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ラジオ大賞  作者: ふりまじん
白百合姫
109/111

ロマンス

舞台は田舎の駅。勿論、二車線しかない。

クリスマスイブ…5時を過ぎれば暗くなるそんな駅のホームのオレンジの明かりに舞う雪。

彼女は温かいコートに包まれて、雪の積もるホームの『上り』の方向を見つめている。


海外では難しい、分単位の鉄道ミステリーが可能な日本と言われても、冬の北国では、しばしば電車は遅れるものだ。

雪もそうだが、突風もわりと到着時間を狂わせる。

彼女はリップを塗り直す。

ほんのりと桜色のついた…高校時代に彼が照れながら誉めてくれた、レギュラーカラーのリップである。

そう、雪国の女子の唇は荒れやすい。

私の学生時代は、少し前の校則が厳しかった時代より自由だった…が、親は、それについてこれずに、リップ1つで1時間の討論会だったりした。


奈津子は、夏に小麦色の肌になると、この綺麗なピンク色が似合っていた。


いつの間にか、お互い、オレンジ系列に趣味が変わってきたけれど…


バージンピンクと言う言葉がよく似合う、清潔で綺麗な感じがした、少女時代の奈津子の唇を私は、今でもしっかりと思い出せる。

桜色の唇で、彼に『おかえり』と言う。


それだけで、うっとりとするようなロマンに感じた少女時代なんて、遥か昔なのだとふと、悲しくなる。

暗い気持ちを振り払うように久しぶりに山下達郎のファイルを開いた。


『クリスマスイブ』


これは、クリスマス辺りになるとJRのCMとして使われて、私達もそんなラブロマンスを夢見たりした。

が、現実は、あんなきらびやかなクリスマスなんてなかった…


今の綾子なら、

「いや、普通に車でしょ?」

とか言いそうだ(-"-;)


でもっ。


正月前は、今でも駅は混雑する。


それは、あの頃ほどではないけれど………。


なんだか、田舎の寂れた状況が胸に刺さるばかりで、部屋の中をただよう山下さんの歌声が異質に感じた。


ラブストーリーって、難しい(T_T)


ため息と共に、考え直す。


とにかく、何かをティーパーティまでに作らないと、タイタンの恋人が召喚されてしまう(T-T)


それだけは、なんとしてでも阻止しなくてはっ。


それにしても…私、なんであんな話を作ったのかしら?


私は、中学時代の自分の気持ちに困惑した。

そして、あの頃、宇宙はもっとロマンチックだった事を思い出していた。


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