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77 ジャバルグ軍の秘密


「此度の戦で、勇敢に戦い、惜しくも死んでいった戦士達に黙祷を捧げる」



 戦があった次の日、戦死者達の墓の前に、生き残った全兵士が集められた。


 死者の中には軍に入って間もない兵も多くいたが、皆、本当に勇敢に戦った。

 黙祷の間、そこら中から泣き声が聞こえてくる。


 ライアンの死は本当に堪えた。


 あのまま鉱山にいれば、今こうやって死ぬことはなかったんだ。けどあんな奴隷生活を続けていた所で、絶対に幸せになんかなれやしないってのもまた事実。


 死んだのは残念だったが、俺がそのことを後悔するのは違うよな。

 皆が幸せになるには、結局ジャバルグをこの世から葬り去るしかないんだ。


 必ず奴を倒し、尾張を平和な国にしてみせるからな!






 ************************************************************






 あれから数日、俺はミスリルの刀を作り続けた。

 論功行賞までにどうしても必要だったからだ。


 それとは別に、ドワーフ達も刀を作り続けている。

 毎日のように入隊を志願する者が現れるようになったからだ。


 ミスフィート軍勝利の噂が広がり、長きに渡ってずっと虐げられていた人達が、近隣の村などから大量に逃げ出して来た。もう毎日、ルーサイアかパラゾンに難民が押し寄せて来るという非常にカオスな状態だ。



「小烏丸さん!ジャバルグ軍の密偵らしき人物が数人、ルーサイアの様子を伺ってるのを発見しました!」


「なにッ?わかった。俺が行こう」




 ルシオに案内されて街の入口へ来ると、遠くの茂みに3人分のモヒカンが揺れてるのが見えた。

 ・・・もしかして、あれで隠れてるつもりなのか!?


「もう明らかにジャバルグ軍の兵隊じゃねえか!」

「でしょう?モヒカン兵は密偵には向いてないですよね」

「ウーム。奴らの考えてることなんぞわからん。まあサクッと処分して来るわ」

「お気を付けて!」



 逃げられる可能性はあるけど、隠れながら近づくのも無理なので、普通に真っすぐ歩いて行く。


 こちらに気付いたようで、モヒカンの動きが停止した。

 ・・・いやお前ら、草むらからモヒカンが飛び出してるぞ。



「隠れたって無駄だ!」


「クソッ、見つかった!」

「なにィ?なぜ気付かれたんだ!?」

「しかし敵は1人だ!殺っちまうぞ!」



 じゃばるぐへい 1 2 3 があらわれた。


 <こがらすまるのこうげき>


 じゃばるぐへい 1 と 2 がたおれた。


 じゃばるぐへい 3 はにげだした。


 しかしまわりこまれた。



「クソがッ!何なんだテメーは!!」

「前から一つ聞きたかったんだが、なんでお前ら全員ハゲかモヒカンなの?」


「あ!?」


「何度も言わせるな!なぜお前はモヒカンなのか聞いている!」

「くっ!ジャバルグ様がハゲだから、こうしないと殺されるんだよ!!」


 プッ!そんな理由だったのか!


「いや、お前はハゲじゃなくて、モヒカンの方だろ」

「ジャバルグ様の弟君がモヒカンだから、この頭だけは許されるんだ!」


 すっげー納得いった!コイツらは、好きでこんな頭にしてたワケじゃなかった!


「なるほど。大変だなお前らも・・・」

「教えてやったんだ!見逃してくれ!」

「あ、それは無理」


 サクッと最後の一人を処分した。



 なんかもう、目から鱗ってくらいスッキリしたぞ!

 有り得んほどふざけた理由だったんだな。

 どっちにしろ、中身は腐れ外道だから同情はしないが。



 剣と鎧を回収して、死体はその辺に燃やして埋めた。






 ************************************************************






「という話を、奴らから聞き出したのですよ!」


「アーッハッハッハッハッハ!くっだらない理由ね!」

「ぷぷぷぷっ!それで全員変な頭だったのね」


 館の玄関先にカーラとフローラがいたので、奴らの秘密を教えてやった。


「ルーサイアを偵察してたってことは、情報収集を始めたって所でしょうか」

「なら、パラゾンの方にも来てるかもしれないわね」

「今あっちにいるのはカトレアだっけ?」

「チェリンもあっちね」

「その2人がいるなら大丈夫かな。機転が利くから、敵が情報を集める前にサクッと倒してくれるハズ」


 チェリンはともかく、カトレアは本当に抜け目が無いからな。


「あ、カーラ!夕食後にミスフィートさんの部屋まで来て欲しい。少し相談したいことがあるんで」

「夕食後ね?わかったわ」


 そろそろ論功行賞の話し合いをしなきゃならんのですよ。

 今まではミスフィートさんと2人で決めていたんだけど、カーラはもう幹部みたいなものだから、重要な話し合いの場にいる権利がある。



 そして夕食後、ミスフィートさんの部屋に向かった。




 ・・・・・




「アーーーッハッハッハッハッハッハ!ふ、ふざけてる!」


 ハゲの話をしたらミスフィートさんも大爆笑だ。


「私もずっと不思議だったんだ。しかし、そんなくだらない理由だったとは!」

「アタシも1度だけジャバルグを見たことあるけど、確かにハゲだったわね」

「奴らはただでさえ顔も凶悪だしさ、そういうファッションが流行っているのかと思ってたよ」


 なんせ顔を合わせただけで殺せーって来るような連中だから、落ち着いて会話することも出来ん。追い詰めて強引に白状させたのは正解だったな。


「あー、笑った。よし、じゃあそろそろ恩賞についての話し合いをするぞ」



 おっとそうだった。ハゲで盛り上がってしまったけど、今日はこっちがメインだ!

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