↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/188

第6話 視察 前編

前回のあらすじ

平穏な日常を過ごしてる

 

 翌日。

 今日はカストールと共に、街の視察へと繰り出していた。

 カストール曰く、「書類上の情報だけでは知り得ないこともあるから、実際に自分の足で歩いて見て回る必要がある」らしい。


 その視察にわたしも、り……領主夫人として同行してるけど、見ようによってはデートと言えなくもない。

 だからわたしは内心、ウキウキと心が弾んでいた。


 でもわたし達だけで街に繰り出すのは危険以外の何物でもないから、護衛役としてシグルドとブリュンヒルデが同行していた。

 ……まあ実際の所、わたしの創造魔法とカストールのあの魔法はある意味では相性が良いから、危険なんて無いに等しいんだけど……。


 護衛役二人の魔法だけど、シグルドが創剣魔法と言う、あらゆる剣を瞬時に生み出せる魔法。

 ブリュンヒルデが刻印魔法と言う、ルーン文字と言うモノを利用して色んな魔法を再現する魔法だった。

 二人は何も魔法だけで戦うわけじゃなくて、シグルドは大剣を背中に背負い、ブリュンヒルデは槍を携えていた。


 そんなこんなで、わたし達四人は大通りを歩いている。

 辺境の街と言いつつも街としてはそこそこの大きさと人口を誇っているから、人通りも多かった。

 それとわたし達の顔は住人の皆には既に知られているらしく、好奇に似た視線が時折飛んできていた。


 歩いていると、雑貨屋の看板が見えてきた。

 カストールの視察に付いてきたのは領主夫人としての務めだけじゃなかった。

 雑貨屋でちょっと買いたい物があったからだ。


「あ……ねえ、カストール。ちょっと雑貨屋に寄っても良いかな?」

「うん、良いよ」


 カストールの許可も得られたから、雑貨屋へと入っていく。

 当然わたし達が訪ねることは伝えていないから、店主だと思われる女性は驚いたような顔を浮かべる。


 店内を見て回ると、目的の物を見つけた。

 目的の物というのはズバリ、セットのティーカップだった。

 今使ってるティーカップも良い物だけど、どうせならカストールとお揃いのカップを使いたかった。

 一応、その……夫婦、だし……。


 そんなことを思いながらティーカップを眺めていると、わたしの後ろからカストールが声を掛けてきた。


「うん? そのティーカップ買うの?」

「うん」

「……どう見てもカップルで使うようなデザインなんだけど?」

「どうせならカストールとお揃いの物使いたいなぁ……って思って。ほら、わたし達ってその……夫婦、でしょ……?」

「あ……うん。そうだね……」


 顔が赤くなっていることを自覚しつつカストールの方を振り向くと、彼も少し顔を赤くしていた。

 でもお揃いという点は嬉しいのか、ニヤニヤとした笑みを抑え切れずにいた。


 ……ただ、店内にはわたし達以外にもいるわけで……。


「……ねえ、シグ。私達はいったい何を見せつけられてるの?」

「新婚間もない夫婦のイチャイチャじゃないのか?」

「……これだからリア充共は。人目を憚らずにイチャつくんだから。滅べばいいのに」

「……ヒルデ。カストールの旦那もお嬢……いや、今は奥方か。二人共俺達の主なんだからな? そんなこと言ってると不敬罪で訴えられるぞ?」

「あの二人がそんなことすると思う?」

「……思わないな」

「でしょう? だからどんなことを言っても大丈夫よ……たぶん」

「何でそこは断言しないんだよ……」


 ……あの、二人。聞こえてるんだけど……?


 そんなことを思っていると、カストールがティーカップを手に取る。


「それじゃあコレを買うんでいいんだよね? 他にもある?」

「ううん、それだけかな」

「じゃあ会計してくるよ」


 カストールはそう言うと、ティーカップを持ってカウンターに向かう。


「コレください」

「あ……はいっ! お値段は二四〇〇オリンピアになります! 領主様相手でしたら、特別に割引くことも出来ますが……」

「定価でいいですよ」


 カストールはそう断り、ポケットから財布を取り出して一〇〇〇オリンピア紙幣を三枚取り出す。

 そしてお釣りとして、店主から一〇〇オリンピア金貨を六枚受け取る。


 この国の貨幣は一オリンピア銅貨、一〇オリンピア銀貨、一〇〇オリンピア金貨、一〇〇〇オリンピア紙幣、一万オリンピア紙幣、一〇万オリンピア紙幣の六種類が存在している。

 ちなみに通貨の単位は国名に由来するオリンピアだ。


 店主がティーカップを割れないように梱包している間、カストールが彼女に尋ねる。


「そうだ、店主。最近この街で何かおかしなことや気になることなどないですか?」

「う〜ん……特に無いですねぇ」

「そうですか。噂話などもですか?」

「噂話ならいくつか」

「どんなのがあるんですか?」


 カストールがそう聞き返すと、店主は何でかニヤニヤとした笑みを浮かべる。


「新しい領主夫妻は美男美女の見目麗しい夫婦だとか、とても仲の良い夫婦だとか、前の領主と違って住人を大切にしてくれそうだとかですかねぇ」

「「お、おぅ……」」


 主にわたし達に関しての噂話だった。

 まあ、悪く思われてないのは良いことなんだろうけど……。






一オリンピア=一円だと思っていただければ。




評価、ブックマークをしていただけると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。