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舞踏会の後

 みんなが見守ったり手助けしてくれていた。


 そのことにまったく気がつかなかった。


 舞踏会のあと、王太子殿下やソフィアからいろいろきかされた。


 その内容は、いまだに信じられない王太子殿下の告白同様驚くべきことばかりだった。


 ソフィアがいつもわたしを誘ってくれたのは、図書館以外で王太子殿下と会う機会を作ることだったこと。アマートとディーノの二人は、王太子殿下の命を受けてわたしを見守ってくれていたこと。


 しかもアマートとディーノは、わたしを見守る前にカーラに会って協力を得ていた。

 金貸しのパトリックがやって来た日、カーラとディーノは初対面ではなかったわけである。


 一目惚れは一目惚れだった。それがパトリックから助けてもらった日ではなく、事前に会った初対面のときだったわけである。


 そして、あの日に想いを伝えあった。


 その二人を結び付けるきっかけを作った金貸しのパトリックもまた、わたしを見守ってくれているという。そのことも、かなり驚いてしまった。


 以前、彼はお母様とお父様に助けられたらしい。


 パトリックは、見守ってくれているだけではない。パンや野菜や肉といった食べ物を、それぞれの店主にお金を渡して届けさせてくれていた。


 わたしは、それぞれのお店の善意とばかり思っていた。


 それから、ティーカネン侯爵夫妻は、クースコスキ家を辞めざるを得なくなった使用人たちを他家に斡旋してくれたり、侯爵家で再雇用してくれていた。


 執事のラファエロは、ティーカネン侯爵家で執事として働いているときいた。当然、このことにも驚いた。


 わたしがティーカネン侯爵家を訪れたとき、彼は隠れていたらしい。


 わたしに気を遣わせない為、そのときがくるまで黙っていようと話し合ったということである。


 屋敷で働いてくれていたみんなには、ほんとうに申し訳なかった。だけど、全員収入が途絶えることなく元気にがんばっている。


 それを知り、心からホッとした。


 その話は、自分自身のことよりうれしかった。




 結局、元婚約者のガブリエルは毒杯を賜った。


 手続きや準備、それに続く執行はあっという間だったらしい。


 舞踏会から三日後の朝、収監先の拘置所から刑場に移送され、そこで毒杯を呷ったときかされた。


 さすがに胸が痛んだ。だけど、涙は出なかった。


 彼の死は、わたしを強くしてくれた。


 わたしは、彼の死を教訓にしなければならない。


 ガブリエルにはいろいろ教えてもらった。


 これからは、それをいかさなければならない。


 精神的にも肉体的にも強くならなければならないのである。



 舞踏会では、ガブリエルの凶行ばかりに意識が向いてしまっていた。


 彼に髪をつかまれていたときか、それとも彼に暴言をなげつけられていたときか、はっきりとは覚えてはいないけど、たしかに叔母様と叔父様もあの場にいた。


 二人は、舞踏会に出席する前に賭け事に行くと言っていた。


 賭け事が終わって舞踏会に駆けつけ、ガブリエルの婚約破棄宣言をきいたはず。


 だけど、その後に衝撃的なことがたくさんあったので、叔母様と叔父様のことなんてすっかり忘れてしまっていた。


 アマートとディーノは、叔母様と叔父様のことをしっかり見張っていてくれた。


 彼らが言うには、叔母様と叔父様は上機嫌でクースコスキ家の屋敷に帰って行ったらしい。しかも、大広間のテーブル上に並んでいた葡萄酒や醸造酒を、瓶ごと失敬したというから驚きである。というよりかは、恥ずかしすぎる。


 二人は、同じ方面の男爵の馬車に同乗して帰って行ったとか。


 アマートが言うには、「姪が王太子妃になる」ということを吹聴しまくっていたという。


 吹聴以前に、叔父様は図書館で王太子殿下を殴ったことを忘れてしまっているのかしら?


 二人ともお酒が入っていたから、王太子殿下の顔を覚えていないのかもしれない。


 叔父様にしろ叔母様にしろ、理解しがたいわ。


 二人はいま、謹慎処分を言い渡されて屋敷で謹慎している。


 朝から晩まで飲み続けているみたい。


 二人は、わたしに近付くことが出来ない。接近してはいけないという命令が出されているからである。


 プレスティ侯爵の手配のお蔭である。


 彼らがわたしに暴力をふるおうとした場面を見た人はたくさんいる。実際にふるわれているところは、カーラが目撃している。


 体に残っている痣は、プレスティ侯爵夫人や図書館長も見ているし、ソフィアの屋敷で試着した際にティーカネン侯爵家のメイドの何人かが見ているはず。


 わたしにはあまり自覚がなかったのだけれど、こういうことを虐待というらしい。


 プレスティ侯爵は、その虐待からわたしの身を守る為叔母様と叔父様が近づけないようにしてくれたわけである。


 それだけではない。叔母様と叔父様は、クースコスキ家の財産を不当に使い込んでいる。


 その件についても調査官が調査を開始した。


 いくつかの罪を立証するまでの間、二人は収監されてはいないものの屋敷に謹慎という形にして拘束されているわけである。


 プレスティ侯爵から、おそらく二人は重罪になるだろうときかされている。


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― 新着の感想 ―
[良い点] さらばガブリエル……キミのことは忘れ……る! 3日どころか2日で!(笑) 毒クズ夫婦は、毎回「あ、まだ生きてたんだ…」扱いです☆ [気になる点] 金貸しの『パトリス』さん? […
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