再構成(リ・プログラミング)
今回から1話ずつになります!
pixivの方に上げてからになるので遅くなりますが、気長に待ってて下さい!
ある日の昼下がり、天気予報とは打って変わり秋とは思えぬほどに太陽が照りつけていた。
猫助は会社から持ってきた仕事を一段落させ、こう言った。
「犬人、天気良くなったし暇だから散歩でも行くにゃ?」
「ん、了解。」
玄関のドアを開け、近くの公園まで差し掛かったところで2人に声がかかった。
「よぉ、久しぶりだな。吠崎、洒落市。」
銀髪に黄色の瞳を持った狼のアニマラーだった。
「何しにきたにゃ、狼城?」
彼は、狼城月華。2人の高校の同級生で、猫助にとって一番会いたくないような存在だった。
「何って俺が親しかったダチに会いにきただけだぜ?
それより、お前ら付き合ってんのか?wwwアツイなぁ。」
「バカ言うにゃよ。ボク達は男だぞ!」
「へぇ、でも吠崎が尻尾振ってんぞ?」
「……!」犬人は慌てて尻尾を止める。
「それにボクってなんだよwww『オレ』だろ?文字通り猫かぶってどうすんだよ。またやろうぜ、昔みたいに……」
「煩い、ボクはあの頃とは違う」
「おぉ、怖いなぁ。……煩えのはお前だよ。悔しかったら俺の弱みでも握ってみろよぉ……!化け猫が。じゃあな!」
狼城の姿が見えなくなってから猫助は拳に力を込めるだけだった。
「ごめん……俺のせいで。」犬人が気まずそうに呼びかける。
「犬人のせいじゃないにゃ……これはアイツとボクの問題だから。」
「でも、あんな奴の挑発に乗るもんじゃないと思うぞ。やめとけって!」
「いや、ここではっきりさせないとボクが過去を清算できない。」
「ニャン助……わかった。そこまで言うなら俺は傍観者だな。」
「ありがとにゃ、犬人。」
猫助の過去、それは孤独にまみれていた。
猫助は昔から「役立たず」「恥さらし」などという言葉を周囲に言われ続け、とことん卑屈になっていった。犬人とは行動を共にしてはいたが、頭脳明晰で周りに慕われていた彼を少し妬んでいた。
そんな猫助に「お前の苦しみは分かってる、俺が守るから。」と甘い言葉で誘い込んだのが狼城だった。
今思えば狼城は猫助にとって「暗黒時代の象徴」というわけだ。アイツを黙らせることだけが暗黒時代を完全に消し去る唯一の方法だと思った。
「アイツの弱みか……抜け目なさそうだしにゃ〜……」
「ニャン助、ちょっと思ったんだけど、案外昔のお前と似てんじゃないかなぁって。」
「昔の……ボクと?」
「うん。アイツ高校だと取り巻きたくさんいたけど、影で嫌われてたから、本当の友達いないんじゃないか?」
「そっか、それがアイツとボクの決定的なとこだにゃ!」
狼城は高校時代、10人の取り巻きを従えていた。しかし、その全てが弱みで服従させられたものだった。
犬人は高校卒業と同時に狼城が孤立したのではないか、と考えたのだ。
「それに、お前消極的だったからそこまで突いてくるって思ってないぜ?化け猫じゃないって証明してやれ!」と背中を押す犬人。
「でも……ボクと同じならほっておけないにゃ。」
「さっすがイケ猫だな!これだから俺は惚れたんだよ!」
その夜、唯一残った連絡先で狼城宛にメールを打った。
『明日の12時に公園で話そう。』
約束の30分前、猫助はある意味「決戦」に臨もうとしていた。
「覚醒した姿、見せてこい!いい報告待ってる!」
「了解!行ってくるにゃ!」
「行ってらっしゃい!」
「おやおや、随分早い果たし状だなぁ?」狼城は余裕そうな表情で煽ってくる。
「イキってられるのも今のうちにゃ。」
「ヘタレの癖に随分だな?そういえば、お前のフィアンセはどうしてんだ?」字面は動じていないが「イキる」と言う単語に反応したのか少しビクついたように見えた。
「話題逸らそうとするな。今はオレが話してるんだ。」この反応をモノにしない手はない。
「悪りぃ。気になっちまってwwwで?話ってなんだ?」ターゲットはまだ鋭い牙で自分を捉えようとしている。こっちもそんなに簡単には捕まるわけにはいかない。世間話を挟めばのらりくらりとかわされる。短刀直入に聞くしかない。
「高校の同級生と連絡とってるのか?」
「あぁ、ちょくちょくな。」
「ほう、おかしいにゃ〜、そんなに仲よさそうに見えなかったけどにゃ。」
「何もおかしくねぇだろ。頭沸いてんのはお前じゃねぇの?www」まだこいつは余裕がある。切り札を切ろう。
「だってお前の取り巻きは弱みで吊るした『ハリボテ』だもんにゃ〜。うわべだけの友達作って優越感に浸って何が楽しいのかにゃ?」
「何だ!お前喧嘩売ってるのか!」怯んだ!声が震えている。
「売ってる。お前と同じ卑怯な喧嘩を。現に今も孤立してんだろ?それでオレと犬人を煽って少しでも上でいたかったんだよにゃ?でも、もう時効なんだよ。お前の王政は終わったんだにゃ。ヘタレってのはお前ことだと思うけど?……何か反論は?」
「……してやられたな、見くびってたぜ。そうだよ、話術使ってクラスのリーダーでいるのに快楽があって……
そんで今は会社でこき使われて軽く鬱なんだよ……これがお前望んでた答えなんだろ?笑えよ!」と半分自棄になっている狼城。正直ここまで取り乱すとは、少し反省だにゃ。下げるとこまで下げて終わりにしないのがこの作戦のミソ。
「そんなことで笑えないにゃ。どっちかっていうと余裕かましてるお前を馬鹿にしてる方がスッキリするにゃ、今度はボクが守る。お互いに孤独にならないように。」
「完敗だ。あんがどな、洒落市。」
「おう!」
「ニャン助、どうだった?……っていうかその顔だと大成功ってとこか。」
「お察しの通りにゃ。案外小心者だってこともわかった。」
「うお、新事実か!イヌ科ってヘタレ多いのか?お前、カウンセラーとかやった方が良いんじゃね?」
「パスにゃ。ゲーム作ってた方が性に合う?ゲーム苦手なやつにはわかんにゃいだろうけど。」
「何だと、勝負しろ!ボコボコにしてやる!」
「かかってこい!」
確かに絶望を希望に再構成するのは得意かもにゃ……
狼城月華
年齢:23歳
animal type:wolf
一人称:俺(様)
誕生日:1/17
銀髪で180cmぐらい。黄眼。猫助・犬人の高校時代の同級生。高校生時には巧みな話術でクラスのほとんどに異論を唱えさせず、教師もねじ伏せ、絶対王政を築いていた。しかしそれは家庭での低い扱いに対する八つ当たりのようなもので自分が他人より高い地位にいることで優越感に浸ることを趣味とした。自分と境遇の似た猫助に漬け込んだりもしていた。それ故に卒業後は孤立し、鬱予備軍と診断されるまで没落した。
猫助に悟られた後は大分楽になったらしい。犬人と比べ物にならないくらいヘタレ度が酷い。




