書店を訪問する話
先に結論を言えば、書店に行って書店員さんにお願いすればいいのです。そうすれば、大概の書店員さんは快く置いてくれます。
なので、その書店訪問の方法ついて書きたいと思います。
まず、持ち物。
・注文書
・あればPOP
基本的にこの二つがあれば十分です。
名刺? いらないいらない。
出版社の人だったら名刺を頂いて、人気殺到してて全然お店に入らない! という時に直接頼む為取っておきますが、作家さんの名刺はもらっても、正直役立てられません……。
では、まず持ち物について。
注文書は、編集さんに頼めばデータを頂けると思います。もし、無いって言われたら(そんなのあり得ないだろ……とは思いますが)、自作してでも注文書は持って行きましょう。
なんで? って思われるかもしれませんが、注文書が無いと、書店員が該当書籍を調べて注文書を作るなりして発注しなくちゃいけないのですが、書店員によっては忙しいと後回しになって、結局発注を忘れる事もあります。
なので、置いて欲しい! と強く望むなら、注文書は必須です。
私の場合、今まで訪問された作家さんで注文書有無は半々ぐらいで、一応全て注文させてもらいましたが、注文書あると圧倒的にラクなのです……頼む注文書をおくれ……。
上記で、自作してでも、と書いたので、もし自作する場合は何が載っていればいいの、というと、
・出版社名
・書名
・注文数記入欄
・出版社の注文書FAX番号
・大きな四角□
の以上が最低限です。と、書きつつ、本当はFAX番号無くても調べられるのですが、めんど――ゲフゲフ。
FAX番号は、編集さんに聞けば教えてくれると思います。間違っても、編集さんの所のFAX番号では無く、書店受付用の番号なのでご注意を。
最後の、大きな四角、というのは、書店の取次コードが書かれたハンコがあるのですが、それを押す為のスペースですね。どれくらいのサイズだよ、というと……うーん、五センチぐらいあれば入りますね。そんなに大きくなくて大丈夫です。
まぁ、普通注文書は作ってあるのですがね。出版社によってはホームページからダウンロードできるところもありますが、書店専用ページの中にあったりするので、やはり編集さんに聞いてみるといいでしょう。
で、ここで次の準備。それは、編集さんに書店訪問しますと伝えておく事です。
というのも、訪問して書店員が注文してくれたとしても、出版社が在庫を持っていなければ書店には入りませんので、その辺りの状況含めて確認する為にも、編集さんには一言書店回りをする旨を伝えた方がいいでしょう。
でもその所、詳しくは知らないんだ、だって私は書店員だから……。
でも今まで訪問してくれた作家さん達の持ってきた注文書、出版社作成のものだったから、きっと編集さんに話は通してると思うので。
で、もし重版中だとか、在庫は置いてないとか、色々言われるかもしれません。その時は編集さんに書店周りが効果的かどうか相談してみましょう。
さて、他の持ち物についてですが、POPはあれば書店員が注文した場合、百パーセント使ってくれますし、それによってお客さんが購入してくれる可能性がぐっと高まりますので、あった方がいいです。
これも出版社によっては作っている所もありますが、新文芸ともラノベとも言われるこのジャンル、あんまりPOPを見かけない……。
もし無ければ、これも編集さんに要確認した上で、表紙の画像を名刺サイズぐらいに印刷してラミネート加工したものを持って行くのが無難な所でしょうか。表紙画像等の著作権は出版社が握ってますので、無断でやらない方がいいのですが、売り伸ばす為なので出版社が激オコぷんぷんする事はないでしょうが、念の為にも確認しましょう。
また、POPで最も効果的なのは、自作POPです。つまり、手書き感漂う物ですね。でもこれ、すっごいセンス問われるし、私も苦手なので、POP作成神に教えを乞いたい。
まぁ、POPは無くても大丈夫です。あったらいいな、という物です。
さて、持ち物の用意ができたら、後は書店さんに伺うだけです。
アポ? いりません。
正直に言って、作家さん訪問の為にシフト調整する書店はほぼ無いと思います。
ただ、担当者不在の場合もあるので、どうしても担当者に直接渡したいんだ! という場合は、事前に自分の出した本を是非置いてほしいので伺いたいと思うが、担当者が居る日を教えて下さい、と電話するのもありかもしれません。
でも、そんな事する必要はありません。
というのも、書店にはラウンダーという一部の出版社は担当の書店を回るスタッフが居るところもありますが、このラウンダーさんも、アポ無しで突然来ます。
私が今まで働いている所限定ではないと思うので、書店にアポは不要です。
担当者不在でも、他の書店員に注文書を預けたり、その注文書に一筆「よろしくお願いします!」なんて手書きで一言書き加えるだけでも、後で注文書を見た担当書店員は心を鷲づかみにされて注文を出しますので。
という事で、訪問にアポはいりません。
ただ、訪問する場合は書店員が比較的手が空きそうな時間を狙いましょう。
こればっかりは書店によって変わりますが、基本土日祝日はNG、開店直後も品出しで忙しいので控えて、学生やビジネスマンが多そうなら夕方からも危ないです。平日の昼過ぎぐらいがいいかもしれませんね。
書店に行ったら、少し様子を伺うのもいいと思います。ただ、物陰からじっと書店員の様子を伺っていると、万引き犯かと思って書店員が厳戒態勢に入る場合もあるので、ご注意を。
さて、持ち物を用意して、書店に行ってお店もそこまで混雑してないぞ、と思ったら声をかけるのですが、どの書店員に声をかけるか、という疑問もでるかもしれませんが、誰でもいいです。
が、できればその分野の担当者の方が話は早いので、最初は売り場に行って近くで品出し作業をしている店員がいれば、その人に声をかけるのがいいかもしれません。いなければ、レジにいる書店員に声をかけて、名乗った上で、ラノベ担当者(またはコミック担当者か、新文芸担当者か、お店によって変わります)がいるかどうか聞いてみましょう。
そして無事に担当者に会えたなら、注文書を渡せばオッケーです。不在の場合は、担当者に渡してもらえるように頼んで、注文書を預けましょう。
で、この時のセールストークとして、一つテクニックをお伝えするなら、地元の人間アピールをするといいです。
「実はここの近くに住んでいるのですが、今回書籍を出しまして……」
という感じですね。
というのも、書店で働いているのはほぼ地元の人間です。なので同じ地域の人間だと分かれば、応援してくれます。というか、地元以外の作家さんは来た事ないです。書店周りをするなら、最大でも同じ県内の書店さんで十分でしょう。
え? じゃああんまり意味なくない? と思われるかもしれません。
確かに、首都圏のどデカい本屋と地元の弱小書店なら、デカい本屋の方がアピール力は強いでしょう。ただし、そういうどデカい書店は激戦区です。それこそ私の働いているお店なんかとは比べ物にならない程、たくさんの作家さんが訪れていると思います。
反して、私の働く郊外の弱小書店は、年に数人です。そんな書店なら、ほぼ百%注文を出してくれて、平積みしてくれます。しかも、長く置いてくれます。
でもそれでも売れて一冊、二冊でしょ? と思われるならば、確かにその通りです。
もっとたくさんの人にアピールしたいんだ、という方は首都圏の大型本屋に訪問しましょう。地元が首都圏の人は強いかもしれません。
首都圏は激戦区です、地元民をどこまで応援してくれるかはその書店の書店員の裁量です。