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神様、仏様の言うとおり!  作者: 浅井壱花
どんどん進めっ
20/44

美味しいご飯

この世界に来てからそうだ。


何故か異常な程、運が良い。


熊とのバトルの時なんかは運任せな部分が大きかったが、絶対大丈夫!と思えるくらいの自信があった。





そして、またそうだ。




冒険者と名乗る人達に喧嘩を売られて、ボコボコにされるだろうな…もしかしたら殺されるかも。と思ったが、偶然に偶然が重なって喧嘩を売ってきた冒険者シンシアを1発KOしてしまった。


チビ男の方も、コタロウの急所攻撃により撃沈。


最後に残った金髪女は戦意喪失し薄い本でありがちの、くっころサンになってしまっている。





酔っ払ってる村人達は私が瞬く間に冒険者を倒し、使役している神獣に指示を出し力を見せ付けた。と、ものすごく都合のいい勘違いをしている。


村長の奥さんが飛んできて「ユキナ様、お怪我はありませんか?!」と抱き締めてくれたのだけが救いだった。



大騒ぎの中、疲れたので寝ます…。と奥さんに伝え、まだ興奮しているコタロウを引きずるように抱っこして今日の宿に戻った。
















---次の日。


久しぶりのベッドでゆっくり眠れたおかげで、日が高くなる頃までコタロウとゴロゴロとベッドの上で過ごしていた。


そろそろお腹も空いたし外に出ようか、とコタロウと話していればタイミングを見計らったようにコンコンと扉を叩かれる。

「はーい!ちょっと待ってくださーい!」

まだ寝巻きのTシャツから着替えてない状態だったので扉も開けずにそう外に向かい返事をすれば「かしこまりました」と返ってきた。


『これからどうするのだ?森を抜けるのか?』


着替えて、寝癖がついているコタロウにブラシを通し身綺麗にしてあげる。


調子に乗りさえしなきゃ本当に綺麗な白狐だ。


「んー…最初に言ってた通り、迂回ルートかなぁ。森にまだ凶暴な生き物いたら嫌だし。」


最近の毎日、コタロウをブラッシングしてるせいか毛艶が出会った時よりも格段に良くなった。

コタロウも最初のうちこそ嫌がっていたが、ブラッシングは慣れてきたらしい。


『吾はこの”ベッド”とやらが気に入ったぞ。車の中で寝るのも良いが、伸びて寝れる”ベッド”も寝心地が良く吾の好みだ!』


むふー。と息をつきながらベッドを気に入ったというコタロウ。

また1つ人間が作った物の魅力にハマったようだ。


「まぁ1回、村長さんに周辺の地図とかないか聞いてみてから行先を考えよう。王都とかもあるみたいだし、そっちの大都市に行った方が情報あると思うんだよね。」


話しているうちにブラッシングも終わり、じゃあ村に繰り出そう。と扉を開ければ、ゴンッと扉にぶつかった。


「ひゃっ?!ご、ごめんなさい!」


廊下を歩いてた人にぶつけてしまったのかも!と慌てて扉を閉じ、扉越しに謝る。

恐る恐る扉を開ければ、扉の目の前に土下座している3人の人の姿。


嫌な予感にこのまま扉を閉めて引き篭ってしまおうか…と思ってしまう。

ツラい。

外に出たくない。

というか、土下座の文化があるのか。この世界。



「「「おはようございます、ユキナ様!!」」」


声の揃い方、完璧か?


突然の大声に私の後ろにいたコタロウもビクッとしている。



「あ、あの…」


「はい!なんでしょう!」


昨日、私の頭突きで伸びていたシンシアが朝から胃がもたれる様な返事をしてくる。

暑苦しいにも程がある…。


「…昨日の仕返しですか?」


こんな仕返しならもう完敗だ。

私には暑苦し過ぎる…。

ストレスでおえっぷ…となりながら、聞けばシンシアが「とんでもない!!」と叫んでいる。


「昨日の決闘のユキナ様の強さ!それに、聞けば1人でアンチマジックベアを討伐したというではないですか!」

「あれほど綺麗なアンチマジックベアの死骸は見た事ございません!」

「俺っち達、とんでもねぇ御方に喧嘩売っちまったって後悔したんでさぁ!」


一斉に話し出した3人にいよいよ胸焼けがしてきた。

朝っぱらからクソダサネームを連呼しないでくれ、恥ずかしい…。


もう扉を閉めようとすれば、早く外に出ろ!とコタロウに押されて扉の外に出る。

土下座をする3人の後ろには昨日助けた少年のアルがいて、食事のご用意が出来てます!と元気いっぱいに言われた。






朝食兼昼食は、豆のポタージュっぽいスープと焼き立てのパン。

ポタージュも良い塩加減で美味しいし、全粒粉っぽい感じのパンはサックリ芳ばしくて美味しかった。


異世界ファンタジーあるあるの、メシマズ世界でなくて良かった。と神様、仏様に心の中で手を合わせ感謝する。

なんたってご飯がマズいとなにもやる気がなくなってしまうし、食事さえ困らなければそれこそ生きてはいけるのだ。


「おい、ユキナ様はあのスープがお好きらしいぞ!」

「パンも美味しいって言ってましたわ!」

「俺っち、店主にレシピ聞いてくるぜ!」




素朴だが美味しい食事に舌鼓をうっているのを冒険者達もとい、3バカトリオが後ろに並んでいちいち反応するのを本当にやめて欲しかった。


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