第42話 スキルの検証結果
昨日千里眼を使用した後、あのまま寝てしまった。器用貧乏と合わせると確かに相性はいいが、正直二度と使いたく無い。
目を覚ましてからも、まだ少し頭が重く感じる。
「顔色悪いでヤンス」
湊が心配そうに飲み物を渡してくる。
「ありがとう。でも大丈夫。もう落ち着いたよ」
「今日も色々試してみるでヤンス?」
「そうだね。せっかくスキル使えることわかったから」
昨日散々な目にあったが、僕は今日もスキル検証をするつもりだった。雲水がいれば基本魔物と出会っても負けることはないだろう。ただ、自分の身は自分で守れるくらいにはなっておきたい。
僕はステータスを開くと、取得可能スキルの欄で視線を止める。
青天ノ霹靂。
農業。
裁縫。
「次は何を取るんだ?」
雲水が聞く。
「とりあえず農業と裁縫はすぐとっちゃうか」
農業や裁縫はあれば便利だろう。
取得と念じると、農業に関する知識と農業スキルでやれること、裁縫に関する知識と裁縫スキルでやれること、それぞれの情報が頭の中に流れ込んでくる。
それが落ち着くと、最後に残ったスキルに視線を向ける。
「青天ノ霹靂……」
「吾輩のロマンスキルでヤンス!」
僕はスキルへ意識を向ける。
取得。
その瞬間。
頭の中へ情報が流れ込んできた。
⸻
青天ノ霹靂
視界内にランダム現象を発生させる。
主に雷が落ちる。
ただし、
・炎
・氷
・突風
・回復
・爆発
など別現象になることもある。
敵味方の区別なし。
当たるかどうかも運次第。
⸻
「……」
「どうしたでヤンス?」
「湊、やっぱりこのスキル、使い勝手悪すぎないか?」
「ロマンでヤンス」
「ロマンじゃないだろ」
どう見ても危険物だった。
「またお手本を見せるでヤンス」
湊が言う。
そして。
洞窟の外に出て、少し離れた岩を指差した。
「青天ノ霹靂」
次の瞬間。
バチィッ!!
雷が狙った岩に当たり、岩が弾け飛んだ。
「おお」
思わず声が出る。
「おお!成功でヤンス」
使った本人の湊も喜んでいる。
「感覚的に四割くらいの確率で雷が狙ったところに行くでヤンス。残り6割は事象がランダムでヤンス」
「確率低いのな」
「使いこなせたら最強でヤンス」
まあそう考えたら確かにロマンあるな。
「由良殿もやるでヤンス」
「嫌な予感しかしない」
だけどせっかく取得したのだ。
試さない理由もない。
僕は近くの木を指差した。
「青天ノ霹靂」
発動。
次の瞬間。
僕の3メートル程隣に雷が落ちた。
「……」
「……」
「失敗でヤンスな」
「そうみたいだな」
それにやはり湊よりも威力が弱い。威力も7割か。
もう一度試してみる。
「青天ノ霹靂」
今度は。
ボンッ!
僕の足元が爆発した。
「熱っ!?」
慌てて飛び退く。
「危ないでヤンス!」
「僕が言いたい!」
威力が低かったので幸いにも少し火傷した程度で済んだ。
もう一度試す。
「青天ノ霹靂」
今度は突風森の中を通り抜けた。
四回目はまた小規模な爆発。これも指差した場所とは全然違う場所で起きた。
五回目は二回目で火傷した僕の足が少し治った。
そして、十回目まで試した結果。
分かったことがある。
このスキル。
全然言うことを聞かない。
「なるほど」
雲水が頷く。
「何がだ?」
「さっきと一緒だな。器用貧乏の欠点だ」
「欠点?」
「湊には運の数値がある」
「あるでヤンス」
「由良にはない」
「ないな」
「つまり」
雲水が笑う。
「そのスキルは湊だから使いこなせる」
「運がない僕じゃ駄目ってことか」
雲水は肩を竦めた。
そう言われて。
少しだけ考える。
先程の千里眼もそうだが、特殊固有職のもつ固有スキルはクセが強い。
どれもそう簡単には使えなそうだった。
でも、もしも他のスキルと組み合わせたらどうなるんだろうか。
実際出来るかどうかは分からない。
だけど。
もし運を補うスキルがあるなら。
もし思考能力を強化するスキルがあるなら。
もし足りない部分を別のスキルで埋められるなら。
器用貧乏は、可能性に満ち溢れてる。
「……」
考えると、少し面白そうだった。
でも、少なくとも今は。
僕の持つスキルの中で千里眼と青天ノ霹靂は、
残念ながら『全く使えないスキル』になっていた。




