40/119
8
このメールを送信すると、執筆中小説にこの内容が追加されます。
妙子の身にも、解雇の危機が迫っていた。
子会社から、いよいよ正社員が数十人単位で配属されてくる、という噂も流れていた。
「よう、元気にしていたか?」
加藤が、励ますように声を掛けてきた。
総合センターの階段の踊り場にある、自動販売機の前の椅子で、同僚たちと話をしていた時のことだった。
「はい。おかげさまで」
妙子は、親しみを込めて、丁寧に会釈した。
加藤は、そうやって派遣社員の誰にも平等に声を掛けていた。
それが、あくる日にはなぜか妙子にだけ、
「今度、食事に行かないか?」
という、誘いの言葉になっていた。
潤が解雇されて、1ケ月後のことだった。
妙子は、半分冗談で言われているのは分かっていたが、
「はい。いいですよ」
と、その好意を受け取った。
何日かして、加藤から、携帯電話の番号を聞かれた。
それから頻繁に、妙子の携帯に電話がかかってきた。
それは、勤務が終わり、更衣室で着替えている最中の妙子には迷惑だった。




