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幻獣チルドレン  作者: 葵尉
第3章 楽園の終わり編
143/171

見えてきた敗北②


 ジズ陣形

 

 第1地点:三幻鳥クラス 全滅


 第2地点:神獣クラス  全滅


 第3地点:偵察クラス、銃士 交戦中


 第4地点:偵察クラス、剣士 交戦中


 見えてきた敗北②


 

 ────対ポルム組織ジズ 洞窟前 第4地点



 三幻鳥クラス、神獣クラスが2体のニューポルムに突破された。


 第3地点、第4地点でもジズ本拠地の後方からのドミーの奇襲により命が散り始めた頃。

  

 エイドはようやくカインたちがいる洞窟前を視界に入れた。


 しかしそこでの光景は自分がこの場所を離れた時とは比べものにならないほど残酷。


 人間かドミーか分からない肉の破片が、飛び散った絵の具のように洞窟周辺の壁や地面に散らかり、茶色の地面は赤い床に変わっていたのだ。


 「──え?」


 (洞窟前に着いて足が止まった。

 そこには誰もいなかった。あったのは死体。


 数を数えることさえ出来ないほど原型を留めていない。


 大丈夫。大丈夫だって。

 制服の死体なんかあるわけ──


 何かを踏んで滑りそうになった。

 足を上げてみるとそこには見慣れた赤い制服が腕ごと落ちていた。


 膝が崩れそうになったが踏ん張った。

 だってこれがカインさんのと決まったわけじゃ──)


 「岩の果実(ロック)!」


 なんども聞いた声が突如、洞窟の中から聞こえた。


 ロック──これはカインさんの能力の名前。


 洞窟だ、洞窟の中にいるんですね!


 止まっていた足は再び回り出した。

 カインさんが無事なのを知りたい。それだけの気持ち。


 でも洞窟の中を見てさらに残酷な光景を見せられた。


 洞窟の入り口から中まで道を作っている死体の床。


 これは服を着ているから人間。逃げ遅れたのか……。


 僕は足元を見て油断していた。

 どうしてカインさんが洞窟の中で能力を使ったのかをよく考えていなかった。


 声が聞こえて安心してしまっていたんだ。


 洞窟の中でロックを使ったということは、ここにはドミーがいる!


 「グバァァ!!」


 背後から襲いかかる獣の声。

 それを間一髪でかわした。獣の正体は犬のドミー。

 

 やっぱり飴を舐めていて良かった。

 舐めていなかったら今、頭を取られていた。


 「アースオブジズ! この炎で焼けてしまえ!」


 変身をし終わって一歩を踏み出した僕は真っ黒な物体につまずいた。焼けた何かだった。

 

 ──こうやってアースを発動したのは何回目だろう。


 僕は何度自分の体を傷つけたんだろう。


 傷は治る。傷つける前よりもむしろキレイになる。


 でも、それだけじゃないか。

 世界が何か変わった?僕は世界を良くするために──ダメだダメだ。


 考えるのはよそう。今は戦いの最中だ。

 さっきみたいにドミーが・・・なんだあれ?


 前方に黒い塊が見える。

 でも止まっていない。小刻みに動いてる。


 あんなもの洞窟の中にはなかった。

 何か聞こえてくるので耳を澄ました。


 「ウウゥ」と唸る獣の声が前方から聞こえてくる。


 あれはドミーだ。ドミーの塊だ。

 なら、斬らないと。燃やさないと。


 「ツバキ。炎を導く道になれ!」


 自分の中にある映像(イメージ)を口にするとその映像の通りになる。


 今もそう。炎を刀に集めてその刀を振り下ろす。


 すると炎が一直線に前へ前へ突っ込んで最後には、爆発する。


 これであそこのドミーは終わ──しまった! 


 ここは洞窟!煙で何も見えな──


 「龍の手(リヴァイレンジ)!」


 聞き慣れたもう一つの声とちょうど洞窟の幅くらいある水流が奥から迫りくる。


 このままじゃ流される。いや、吹っ飛ばされるかも。


 「ニアースさん!」


 とっさに前へツバキを構えた。

 この水流に耐えられるか分からなかったが、水は刀の切っ先で真っ二つに分かれて僕には当たらなかった。


 「何してたのよエイド!」


 「バカやろうめ! どこ行ってた!」


 水が去った後目の前に現れた2人の怒号が耳をぶった。


 僕は勝手な行動をしたんだ。殴られるのも覚悟しよう。


 「心配したんだぞ!」


 「無事で良かったわ」


 頭を下げていたらヒンヤリとする鱗で抱きつかれ、岩の手にすり潰される勢いで頭を撫でられた。


 「ニアースさん。カインさん。すいませんでした」


 「ニアース班全員揃ったな?」


 頭を下げていると聞こえてきたのは知らない声。


 いや、聞き覚えのある声。

 顔を上げるとそこには知っている人がいた。


 「ど、ドーサさん!?」


 「ようエイド・レリフ」

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