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幻獣チルドレン  作者: 葵尉
第1章 アース編
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3VS3開幕②

3VS3開幕②


 

 「2人とも飴を1つゆっくり舐めて効果時間を保ちなさい!」


  二アースたちはポケットから出した飴玉を口に入れた。


 「まっじい! いつものトマトよりマズイぞ!」


 これが飴? 

 トマト味だからかな?酸っぱいだけで確かにマズい。


 でも思ったよりは普通の飴だ。

 ポルムの体液を使っているからネバネバしているのかと思ったけれど普通。


 特に変な感じはしない。

 ただ、気のせいかな……体が少し温まった気がする。


 「お前ら! 2つ飲んで一気に決めるぞ!」


 「うおー!」


 ドーサたちは口に含んだ飴を噛み砕いて飲み込んだ。


 2つの班が衝突するその様をバモンは教壇の上から見守る。


 (P液抽出丸ポルムえきちゅうしゅつがんは飴と言われているがお菓子ではなく、人体強化の薬。


 口に入れてすぐに噛み砕いて飲み込めば効果時間は数分で切れる。


 その代わり驚異的なパワーで動ける。


 逆に、飴が自然に溶けるまでゆっくり舐めれば火力は落ちるが舐めている間はそれなりの動きが出来る。


 どんなに上手に舐めても15分以内に口の中から消えるが、15分間は肉体が強化されるのだから長期戦を考えるならそうすべきだろう。


 さて、飴をどのように使うか見物だ。


 それに今回はアースがない。

 日頃アースの力に慣れている彼らにとっては不自由が生じるはず。


 自分が飴だけでどこまでやれるかを知るいい機会だ)


 「レイユ射てー! ロイトは俺と攻めるぞ!」


 細い目の少年は前方にいる少女に向けて矢を連射した。


 そしてその矢が放たれた後ろから、棍棒を持った2人が猛スピードで前方に進む。


 その2人を見てエイドは焦った。


 (あれが飴の効果!? 

 ありえない速度で矢を射ってるし、向かってくる速度も速い!


 でもドミーほどではない。

 けど、僕はまだ体がそんなに早く動かない。


 やっぱりすぐにたくさん飲んだ方が良いんじゃ……)


 『どんな時も私の言うことを信じて』


 ・・・そうだ。

 ニアースさんを信じよう。


 「カインは弓を潰して! エイドは私とここで2人を迎え撃つわよ!」


 「エイド! ニアースを任せたぞ!」


 「はい! カインさん気をつけてください!」


 棍棒を持ったカインは向かってくる矢とドーサたちを避けてその奥──弓を持つレイユの元へと走った。


 「引き返せロイト! あの筋肉バカをレイユとやれ!」


 少女たちに向かっていた2人のうちの1人は、矢を射っている少年の方へとすぐに戻った。


 (速い!  カインさんにもう追いついてる!これじゃあカインさんが挟み撃ちにされ──)


 「エイド行って! カインの援護!」


 「はい!」


 返事をして走り出したけど良いのか!?


 僕がこのまま行ったらニアースさんを1人にしてしまう。


 そして向かってくるドーサさんと戦うことになる。


 1対1だけど飴の効果や武器の違いで、ニアースさんが多分不利だ。


 ニアースさんはナイフ1本。

 ドーサさんは棍棒……2本!?


  でもカインさんが今1対2になりつつある。


 「よそ見してんじゃねえぞ!」


 声に気がついてハッと前を見たらドーサさんの拳が目の前に迫っていた。


 避けきれない。


 「エイド!!」


 エイドは勢いの乗った拳を顔面にくらった。


 紅い髪の毛が舞うと、エイドはニアースの後方に頭から吹っ飛んだ。


 その光景を見て少女は彼の名前を叫んだ。


 教壇の上からバモンも当然それを見てはいたが、特に何もせず少年たちの戦いを見続ける。


 (目の前がボヤけてる。


 あれ?僕はなんで天井を見ているんだろう。


 足が地面についてない。背中が地面についてる。


 そうか、僕は飛ばされたのか。

 早く起き上がってカインさんを援護しないと……)


 結局エイドは起き上がることなく目を閉じてしまった。 


 ニアースもカインも彼の元へ駆け寄りたかったが、彼の方を見ることしか出来ない。


 「1人で俺とレイユを相手にするなんて、流石のカインでもキツいんじゃねえのか?」


 「あっ!? 俺1人で何人分か知ってるのかよ!」


 「それはアースを使ってる時の話だろ!」


 カインは両耳にピアスをつけたロイトの棍棒を相手にしつつ、毎秒飛んでくる矢を寸前で避け続けていた。


 (やっべーな。エイドのやつ寝転がってどうしたんだよ。


 心配だけど2人相手じゃ見に行く余裕ないぜ。


 普通の状態で喧嘩したら5人くらいは相手にしても平気だけど、飴を食った人間は1人が限界だな)


 「ニアレミ! お前の判断ミスで1人死んだな!」


 「死んでいないわよ!」


 「お前は頭もだけど、体の方が弱いんだよ! なんだそのナイフの振り方! 本当に飴舐めたのか?」


 少女は防戦一方。ナイフは攻めるためでなく、左右から交互に襲い来る棍棒を防ぐために振っていた。


 棍棒を振っているドーサは真面目に狙えばすぐにニアースを倒せたであろう。


 当てようと思えば腹や肩に棍棒を当てられる。


 しかしわざと相手が打ち返せるくらいの力で棍棒を振っていた。


 「話す余裕もねえのかよニアレミ!」


 「その呼び方……やめなさいよっ!」


 「やめねえよ! 俺はテメェらが大嫌いだ!」


 (地上()のことも知らないで、のうのうと暮らしてるこいつらが俺は大嫌いだ!)


 レイユ・シテソ:鋭い目をしている。ターゲットを狙う時は更に目が細くなり鋭さを増す。口数は少ないが一言一言が心に刺さる。



 ロイト・フェブ:両耳に三角形(トライアングル)のピアスをつけている。背は大きい方だが小心者。1人で夜の廊下を歩けない臆病者でもある。


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