↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
十歳の最強魔導師  作者: 天乃聖樹


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

113/196

それぞれの家へ

 残された少女たちはしばらく呆然としていたが、最初にアリシアが我に返り、ロバートへと駆け寄った。


「お父様! 大丈夫!?」


「ああ……私は問題ない」


 ロバートは微笑してみせるが、その顔はやつれきっている。魔力を加減なしに使われたときの影響か、爪や皮膚の端々からは血が滲み出していた。

 立ち上がるのもつらいのか、床に手を突いて弱々しく息をしている。


「まさか……お前たちにここで会うとは思わなかった。いったいどうして……」


「お父様を助けに来たのよ。フェリスも、ジャネットも、一緒に来てくれたの。ガデル族の長さんも……今はフェリスに協力してくれているわ」


「そうか……すまない。私が不甲斐ないばかりに、お前たちに無理をさせてしまって。やはり私は魔術師団長の器でなかったのだな」


 ロバートがため息をつくと、ジャネットが背をそらす。


「ま、まあ、魔術師団長にふさわしいのはわたくしのお父様ですけれど、無理なんてしていませんわ! ラインツリッヒならこれくらい簡単ですし、その……友……クラスメイトのためですもの!」


 友達のため、とは恥ずかしくて言えないジャネットである。


 フェリスは手を握り締め、縮こまってロバートに歩み寄る。


「ご、ごめんなさい、ロバートさん……。痛い思いさせちゃって……怒ってますよね?」


「怒っているわけがないだろう。ありがとう、フェリス。大切な娘を傷つけないよう、私を止めてくれて。本当に、感謝する」


 深々と頭を下げるロバートに、フェリスは慌てる。


「わわわわっ、そんな、感謝とか要らないですっ! わたしなんてっ、家族でもないのにいつもアリシアさんとロバートさんにお世話になりっぱなしですし、優しくしてもらうのはもったいない奴隷ですしっ、ちょっとでも、ほんのちょっとでも、お手伝いできたらなって、思っただけで!!」


「フェリス……」


 そういうふうに考えていたのかと、アリシアは胸が苦しくなる。よかれと思ってやってきたことが、実はフェリスの負担になっていたのだ。


 あまりにも、フェリスは謙虚だから。


 自分が好意や人並みの生活に値するなどとは、想像もしないから。


 アリシアは、そっとフェリスの手を取る。


「あなたは……私の家族よ」


「……ふえ?」


 きょとんと、フェリスが目を瞬いた。


「血は繋がっていないけれど、私はフェリスとずっと一緒にいたいと願っているし、そうするつもりでいるわ。私にとって、フェリスは妹のような、いいえ、もっと大切な人。私に命をくれた、未来をくれた、最高の毎日をくれた人。誰よりも可愛らしい人。あなたは……大好きな大好きな家族なのよ?」


「か……ぞく……」


 見開いたフェリスの瞳から、ぽろぽろと涙が落ちる。


「ど、どうしたの? そんなに嫌だったかしら?」


「そうじゃ、ないんです……。胸がぎゅうううってなるんですけど、嫌じゃないんです。嬉しいんです……わたし、ずっと寂しかったから。家族とか、羨ましかったから。ありがと……ございます……」


 フェリスがアリシアに抱きつく。力の限り、離れまいとする。アリシアはフェリスの頭を静かに撫でる。


「ちょ、ちょっと! ずるいですわ! それならわたくしだってフェリスの家族になりますわーっ!!」


 ジャネットがフェリスの腕を掴んで引っ張る。


 賑やかな少女たちを見守り、ロバートとバルフは顔を見合わせて笑う。


 しばらくして場が落ち着くと、バルフが言った。


「俺はガデルの村に戻る。一族の者たちを説得し、ナヴィラとの争いを終わらせよう」


 ロバートがうなずく。


「私はナヴィラの説得と、バステナ王国内の調整を図ろう。探求者たちが望むような全面戦争を起こさせるわけにはいかない」


「でも……探求者たちは、どうして戦争を起こしたいのかしら……?」


 考え込むアリシア。


 ジャネットが肩をすくめる。


「そんなこと、今はどうでもいいですわ! 捕まっている人たちを解放して、早く帰りましょう」


「そうね。帰りましょう……私たちの家へ」


 アリシアはフェリスの手を優しく握り締めた。

紛争編、ひとまず完了です。

まだまだ火種は残っていますが……。


次週より、転入編がスタートします。

しばらく大きな騒動が多かったので、

魔法学校でのほのぼの生活も描きたいな、と。

引き続き、どうぞよろしくお願いいたします!

そして転入生はいったい……?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろう 勝手にランキング

コミカライズがスタートしました!
試し読み
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。