表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生勇者と転生魔王の未来目録  作者: Aa_おにぎり
一年生②

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

43/60

#43

「畜生!離しやがれ!」

『あらぁ、元気いっぱいでお可愛い事』


バケツ頭のオートマトンに首根っこを掴まれている狐の獣人と言う、中々に強烈な景色を見させられている自分達だが。レオポルトは別の意味で唖然となっていた。


「な、なんでお前がここにいるんだ…?!」

『ん?あっらぁ、レオじゃないのぉ』

「ひぇっ」


何か悍ましいものを見たような顔で怯えるレオポルトにアニ達は困惑していた。


「あの…大丈夫です?」

「気をつけろ…こいつは恐ろしい奴だ」

「「「は?」」」

『やぁねぇ。私は怖くも何もないわよぉ』


しかし悲しいかな、すでにオートマトンのくせに人間らしい話し方をしている時点でだいぶ異質な目を向けられているのだ。


基本的に泥や岩を主に構成された人形をゴーレム、こう言う金属を主に使った人形はオートマトンという風に分けられる。主な用途は土木作業などでの物資運搬や建築などに用いられる物や、家事などを行うものに分けられる。


そしてそのバケツ頭のオートマトンは腕で暴れているエリカを五本のマニピュレーターで掴みながら四人を招き入れる。


『さぁ、入って頂戴。すぐにお茶を出すわ』


機械音声で滑らかに話すと、暴れるエリカを捕まえたまま部屋に入った。


「…なぁ、俺の知ってるオートマトンって。こんなに流暢な言葉を話さないんだが」

「どういう事なの?」

「ひどく怯えているように見えましたが…」


三人は部屋に入って行ったオートマトンに驚きの声を見せると、そこでレオポルトは意識が戻ったように硬直していた顔をハッと動かしていた。


「っ!」

「大丈夫ですか?」

「ああ…大丈夫だ」


唖然となっていた彼は先ほどのオートマトンを見て固まってしまっていたが、何かしらの関係ありと見ていた。


「お前がそんなに怯えるのかよ」

「レオの弱点みっけ」


ジャクソンやヴァージニアはそう言う反応を見せているが、レオポルト自身は何かいけないものを見た様な表情のまま一言。


「…知らないからそんな事が言えんだよ」

「「「え?」」」

「入ればわかる」


最後に強制的に切った彼はそのままオートマトンの入って行った部屋に入って行った。




『エリカちゃんはよく寝ているわ』

「そうか」


ホームレス用の仮設住居は廃棄されたコンテナを使用したコンテナハウスであり、一通りの設備が整ったモジュラー式の住居だ。奥の日の差すベットの上ではエリカが横になって寝ており、彼女の周囲には丁寧に安眠の為によく使う魔法が使われていた。


「オートマトンが魔法を使えるの?」

「こいつが特別なだけだ」


ヴァージニアの疑問にレオポルトが即答で答えるとオートマトンは席に着いた他三人に挨拶をした。


『初めましてレオのご友人方。私、生活補助人形(ホーム・オートマトン)のバケツと申します』


自らをバケツと名乗ったオートマトンは紅茶の入った紙コップを置く。


「バケツ…」

「成程、そのままの名前ね」

「初めまして」


自己紹介を受けた三人もそれぞれ挨拶をすると、早速アニが聞いた。


「バケツさん、その…あなたはオートマトンなのですよね?」

『ええ、私は正真正銘のオートマトンでございます。生産者はカール・ウリヤノフ、そこに座っているレオポルト・ウリヤノフのお父様でございます』


アニの疑問に流暢に答えると、ジャクソンが次に聞いた。


「じゃあ、アンタはなんでここにいるんだ?」

『私の主人であるカムチャル・ノースロップの名に従い、この不法移民の少女の保護観察任務を行なっております』


カムチャルと言う名にアニは少し反応をしてしまった。無理もない、半年前のあの事件で彼女に聴取をしていた本人なのだから。

罪の意識があるが故に、無罪と言われた今でも警察には少し苦手意識があった。


「ん?主人って、レオポルトのお父さんじゃないの?」


そこでヴァージニアが疑問を投げかけた。制作者がレオポルトの父親ならば、普通はカールが主人ではないのかと。

すると彼女は少し笑いながら事情を説明した。


『元々私はカムチャル・ノースロップの家事を補助するように設計されております』

「レオの知り合いの刑事さん?」

「そうだ」


ヴァージニアの問いにレオポルトが頷くと、彼はそのままバケツを見ながら続ける。


「こいつは元々親父が自作したホーム・オートマトンに改造を加えて生まれたんだ」

『えぇ、レオやドーラは色々とお世話したわよぉ』

「もう勘弁してくれ。お前さんの癖に付き合いたくは無い」


疲れた様子で溢すレオポルトに過去に何があったのかと興味を唆られてしまう。


『でも今日は、あの子に会いに来たんでしょう?』

「ああ、容態はどうなんだ?」


レオポルトが聞くと、バケツはいつもの婆婆っぽい言い方で答えた。


『特に大きな少々は無いわ。ただ、ちょっと前の一件で負った傷で魔石病の症状が出ているわね』

「そうか…程度は?」

『そうね、まだ軽症よ。薬を使えば治る程度』


ベットで寝ているエリカに関する報告を淡々と、当たり前の様に答えるバケツに半分驚き、半分興味の三人は出された紅茶を飲みながら聞いていた。


「魔石病ですか…」

「ああ、体内から魔石病で算出される一品は高純度故に高く売れる」


魔石病は体内に胆石の如く魔石が発生する病気だ。魔力溜まりで生まれる逸品ゆえに摘出される魔石は魔力の純度が非常に高い。


「だからって、なろうとは思わんな」

「本当に金に困った時の最終手段よね」


そして純度が高いが故に貧乏人はわざわざ(もちろん違法だが)魔力溜まりに侵入して己を魔石病に侵食させて体内に魔石を作って、闇医者に頼んで取り出して売ると言うのが問題になっていた。

ただ、これに関しては多くの危険が伴うので本当に最後の最後に使う一手であった。故に検挙数も他と比べて圧倒的に低かった。


『体の方はもう回復しているわ。前の事件の後遺症もない』

「そうか…」


そしてカップが空になると、そこでバケツはやや申し訳なさそうにアニ達に言った。


『わざわざ来てもらったのにごめんなさいね』

「ああいえ、むしろこうやって合わせてくれた事が驚きですから」


元々、保護をしたこの少女の第一発見者は自分達と言うことになっている。ただ、保護した彼女の詳しい情報は個人情報保護の面で言われる事なくレオポルト以外は詳しく知らなかった。

そしてベットで寝ているエリカを見ながら見舞いの品として買ってきた菓子類を置いていくと、バケツは言った。


『あの子、今まで何度も私の元を逃げ出そうとしていたのよね。今まで大勢の大人の人ばかりだったものだから』


そう話すバケツに四人はエリカの今まで扱われてきた周囲の環境が容易に想像できた。

警察の保護下で生活の全てを見られた彼女の心労は計り知れない。


『これ以上警察に囲まれるのもあれだから、って理由で私に預けたの』

「警察官とお前の怖さはどっこいどっこいだよ」


レオポルトがそこで一言口を挟むとアニ達は首を傾げていたが、すぐにレオポルトが口を閉ざしたので何もわからないまま時が過ぎていった。




「今日はありがとうございました」


コンテナハウスの前でアニ達が頭を下げて今日の面会をしてくれた事を感謝した。

結局、エリカが目を覚ますことはなく。遠くから見ているだけで終わってしまったが。提案したヴァージニアはこれで満足だったようで、表情も安堵していた。


『また用があったら連絡頂戴ね』

「はい」


故に二回目にここに来る事はないだろうと思っていた。

その後、エリカが保護課に置かれている理由を話せるだけ話したバケツはそのまま四人を見送る。


「いい人でしたね」

「人なのか?」

「正真正銘のオートマトンだぞ」


帰り道、レオポルト達はバケツの事で色々と思ったことを聞いていた。


「なんであんなに人間っぽいの?」

「そうですね、不思議です。まるで人間と話しているみたいでした」

「実家にもホーム・オートマトンがあるけど、あそこまで人間らしくねぇぞ」


三人はレオポルトに疑問の目を見せると、そこで彼はああなった訳……自分達にとってみれば黒歴史も同然なのだが…。


「昔、妹と一緒に親父の部屋にあった古代魔法の降霊術の実験をした事があってな…」

「降霊術って…あの精霊や死霊を呼び出すと言う、あれですか?」

「ああ、それだ。呼んだのは精霊だがな」


頭の痛くなる話だが。当時、カムチャルの家で遊んでいた俺達は、その時親父が持ってきていた魔導書に興味があり、見様見真似で魔法陣を作って降霊術を実験しようと思っていたのだ。

当時は記憶を二人とも取り戻したばかりで知識もあり、次いでだからやってみようの半分お遊び感覚だった。

当時の自分達の魔力じゃあ大したものも呼べないだろうとたかを括っていたのもある。


そして魔法陣を書いていざ魔法を発動させた時、恐ろしい魔力が使用者であった俺たちの魔力を全部吸った後に輝かしい光と共に降りてきた光の玉は、親父達の悲鳴に近い驚愕と共に近くにいたバケツに入り込み。そこで自我を持った強い精霊の宿った機械生命体としてバケツは生まれ変わってしまったのだ。


「しかもその精霊ってのが、結構な上位種だったみたいで。()()なっちゃったの」

「「「…」」」


全容を知り、なんとも唖然となった表情のほか三人。


「何というか…」

「その…」

「オメェもしっかり親父さんの血を注いでいるんだな」

「グゥの音も出ない…!!」


悔しい表情を浮かべながらレオポルトは頭を軽く抱えていた。


「おまけに雷の精霊を呼んじゃったみたいで、バッテリーが永遠に切れないの」

「えっ、それって…」


アニが溢すと、レオポルトはややげんなりして頷く。


「そう、お帰り頂く事もできない」


宿主がいなくなれば精霊は自然と帰るという鉄板の法則が出来ない。つまり、永遠にバケツには精霊が宿る状態ということになる。


「分解は?」

「したけど無理でした」

「取り憑いた原因は?」

「不明。解決法も分かりまへん」


完全に詰んでいる状況にレオポルト達は早々に匙を投げていた。


「うーん、この」

「中々にやばい事してるわよアンタ達」


そしてレオポルトは大問題と言ってバケツ最大の欠点を暴露した。


「最悪なのはアイツ、子供趣味があるところだんだよ」

「え?子供好きってこと?」


それなら特段問題にはならないじゃないかと言おうとしたところで彼は言った。


「いいや、あいつの場合子供を守る為なら何でもやるタイプの方」

「「「うわぁ…」」」


束縛系の奴かと、後々思い返すと色々と怪しい部分はあったなと思ってしまった。そして同時に、そんな精霊に目をつけられたエリカに黙祷を捧げていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ