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IN THE GAME ~勇者と魔王が戦争している異世界で俺は農耕する~  作者: yosshy3304
第七章 俺は『こいつ』が大っ嫌い。
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8-7

「おっ、またあった。」


 目の前にある王様飛蝗の死骸から生えたキノコを採取する。後ろではキヤラとシヤさんがドン引きしているが、このキノコ、色々と有能なのだから無駄には出来ない。


 途中火草と言うこのキノコ、モデルは言わずと知れた冬虫夏草。ゲームの時には時たまに昆虫系モンスターを倒した時にドロップ出来るアイテムだったが、リアルになった為に直接王様飛蝗の死骸から採取しなければいけなくなった。ただ俺には広範囲収集のスキルで一瞬で採取できるので、手間とかはないのだが。


 錬金で出来た薬の効能は、ゲーム時代の時には各種状態異常の回復と同時に体力の回復効果もあり、この途中火草はオークションで複数一纏めで高値が付いていたりもするアイテムだった。


「そ、そんな物、どうするんすか?」

「何言ってんの、薬だよこれ。」

「く、薬!?の、飲むんすか、そんなの!?」


 俺の回答に引きつった声を上げたキヤラを無視して、またまた見つけた途中火草を採取する。歩けば歩くほど、そこら中に転がる王様飛蝗の死骸からいくつも見つかり、俺はホクホクと満足顔であろう。


 それ以外に名前から判るだろうが薪の代わりとしても使え、キングオニオンと混ぜ合わせると、モンスターにのみ効く毒薬となったりと、ただ注意することは成長させ過ぎないようにすること。


 成長すると自然発火するのだ。周りに乾燥した木々があれば燃え移り、周り全部を火の海に変えてしまう。森林火災の原因とも言われると説明文にあったキノコだ。


 リアルでもゴジアオイという植物がある。アオイ目ハンニチバナ科の植物で、30~35℃の気温で発火。自身諸共周りの植物を焼き、土に栄養を蓄える。自身の種子は比較的高温に耐え、そうして生育圏を増やしていく植物だ。


 ただこのキノコはどちらかと言うとタンポポに近い。自身を燃やして上昇気流を生み出し、まき散らした胞子をより遠くまで飛ばすのが目的なのだから。だからこそ胞子を生み出す事の出来る状態まで成長させない事が重要だったりもする。


「これ、そんなに怖いキノコだったんすか!?」


 俺の説明に驚き、そして恐怖から距離を取るキヤラ。


「大丈夫だって、胞子はまだ出ないから。出てたら燃えてるし。」

「ち、違いますってば、俺達に寄生されたらどうするんすかっ!?」

「ああ、そっち?大丈夫、大丈夫。肌には寄生出来ないの。あくまで胞子だから昆虫の節から体内に入って寄生するから。鼻や口、目なんかは粘膜で入れないようになってるし。」

「あっ、そうなんすか?」

「おお。……でも確か、爪の隙間からキノコが生えたってのは聞いたことがあるような……。」

「ギャァアアアアア…………ッ!?」


 あはははは、心配するキヤラを揶揄う余裕があった。ちょこちょこ王様飛蝗が飛来するもばら撒いたお坊さん団子が威力を発揮。さらには鬼の農具で、最初からあった死骸事大地の栄養へと還る。


 ここに来るまで王様飛蝗に食い荒らされた為に植物という植物を見ていない。あったのは王様飛蝗に寄生する途中火草ぐらいで、だからこそ見晴らしもよく、また地表に出ていた根っこまで食い荒らしたのか足元も、整地とまでは行かなくても歩きやすい状態だ。


 やはりある程度数が減ったのか、それとも虫ながら途中火草に警戒したのか、この辺りには王様飛蝗の数は少なかったのである。


「そろそろ、昼飯にしようか?」

「ううぅ、もう少し進みません?この辺りで食事って、なかなか喉を通りませんよ。」


 まぁ周りの風景が風景だしなぁ。王様飛蝗に食い荒らされ、その王様飛蝗に寄生した途中火草に燃やされ、炭化した木々が立ち並ぶ。一見するとゴーストでも出てきそうな雰囲気だが、大地は豊で、栄養満点の土がわんさかとある。


「ここ、畑にしたいなぁ…。」

「やめてくださいっすよ。誰がこんな場所で出来た野菜食うんすか。」


 思わず出た願望。王様飛蝗の退治が先とはいえ、こんな手を加える必要も無い程の見事な土を見てしまえば、(似非と自身では付けている)農家としては、やはり何か育てたくなってしまう。


 ブルリと、此処で出来た野菜を食し、体中からキノコを生やした自分でも想像したのだろうキヤラが震えながらやめてくれと懇願する。


「でもさ、此処から先は何処もこんな感じだと、俺は思うんだ。」

「例えそうだとしても、今のキッシュさんは信用できませんっす!!」

「何でさ。」

「……じゃぁ、何でそんなに目キラキラさせてんすか!?」


 ヤベ、顔に出てたか。これだけ好条件揃った場所ってのも中々ないもんだから、どうしても試したかったある植物の種を植えてみようかと思っていたんだが。まぁ今は鬼の農具もあるし、村に帰ってからでも出来る事は出来る。でも風情ってもんが無いよなぁ。


「風情なんかどうでもいいっす!!今は、目の前の事に集中しましょう!!」

「……なら、腹空かして行動する訳にもいかないよなぁ?」

「あっ!?」


 しまったという顔をするキヤラを他所に、俺は喜々として地面に鬼の農具を付き立てた。地面がうねり、ゲームで言う所の10マス×10マスと言う広範囲にわたって耕した状態になる。


「シヤさんも何とか言って下さいっす!」

「無理ですね。だって、あれ……。」

「そうですね、判ります。判りますとも。だって既に見た事ない植物が育ち切ってますもん。だからって、もう少しマシな場所もあると思うっすよ!!」


 ドン引きしながらも無言で俺達の後を付いてきていたシヤさんに助けを求めたキヤラ。だが無情にもシヤさんはキヤラの後方を指差し、もう無理だからと告げる。


 キヤラもシヤさんの方を向いていながらも、一度こっちを見たのか、俺が育てた植物を後ろ向きに指差しながら訴える。


「つーか、なんすかそれ!?そもそも食えるんすかっ!?」

「おうよ。これは弁当の木。と言っても、これ一本で一人分なんだけどな。」


ポンポンと小柄とはいえ、俺の背丈よりも育った豆の蔓を太くしたかのような植物を叩く。


「あと二つっと。」


 耕した畑に弁当の木の種を蒔く。芽が出て、膨らんで、花が咲いて、実が生って。何時だったか、ゲームの時だったか、こっちに来てから作らなかったっけ?と考えている内に実が三つ収穫出来た。


「ほら、パカって割れば、中は……。」

「おお、以外においしそうっすね。」


 中身は海苔弁。中身はランダムの筈なのに、偶然の一致である。実際に見せれば、こんな場所じゃなければもっと美味しかっただろうなとキヤラが呟き、シヤさんも頷くも、まぁ口にし始めたのだから別にいいだろう。俺もまたホカホカの海苔弁に箸をつけ始めた。

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