66 衣装のお披露目(2回目)
新しい衣装に着替えた4人を連れて、玄関まで戻って来た。
彼女達にはココで待機してもらい、俺だけ外に出る。
ミスフィートさんがこちらに気付いたので、『成功』とサムズアップで答える。
「皆の者静粛に!4人の準備が出来たようだ。どれほど美しくなったのか、私も楽しみだぞ!」
「よし、じゃあ行くか」
4人が少し緊張しながら、皆のいる方へゆったりと歩き出す。
「「わあああああああああーーーー!!!」」
「すごい!みんな可愛い!!」
「リタとリナの着ている服、すごく綺麗・・・」
「ルーシーの服、めちゃめちゃ可愛いね!ん?なんか角と尻尾が生えてない?」
「ワタシはチェリンの服が1番好き!優雅で格好良いわ!」
前回の時もすごかったけど、割れんばかりの大歓声だ。
どの服も無茶苦茶豪華だからなー。
「4人共、凄く綺麗になったな!とても良く似合っているぞ!」
「ありがとうございます!」
「当然の結果ね」
「私達は可愛い」
「なんかちょっと恥ずかしいっス!みんなの視線が角と尻尾に行ってるっス!」
「カーラ、カトレア、セーラ、それとララも、前へ出て来てくれないか?」
呼ばれた人達が、ミスフィートさんの前まで行く。
「見ての通り、服というモノは実は膨大な種類があるのだ。前回話したことをもう一度言うが、服を自作して小烏丸に付与魔法をかけてもらえば、性能はともかく、見た目だけでも華やかにすることは出来る。依頼料として金貨10枚が必要ではあるが、今着てる服と同じ防御力までならば強化が可能なので、これは本当にお勧めしたい」
皆の方を見ると、野望に燃えている者もいれば諦めてる者もいる。
まあ、気持ちはわかる。まだ街の方が全然俺達について来られないからだ。
「現状では確かに布の入手が困難だが、ルルから面白い話を聞いた。ルルの村では綺麗な布を作っていたらしいのだ。ルルの同胞を見つけ出して私達で保護する事が出来れば、布問題を解決出来るかもしれないぞ!」
「「わああああああああ~~~~!」」
なんと!?それは俺も初耳だ。ルルの同胞っつーとエルフよな?まだ本人に確認とってないから、全然違う可能性もあるけど。
「ミスフィートさん、俺からも一言いいですか?」
「ん?構わんぞ。話してみるがいい」
「えーと、彼女達の華やかな衣装は、とある経路から俺が入手したモノなのですが、一つだけ残念なお知らせがあります。それは男物の服がまったく手に入らなかったということ。俺が今着ている服を手に入れて以来、なぜか一着の男性服すら手にすることが出来なかった」
この偏りってマジで何なんだろう?赤い流星の呪いか何かか!?
「なので男性陣が活躍した時の恩賞は、服ではなく武器や酒などになることを了承してもらいたい。カーラ、先程手に入れた刀を抜いて、皆に披露してくれないか?」
「曼殊沙華ね!?もちろんいいわよ!」
カーラが刀を抜いて、頭上に振りかざす。
「御覧の通り、この刀はミスリルで出来た特別製で、通常の鉄の刀より遥かに強い!遠目からでもその美しさを感じられるハズ。これを手にすれば、戦場での活躍はもはや疑いようがないと断言出来ます。なので、皆はこれを目標に頑張って下さい!もちろん女性達も、服の次に狙うのはミスリル刀です!」
「「おおおおおおおおーーーーーー!!!」」
とりあえずこれで我慢してもらうしかないのだ。男性服が手に入らん以上、俺にはどうしようもないからな~。
「今回の論功行賞はこれにて終了とする!次の戦いでも皆の奮闘を期待する!」
2回目の論功行賞も大盛況に終わった。
間違いなく軍の士気を高めることが出来ただろう。
ただ現時点では、俺の財力に全てがかかっているんだよな。
尾張を統一さえすれば、領地と身分を与える方向に動くだろうから、早いとこジャバルグ軍を一掃したいものだ。
************************************************************
ドワーフという鍛冶職人が来てくれたのは本当に大きい。
装備品を全部俺1人が作ってる現状って、どう考えても普通におかしいよな。
刀はダンジョンでの修行中に作り置きした数が半端なかったんで、いきなり豪快にばら撒いたワケだけども、さすがに鉱山組や新参者全員に渡すほどの数は無い。
なので、ドワーフ達に刀の作り方を教えて、彼らに作ってもらうことにした。
キンッ キンッ キンッ キンッ
「凄いのう。こんな技法があるとは・・・」
「細いのに折れない理由はこれか。見事と言う他ないわい」
「この刀を量産して欲しいんですよ。んでその後、完成した刀に俺が魔法を付与していく流れになります。軍の人数が増えると、さすがに俺一人で全てをやるのは厳しくてね・・・」
「ワハハハ、そりゃそうじゃ!」
「むしろ、今までこがらす殿が一人で全部やっていた事に驚きじゃわい」
「刀を打つのは好きなんだけど、付与魔法に時間を取られすぎなんだよなぁ」
「あの、おなご達の服にも魔法を付与してるんじゃろ?お主は働きすぎじゃ!」
うん。俺も心の底からそう思ってるぞ!
「なので、刀の製作はドワーフの皆にお願いします。報酬として、定期的に酒を渡しますよ!ジャバルグから尾張を奪取したら、普通に報酬も支払えます」
「おおお!そりゃ増々やる気が出るわい!」
「酒が報酬とあっては手が抜けん!」
「ハハッ、じゃ、俺はそろそろ行きますね」
よし!これで俺も付与だけに集中することが出来そうだな。
ドワーフ達を仲間にして大正解だった!本当に頼りになる人達だ。