表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【連載版】3才児ですが可愛い花嫁がやってきた!と溺愛されてます。しかし私は敵国の最強魔法帝です  作者: 六花きい


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

37/46

37. 誰よりも幸せになっていただかないと


 話を持ち込んできたのはディーンの父。

 ――前魔法師団長、ターナー卿だった。


 レティシアを魔法師団に迎え、一から魔法を叩きこんだ、魔法国が誇る伝説級の魔法師である。


 白髪交じりの銀髪に、鋭い眼光。

 若い頃は女性人気が凄まじかったと聞くが、その人気は未だに衰えず、あのレティシアですら、傍にいると嬉しそうに頬を赤らめる始末である。


 トルティア王国での一件がターナー卿の耳に入ったのは、数日前のこと。

 そしてレティシアが魔塔の執務室で書類と格闘していた午後、ターナー卿は久しぶりに彼女の執務室へと訪れた。


「レティシア様、ご無沙汰しています」

「……ターナー卿。随分と珍しい」

「お元気そうでなによりです」


 にこにこと人好きのする笑顔を浮かべながら、ターナー卿はレティシアの前に歩み寄った。

 急にどうしたのだろうと、レティシアはペンを置く。


「レティシア様、お見合いをしてみませんか」

「……は?」

「魔法国騎士団長、アルベルト・ノープスです。ご存知でしょう?」


 知っている。

 二十七歳。魔法国騎士団を率いる、若き団長。

 黒髪に黒眼、整った顔立ち。文武両道で人望も厚く、騎士団内での人気は高い。


「知ってはいるが、急にどうした……?」


 魔法師団と、騎士団。

 管轄が異なるため接点は少ないが、合同訓練で何度か顔を合わせたことはある。


「……なぜ、お前がそれを勧める。急にどうした?」

「レティシア様も二十五歳でしょう」

「余計なお世話だ」

「まあまあ、そう仰らず」


 ターナー卿は懐から何冊かの釣り書きを取り出し、テーブルの上に置いた。


「他にも候補はおりますので、好きに選んでいただいて構いません」


 一番上の釣り書きを開くと、アルベルトの経歴書だった。

 アルベルト本人が描いたのだろうか、几帳面な字でびっしりと書いてある。


「必要ない」

「まあ聞いてください。レティシア様が幼い頃から魔塔に籠もりきりだったことは、彼も知っています。剣を学び、魔法を磨き、魔法帝になるためだけに生きてきた。でもそろそろ、その先を考えてもいいんじゃないかと思いまして」


 レティシアの手が止まった。


「クロニクルに、何か聞いたな?」

「さぁどうでしょう。皇女を祖母に持ち、婿に迎えても問題ない家柄です」


 穏やかに躱されるが、それ以外に考えられない。

 大方、ディーンとの一件について報告が行ったのだろう。


「……余計なお世話だと言っている」

「そうですか。ですがまぁ年寄りのお願いだと思って、会ってみてください。もしアルベルトが気に入らなくても、候補は数人おりますので。気が進まなければ、断ってくださって構いません」


 ターナー卿は立ち上がり、軽く会釈をした。


「レティシア様には、誰よりも幸せになっていただかないと。不敬かもしれませんが、わたしの娘のようなものですから」


 それだけ言って扉が閉まり、レティシアはしばらく経歴書を眺めていた。

 別にお見合いをするのは構わないし、断っていいのであれば尚更だが、ロイドとの件もある。


 正直気が進まない。

 仕事が入っていれば断ろうと思って予定を見れば、ちょうどお見合いの時間帯だけ、すっぽりと予定が抜けている。


「ターナー卿、謀ったな……」


 相変わらず食えない男だが、一度受けておけばこの先言われることもないだろう。

 かくしてレティシアは人生初、魔塔の応接室でお見合いをすることになった。


 普段は魔法師のローブか、動きやすい装束ばかり。

 こういった場のための衣装など、ほとんど持っていなかったレティシアは、ターナー卿の監修により、不本意ながらドレス姿で参加することになった。


 このような恰好はなるべくしたくないんだが……。


 ターナー卿が手配したドレスは、濃紺に金糸の刺繍が入った、落ち着いた色合いのもの。

 魔法帝の威厳を損なわず、しかし女性らしさも引き出している。


 さすが数々の浮名を流してきただけあって、ドレス選びも抜かりない。

 憎らしいほどレティシアによく似合っている。


 ロイドには絶対言えない。

 そして昨日からディーンがやけに静かなのが気になった。

 てっきり邪魔しにくるのだろうと思いきや、粛々と仕事に励んでいる。


 ——珍しいこともあるものだ。


 そう思いながら、レティシアはお見合いに臨んだのである——。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ