百八十二章 臨海の末に
午後七時九分。
ノースドラゴニア残地では梨々香とリベードリヒが対峙していた。
「ついにこの時が来たな・・・華千崎 梨々香・・・」
リベードリヒは梨々香を見て笑む。
「見えているか?この僕が・・・」
リベードリヒは両手を広げる。
「見えている。宿幼」
梨々香はリベードリヒの内側にいる闇のスライムを見つめる。
「僕は大いなる存在になることが夢だった」
「なぜ・・・・・・大いなる存在になりたかったんだ?」
梨々香は少し考えながら言葉を紡ぐ。
「いい質問だ」
リベードリヒは梨々香を見て笑む。
「僕は自由を求めていた」
リベードリヒは両手を掲げる。
「何をしても良いって思える時間、僕を否定する者がいない世界が欲しかった。僕を阻む法則や原理なんて邪魔でしかなかった。美しいものが創れる力なんて最高だ。邪魔なものを破壊できる力があればどこまでだって行けると思わないか?」
リベードリヒは空を見ながら楽しそうに語る。
「大いなる存在はそれができる。僕が求めていたものを持っているんだ」
リベードリヒは梨々香を見て笑む。
「そんな存在にはなれない。誰であろうと・・・」
梨々香はリベードリヒを見つめる。
「あぁ、なれない」
リベードリヒの力強い言葉に梨々香は黙る。
「だが、世界を搔き乱す存在にはなれるだろう?」
リベードリヒが指を鳴らしたその瞬間、静かで優しい風と共に昼空が広がった。
「華千崎 梨々香」
体中が一気にひび割れ、金属が割れる音が鳴り響くと共にリベードリヒは片膝を地面についた。
「君と僕、最初で最後の殺し合いだ!!」
リベードリヒは笑いながら液状闇に変わった。
「・・・」
梨々香は神刀華炎を生成して握った。
「ついにこの時が来た・・・ずっと、ずっと待っていた・・・」
闇からビゼルの声が聴こえると共に闇が昼空に広がった。
梨々香は神刀華炎を一振りして落ちてくる液状闇を斬った。
「私はこれから偉業を成し遂げる。誰も成し得なかった偉業をな!!」
ビゼルの声が響く中、液状闇が巨大な結晶の雫に変化し始めた。
「こんな光景を見て平然としてるなんて・・・」
シゼルは昼空を見つめる。
「あなた本当に変わってますよ」
シゼルは梨々香を見る。
「神護国周辺にいる七陽の勇者に結界を発動させるよう通達してくれ」
梨々香はシゼルに命令を下すと真っすぐ飛び上がった。




