第50話 呼び出し
前回のあらすじ
新学期開始
今日は新学期初日という事もあってか、あれからオリエンテーションをしただけで終わった。
その後は各々好きなように活動し、中にはアーニャ―本人がクラスメイト全員に呼び捨てで構わないと言っていた―に色々と学園内を案内する女子グループもいた。
オリバーはあの後マリー先生の所へと向かい、僕達は校舎内にある大食堂で早めのお昼ご飯を食べていた。
校舎内には大食堂の他にも、購買が三ヶ所存在する。
天気が良い日は購買でパンとか色々と買って外で食べる……なんて事もたまにしていた。
今日の僕のお昼ご飯は大盛のオムライスと日替わりサラダのセットで、ティアはビーフシチューとパン、アルマはシーフードドリアをそれぞれ頼んでいた。
ちなみに大食堂や購買ではきちんとお金を支払わないといけない仕組みで、毎月実家からお小遣いが送られてきている。
その代わり、朝夕の寮での食事は無料だった。
「色々と起き過ぎたね」
「……(もぐもぐ)、そうだね」
「そうッスね……(もぐもぐ)」
「まさかあんなに怒るとは思わなかったよ」
「居眠りするオリバーが悪いんじゃないの?」
「それもそうか」
向かい側に座るティアとアルマにそんな事を話しながら食べ進めていると、オリバーが戻ってきた。
「お帰り、オリバー。どうだった? こっぴどく怒られた?」
「後で反省文を提出するようにだって言われた」
「それはご愁傷様。……お昼、頼んで来たら?」
「そうしてくる」
オリバーはそう言い、カウンターへと向かう。
しばらくして戻ってきて、オリバーは頼んだ大盛のミートソーススパゲッティを啜っていく。
「午後はどうするの?」
「別に何も。部屋でゆっくりしようかなって」
「俺もジュリウスと同じ……と言うか、反省文を書かなきゃいけないからな」
「そう。アルマは?」
「う〜ん……アタシはちょっと買い物がしたいんで、街中に出ようかなって」
「じゃあわたしも行くよ。丁度買いたい物もあったし」
門限はあるけど、門限までに寮に戻って来れれば何処に行こうが何をしようが自由という校則だった。
三人と色々と喋っていると、大食堂にアーニャと彼女を学園内を案内していた女子グループが入ってきた。
アーニャは目立つ容姿なのか、それとも彼女本人が纏うオーラからなのか、ここでも学生達の視線を一身に集めていた。
アーニャ達は大食堂内をキョロキョロと見回す。恐らく、座る場所を探しているのだろう。
すると彼女達は、僕達が座るテーブルに近付いて来る。
「お隣、よろしいかしら?」
「ええ、どうぞ」
「では失礼して」
そう言い、アーニャ達は僕達のテーブルの隣のテーブルに腰掛ける。
アーニャはメニューは任せると言い、彼女をテーブルに残して他の女子達は注文しにカウンターへと向かう。
丁度良い機会だと思い、僕は思い切ってアーニャに話し掛ける。
「アーニャ。一つ質問しても良いかな?」
「はい、何なりと」
「僕の記憶が間違いじゃなければ、『ニブルヘイム』の姓を名乗れるのは皇国の皇族だけだったと思うんだけど?」
「別に隠していたつもりはございませんけど……ええ。わたくしはニブルヘイム皇家に名を連ねておりますわ」
「それじゃあ、お姫様って言う訳だ」
「王位継承権の低い、第三皇女ですけどね」
僕の予想は正しかったようで、それならもう一つの違和感にも納得がいく。
「だからか。皇女であるにも関わらず、護衛らしい護衛がいないのは」
「いえ、護衛はおりますよ?」
「うん? いったい何処に……」
「《スノーホワイト》」
するとアーニャの影から、リンゴを手に持った人形が現れる。
その人形は軽い身のこなしで飛び跳ね、アーニャの膝上にすっぽりと収まる。
「わたくしの使い魔の一人のスノーホワイトです」
「使い魔……召喚魔法か、使役魔法のどっちかだと思うけど……ああ。それなら護衛を付ける必要性は低くなるか」
「ええ。それに普通の学生というのも体験したかったので、無理を言って護衛を付けないようにお願いしたのですわ」
「そうか……やっていけそうか?」
「ええ。皆様にとても良くして頂いているので、不安は微塵も感じませんわ」
「なら良かった」
するとそこで、学園内全ての施設に設置されている魔道具の魔道スピーカーから声が流れる。
『え〜、学生の呼び出しですぅ〜。二年A組、ジュリウス・ディオスクロイ君〜。ティア・レメゲトンさん〜。至急、学園長室まで来て下さい〜』
マリー先生の声が途切れた後、僕はティアと目を合わせる。
「何かやらかした、ティア?」
「それはこっちの台詞よ」
「心当たりは無いけど……行ってくるか」
「そうね。……アルマ、悪いけどお皿片付けておいてくれないかな?」
「いいッスよ」
「僕の分も頼む」
「はいッス」
食器の片付けをアルマに任せた後、僕はティアと共に学園長室へと向かった―――。
ジュリウス達の魔法も追々。
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