シーズン1 あらすじ② 2023年 10月18日妻が死んだ
2023年10月18日、午後19時40分。妻が自宅で僕の目の前で息を引き取った。多臓器不全だった。妻ハニーとは2019年6月に職場のパート先で出逢い、妻のほうから猛烈に僕にアプローチしてくれた。
その頃の僕はもう、恋愛はしなくていいと思っていた。僕は無職だし、もうおっさんだし、
未だにうだつのあがらない芸術に没頭していた。僕が取り組んでいたのは作詞、作曲、ピアノ、ギターを中心に音楽をやったり、映像製作、小説を書いたりしていた。
その頃、僕は映像のほうで少しの収入がはいるようになっていた。ファンもついたりして、音楽は影を潜め、撮影や編集などの日々が中心になっていた頃だった。楽しかった、夢中になっていた。もしかしたら音楽よりぜんぜん自分に向いているかもしれないと思った。
そんなときに妻ハニーと出逢ったのだった。
彼女は正社員として中途入社してきたのだった。初めまして、藤井です(^-^)
小柄ですごく綺麗で可愛いらしいひとだった。
ちょっとギャルっぽかった。
最初は彼女がそんなに大きな病気を抱えていることは知るよしもなかった。ちょっと痩せてるな、と感じるぐらいだった。
織原さんの奥さんってどんなひとなんですか?
と仕事の帰り道で聞かれた。
え?僕は結婚してないよ( ^ω^ )
そうなんですか?でも彼女さんはいますよね?
彼女もいないよ( ^ω^ )
僕はもう誰かと付き合う「資格」なんてないから。
資格?なんのことだろ。誰かと付き合うのに資格なんて関係ないですよ!
あ、僕はこの歳で週3のアルバイトだしさ。
え!ぜんぜん関係ないですよ!
私、織原さん、優しいひとだな!っていつも思ってました。ずっと好きでした。良かったら私と付き合ってもらえませんか?
迷惑ですよね?
僕は考えた。今、誰かと付き合うと創作の時間が取れなくなるかもしれない、と。
けれども僕は「温もり」がほしかった。
誰かを愛し、愛され、必要とし、必要とされたかった。
僕はこの日から彼女と付き合うことにした。
天国と地獄の日々が始まったのである。
イルミネーションに照らされた夜の駅前のロータリーが、見慣れたこの街がいつもより美しく見えた。




