エピローグ
「・・そうね、会ってから話そうと思ったんだけど、電話でもまあいいか。多分、あなたが思っているとおりよ。あっくんにも母さんにも、ある特殊な力があるの。俗に言う超能力なんだけど、全く役に立たない力なの」
「えーっと、もしかして、瞬間移動、テレポーテーションっていうやつ?」
「そう、そう、よく知ってるわね。ただし、私達の能力は、コントロールが効かないのよ。いつどこに飛ぶか判らないの。多分、あっくん、今日なにかのきっかけで頭が働かなくなったんじゃない?それが前兆なの」
「!!、なった、なった。自転車に乗ってたらやたら気分が良くてぼーっとしたような感じがして・・気がついたらここだった」
「そう、そう、でも行き先も判らないし、突然始まるし、迷惑なだけの力なのよ」
母の「そう、そう」というセリフがやたらと耳に残った会話だった。
役立たずの超能力者、僕達はどうもそういう人種らしい。
しかも遺伝するとのこと。
今夜泊まる町の名前を母に告げると、僕はスマホをポケットにしまい、自転車のハンドルを握ったまま、今通ってきた道を振り返った。
今まで見たこともないような真っ直ぐな道だった。
もやもやした疑問はなくなったものの、この先どうなるんだろうと漠然とした新たな不安が生まれてきた。
暖かい5月の北海道の涼風が、僕の髪を揺らしている。この風のいたずらでここまで来たのかもしれない。
まあ、とりあえず今回は、この道を見れたんだからいいかな、と自分に言い聞かせていた。
僕の銀色の自転車も5月の陽の光を浴びて満足そうに輝いていた。
END




