表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
48/133

舞踏会へ

「やめなさい、プレイボーイ。汚らわしすぎるわ。あんたは、アリサには派手すぎる。ディーノ、あんたがエスコートなさい。あんたなら地味だから、まだ釣り合うわ」

「汚らわしすぎる?」


 さすがのアマートも絶句している。


「ソフィア、わたしは大丈夫よ」


 エスコートしてくれる男性なんて必要ない。実際、相手がいないのだから。


「アリサ。残念ながらカーラは出席できない。きみさえよければ、エスコートの練習をさせてもらえないかな?おれもエスコートをしたことがなくって。近い将来、カーラをエスコートすることになる。そのときの為に練習をしておきたいんだ」


 ディーノはほんとうにやさしくて思いやりがある。


 そういうふうに言ってくれれば、わたしもお願いしやすい。


 カーラを見ると、彼女も笑顔でうなずいてくれている。


「ディーノさん。それでは、よろしくお願いします」

「よろこんで」


 アマートにかわり、彼がわたしの手をとってくれた。


 彼が手の甲に口づけをしてくれてから、あらためて手袋をはめた。


「来なさい、プレイボーイ」


 ソフィアは、すでにアマートの腕をつかんで引き摺るようにしてエントランスを出て行ってしまっている。


 こうして、わたしたちはティーカネン侯爵家の四頭立ての馬車に乗り込み、王宮へと向かった。



 上流階級の人々が、続々と王宮に集まってきている。


 舞踏会の開始までまだ間がある。


 人々は、大広間や庭園で思い思いにすごしている。


 王宮に到着すると、アマートとディーノはソフィアとわたしを大広間までエスコートしてくれた。だけど、近衛隊の隊長に呼び出しを受けたということで慌ただしく去ってしまった。そして、ソフィアは貴族子息を求めてどこかへ行ってしまった。


 ティーカネン侯爵夫妻といっしょに、控室でお茶をいただくことにした。


 侯爵夫妻は、あれやこれやと話しかけてくれる。そして、控室に入ってくる貴族に紹介してくれたりする。


 そんな中でも、ついつい王太子殿下のことに思いが飛んでしまう。


 婚約破棄が発表されることより、いまのところは王太子殿下のことばかりかんがえてしまう。


 舞踏会がはじまるまで、不安も怖れも感じずにすんだのは、ティーカネン侯爵夫妻と王太子殿下のお蔭かもしれない。


 そして、舞踏会の開始がもう間もなくとなった。


 ティーカネン侯爵夫妻は、侯爵家としての立場がある。いつまでもわたしに付き合わせるわけにはいかない。


「おつまみをつまんで参りますので、どうかお気遣いなく」


 侯爵夫妻にそう声をかけてから、大広間の端に移動した。


 いまは、こういう公の場からは遠ざかってはいる。昔、出席したことがあったときには、だいたいいつも同じ場所ですごしていた。


 今夜もそのおなじ場所で本番まですごすことにした。


 移動した瞬間、大広間の一画で笑いが起った。


 元婚約者のガブリエルが大笑いをしているのである。その周囲には、公爵家筆頭のラムサ公爵家にお近づきになろうという貴族子息たちが愛想笑いをしている。


 ガブリエルの話は、女性のことが多い。それも、下品な話である。彼と二人きりで話をすることはほとんどなかったから、彼がわたしを相手にしたときにはどんな話をしたかはわからない。だけど、複数人で話をしたときには下品な話ばかりだった。もしくは、女性を貶めるような話である。そのどれもが笑えるような内容ではなかった。


 こうして見ていても、くだらない話をきかされるだけでも苦痛なのに、笑わなければならない貴族子息たちが気の毒でならない。


 ようやく婚約破棄のことが心を占め始めてきた。


 不安と恐怖がじわじわと広がってきた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ