67 魔道具を作っていたら発見
刀作りをドワーフに任せたまでは良かったが、ミスリルやオリハルコンの大業物を作れるのは加熱魔法が使える俺だけだと気付いた。なので、館の地下にある一室を作業場として使わせてもらうことにした。
部屋でガンガン叩いてたら、壁ドンされてしまうからな。
試しに作業場で鍛冶をしてみたんだけど、とりあえずミスリル刀が一振り完成した所で一旦終了。
うん、ミスリルが足りん!
鉱山でミスリルとか掘れないモノだろうか?
いや、あの鉱山でミスリルが掘れるならば、手に入れた鉱石の中にもあったハズだ。すなわちあそこじゃミスリルは採掘出来ないのだろう。今度、尾張の国にミスリル鉱山がないか調べてみる必要があるな。
というか、手元にはオリハルコンの方が在庫があるんだけど、恩賞でいきなりオリハルコンはどうかと思うんだよね。こういうのは段階を踏んでいかないと、次の目標がなくなってしまうから。
異世界ならば、ヒヒイロカネとかアダマンタイトとか、ファンタジー特有の鉱石がもっと色々あってもいいよな。
鉱石の探知機みたいのを作ってみっかな?
しかし作ったとしても、探知機を抱えて野山を駆け回る必要があるから、ジャバルグから尾張を奪取するまではちと無理か。
いや、それでも絶対使う時が来るから、作れるかどうかだけでも試してみよう。
・・・・・
うん。探知機っぽいのは一応出来た。ミスリルに近づくと発光する装置だ。
しかし、もっと重大なことに気付いてしまって、それどころじゃなくなった。
そう、光るのだよ!
ダンジョンに光属性のガチャが無かったんで、理由はわからんけど存在しないのだろうと決めつけていた。でもよく考えたらこっちの世界には白い魔石があってさ、もしやと思って光生成を付与したら成功してペッカリ光りおった!
冷静に考えてみれば、俺が今いる世界と、ダンジョンのあるアリアもまた違う世界なんだよね。すなわち、アリアの世界には光魔法が無いってだけなのかもしれない。
それはさて置き、探知機を作ったお陰で新たな可能性に気付くことが出来たのは本当にラッキーだった。
探知機でミスリルが見つかった時に、音でお知らせするか光らせるかって考えてたら偶然発見したワケですよ。結局音の出し方はよくわからんかったけど。
何にしても、こうなったら一刻も早く照明を量産するしかないよな!
・・・・・
ってことで作りましたよ、照明器具を5つだ!
蛍光灯を作るのはさすがに無理なので、鉄をハの字型にした物に光生成を付与し、ボタンを押した時に広範囲を照らせるようにした。
これをそのまま天井にセットするとボタンを押すのが大変なので、照明から壁に回路を這わせて、壁にセットした丸いボタンを押せば照明が光る仕組みにした。魔石はボタンの土台部分入れるようにしたので交換も簡単だ。
んで天井に照明をセットするには絶対必要になるだろうと、脚立も作った。
さーて、屋敷の主要ポイントに照明を取り付けに行くぞ!
まず絶対に照明が必要だと思っていた場所は、地下にある訓練場だ。
昼間は光が入るように創意工夫された作りなので、夕方くらいまでは訓練出来るんだけども、それでも薄暗いのがずっと気になっていたんだ。
ココに照明がつけば、みんな時間に縛られずに訓練が出来るようになるのだ。
・・・・・
パチッ
訓練場が明かりで照らされた。
まだ夕方前くらいだけど、明かりがつくと随分暗かったんだなーというのが良くわかる。
「え?なにコレ!?すごく明るくなったわ!」
「どういうこと!?」
「この光って魔道具なの??」
「おお!?訓練場が昼間のように明るくなったぞ!小烏丸が何かやっているからずっと気になっていたのだが、こんな凄いモノを作っていたのか!!」
訓練場は結構な広さなので、照明も大きいのを設置した。
光を強くしたかったので、スイッチの土台部分を大きくし、中に光魔石を5個入れてある。
「よし、上手くいった!これで皆の訓練も捗りますね!」
「これは素晴らしいわね!」
「みなさん、こちらに注目して下さい!今から照明のつけ方を説明します」
当然だけど、皆が照明に興味津々で、訓練場にいた全員が集まった。
「この壁に設置した箱に注目です!コレが照明をつけるスイッチになっていて、この丸いボタンを押すだけで、照明をつけたり消したり出来るようになってます。ナターシャ、このボタンを押してみて下さい」
ナターシャがボタンを押すと、明かりが消えて訓練場が暗くなり、もう一度押すとまた明るくなった。
「なるほど、簡単ね!」
「この箱の中に光属性の白い魔石が5個入っているんだけど、明かりがつかなくなった時は、この白い魔石を全て同じ色の魔石に交換してもらいたいんだ」
たぶんほとんどの人が魔石のことを何も知らないから、この場でしっかりと説明する必要があるな。
「えーと、魔石ってのは消耗品なんだ。魔道具を使っていると、魔石に蓄積されているエネルギーがどんどん減っていき、最後には力尽きて中身が空っぽになってしまうのですよ。なので魔石を節約する為に、訓練場を出る時は最後の人が必ず照明を消すことを心掛けて欲しい」
「「はーい!」」
一度説明しただけじゃ理解出来てない人もいるだろうけど、使ってるうちにわかってくるだろうから、今回の説明会はこれくらいでいいや。
さて、次はトイレだ。
異世界トイレってのは実は結構清潔だったりする。理由はトイレの下に放されているスライム君のお陰だ!彼が排泄物を全て処理してくれるのだ。
しかし暗闇の中で用を足すのが本当に大変でさ、ずっと明かりが欲しいと思っていたんだよね。
・・・・・
パチッ
よーーーし!これでもう夜のトイレも怖くないぞ!!
「あれ?小烏丸、トイレで何してるっスか?」
「お?ルーシーか。暗いのイヤだから照明を設置したんだ。用を足しに来たんだったら、ちょっと試してみてくれないか」
「たしかに用を足しにトイレに来たっスけど、何を試すんスか?」
俺はまだ軍に入って日が浅く、誰が年上なのかもわからなかったりするから、基本的に敬語で会話をしているんだけど、なぜかルーシーに対してだけは自動的にタメ口になってしまう。たぶん彼女の、独特な砕けたしゃべり方のせいだなきっと。
「壁に箱がついてるだろ?そのボタンを1回押すんだ」
「えーと、これ?ポチっとな!・・・ってなんか明るくなったっス!!」
かなりの衝撃だったらしく、ルーシーが目をまん丸くしている。
「これでもう、夜のトイレも快適になったハズだ!」
「すごい!!コレはみんな驚くっスよ!」
「んで、もう一度ボタンを押すと明かりが消えるんで、使い終わってトイレから出る時は、毎回明かりを消して欲しいんだ」
「明るいままだと駄目なんスか?」
「明かりをつけたままだと、魔道具に入ってる魔石のパワーが無くなってしまうんだ。まあその辺のことは後で詳しく説明するよ」
「よくわからないけどわかったっス!みんなにも言っとくっス!!」
さて次だ。
前から階段が危ないなーと思っていたんだよね。
本当は、階段の上と下にそれぞれスイッチがあれば良かったんだろうけど、今回はそこまで凝った物は作ってないから、小型の照明を夜の間だけつけっ放しにしておこうと思う。
・・・・・
「よし、完成!」
「何が完成したの?」
「ん?カーラか。階段は危ないからな。夜は明るくしておこうと思って照明を設置したんだ」
「あの天井にあるヤツ?」
「そうそう。壁に箱がついてるだろ?そのボタンを押してみ」
ポチッ
「え!?なんか明るくなった!!!」
「階段以外にも、訓練場とトイレが明るくなったぞ」
「おおおおーーー!本当にすごいじゃないっ!!」
「訓練場とトイレの照明は、使わない時に消しておくよう皆に言ったんだけど、階段は危ないので夜の間つけっ放しにするわ。明るくなったら照明を消すって感じにしようと思ってる」
「了解よ!みんなにも言っとくね!」
あれ?思えばカーラにもタメ口になってるな。親しみやすいからだろうか?
まあいいや、残るは俺の部屋とミスフィートさんの部屋だな。




