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好きな人の隣は、まだ私の席じゃない。

作者:kaka
最新エピソード掲載日:2026/10/05
高校二年の春。

バドミントン部の朝練に向かう途中、俺は毎朝同じ女子を見かける。

隣のコートで、一人だけ早く来ている女子。

宮本結菜。

明るくて、誰とでも話せる。
クラスでも人気がある。

でも、俺が彼女と話すのは「おはよう」と「また明日」くらい。

それでも俺は、彼女を見るのが好きだった。

誰もいない体育館で、一人で練習している姿が好きだった。

だから、ある朝。

いつもより早く体育館へ行った俺は、誰もいないと思っていた彼女が、コートの隅で泣いているところを見つけてしまった。

「……朝倉くん?」

「ごめん。見なかったことにする」

「待って」

彼女は涙を拭いて、少しだけ笑った。

そして、俺に言った。

「明日から、一緒に朝練してくれん?」

それが、俺たちの距離が変わる最初の日だった。

ただ一つ、俺は知らなかった。

彼女には、好きな人がいることを。
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