしょうか。本来であれば時間がかかるものが超成長により称号?などあらゆるものが成長し続けるのでは無いでしょうか」

…。納得はいく。

オックがいつから超成長を持ったのかがわからないが、となると名付けが行われた全員が特殊な能力に目覚めるのか…。

「いえ、申し訳ございませんが私には新しい能力を授かっているわけではございません」

何かしら条件があるのか、それともまだ芽吹いていないだけなのか。

後で全員に話でも聞いてみよう。

「何か困っていることはないか?」

「問題ありません。神代様が作っていただいたゲームでだいぶ機嫌が戻ってきたのでそれが救いになっております」

「苦労をかける…」

「勿体なきお言葉…」

レブレもテュポンも言いたいことがあれば言ってくれるからまだ助かるか。

温泉から上がり、全員の話を聞いてみた。

ハクエ筆頭に能力を授かったわけではなく子を授かったようだ。

能力も子に継承されるだろうとのことだった。

暴れなければいいが…。


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