2話 神様がアホだった
ご都合主義入りまくりです。神様登場します。
学校の帰り道。久しぶりに7人揃って下校していた。
いや、美男女たちがついてきたというのが正確だろう。
大通りの交差点に差し掛かる。事故はいきなりやって来た。
「おい!バスが突っ込んでくるぞ!」
普段クールな青治が珍しく慌てた声で叫んだ。見るとバスの運転手が苦しそうにしている。
バスは俺たちを目掛けるように走ってきた。早くから気づいた青治が反対車線へ逃げ、芳雄と康緑、楓の3人も続く。
見てる場合じゃねぇ。俺も逃げよ!
「桃花!早くしないと轢かれちゃうよ!」
「ごめんなさい。足がくすんでしまって。」
桃花と美咲がまだ横断歩道に残っていた。
バスはもう、そばまで近づいている。このままだと轢かれてしまうだろう。
そう思っていた頃には、体が自然に動いていた。
「なにやってんだ!二人とも!」
二人を無理やり押し出し、バスの通過点から脱出させた。
良かった。これで二人は助かる。
安心していた次の瞬間、体に物凄い衝撃が襲っていた。
「痛っー。ここはどこだ?」
目の前に、真っ白い空間が広がっている。
「オッハロー。目が覚めたようじゃな。」
いきなり俺の目の前に、サングラスをかけ、アロハシャツと短パンを着こなした、ハゲのじいさんがいた。
うん。意味わからん。
「あの~ここって...」
「質問はワシの話を全部聞いてからにしてくれ。心の準備はいいな。言うぞ。言ってしまうぞ!本当に言ってしまうぞ!」
「早くいえよ。」
このじいさん。マジがつくほど、うざいかも。
「おっほん。取り敢えずここの説明からじゃ。ここは神の空間。ワシがお前の魂をつれてきたのじゃよ。事故に遭ったお前さんをのう。」
「そうだ!みんなは無事か?!」
「黙って聞け!自分よりも仲間の心配とは...。続きを言うぞ。お前さんには隠された能力がある。有能なものを惹き付けることができるのじゃ。」
思い当たる節はあるとしか言えない。
「時に異世界は好きか?」
「はぁ?何言ってんだ?」
「質問するでない!」
この自称神、うざすぎる!
「ワシは、暇だったか..おっほん! 新しい世界を作る研究をしておった。そこそこ良い世界だったと自負しておる。だがの。ワシの知らぬ間に魔王という存在が出来るようになってしまった。」
突っ込みどころ満載だな!大丈夫かぁ?
「後10年で復活するらしい。そこでお前さんには有能なものを集め、魔王を倒してほしいのじゃ。」
「話は終わったか?」
「取り敢えずは、じゃのう。」
「俺からだ。俺のいた世界はどうなっている?」
「全員無事じゃ。お前さん以外はじゃがな。お前さんは意識不明の植物人間状態になっておる。」
「そっか。そりゃそうだよな。バスに突っ込まれたんだからな。」
「全く関係無いぞ。お前さんの魂だけ抜き取っておる。」
このじいさん。本当に頭おかしいだろ!
「ここまで来たんじゃし、ワシの世界のため頑張ってみんか?どうせ、大人になっても、ダメなままなんじゃろ?」
「決めつけんなよ!俺だってやるときゃやるぜ?」
「もういいもん!助けてもらうんじゃもん!」
いきなり俺の座っていたところがひかりだした。
「んじゃ頑張ってのう。」
目の前には海。砂浜にうちあげられている俺。
パニックというものは通りすぎると無気力になるらしい。
俺が今体験しているから胸を張って言える。頭にあのふざけた声が響いた。
「マイクテスト、マイクテスト。ワシじゃ!ワシ、ワシ。ワシなのじゃ!」
新手のワシワシ詐欺にあっている。俺は騙されんぞ!
「聞こえておろう!全く。まぁいい。この世界の名はニュー.アース。地球と違って魔力が存在する世界じゃ。」
「俺は魔力使えるの?」
「お主は何をやってもダメじゃ。」
俺、この世界生きていけないな。
仲間集める前に死んじゃうぜ。
「なんか、他に能力くれよ。」
「最近の若いやつは甘えたことをすぐほざくのう。」
むっときた。しかえしてみるか。
「どうせ、そんなこと自称神様には出来なかったか。ごめん。察することが出来なかったぜ。」
「言ってはならぬことを言ってしまったな!ワシだってそれくらいできるし!やってやるし!」
俺の体がひかりだした。
突然、腹の底から力が湧いてくる。マジか?言ってみるもんだな。
「お主には魔力が確実に使えぬ。じゃから、拳で戦ってもらうぞ♪」
「どういう意味だ?ちゃんと教えてくれよ。」
「お主には怪力という能力をつけた。あらゆるものを力で砕けるだろう。副作用で狂人化も、ついてくるがのう。」
途中から話なんて聞いてない俺は、力任せにヤシの木を殴ってみた。
「ゴッパン!!!」
おかしな音がしたと、思ったらヤシの木が遥か遠くまで吹っ飛んでいた。
怪力って言うレベルじゃねぇ。化け物だな。
「スマンのう。今のでワシの力のほとんどを失った。テレパシーも使えんくなってしまうぞ。」
「じいさん、ちょっと誤解してたぜ。あ、ありがとな。」
「ふむ。素直なことは、いいことじゃ。ワシは少し力を溜め直すわい。魔王を倒したら元の世界に戻そう。頑張るのじゃぞ。」
そう言ったっきりじいさんの声は聞こえなくなってしまった。
しまった!狂人化のことを聞いてない。まぁなんとかなるか?
取り敢えず人を探して情報を集めないとな。
俺は海とは反対に見える草原に足を向けて歩き始めた。
誤字脱字、あったらどうしよう。そんな気分でやってます。
次回は第一町人発見ってかんじにします。