第12話 悪役令嬢モノの世界らしい
「え、あ、本当ですか?」
「本当ですよ……」
アリス様はまさに驚愕、といった表情を浮かべる。窓辺で君が代を歌うくらいだから、私が異世界転生者だとあたりをつけていたんだろうけれど、やはり驚くことらしい。
いや、もうね。どうにもならないよね、これは。
乙女ゲームなり、漫画なり小説なり、何かしらの世界だと言うんだから、第一王女かつ王位継承権第一位の私が「あ、知らないんで。関わらないでください」なんて出来るわけがないんだよな!
蛇足だが我がストレリチア王国は初代国王が女性であったことが関係して、男女平等が進んでいる国である。むしろ女尊男卑みたいな気すらある。
なので貴族位なり王位なりの継承権は男女平等で上から順番、もしくは実力主義で決まる。
我が国の王位は男女同権かつ上から順番。私、ルーカス、ロイの他に兄弟がおらず、またお父様の兄弟はみな臣籍に下っているので必然的に私が次世代国王となる。
そもそも王女じゃなくても何か秘密を知っていそうな人物──アリス様と接触している時点でもう逃れられない。
そう、例えば突然部屋に侵入されるとかね!
「それで、ここはなんの世界なんですか?」
「知らないんですか?」
「全っ然、全く、心当たりがなくてですね……」
まあ普通は何かしらの情報を持って送り込まれるもんね、異世界転生って。生憎私はその範疇ではなかったけれども。
アリス様が何とも哀れなものを見つめるかのような視線を寄越してきた。やめてくれ、悲しいじゃないか。
「この世界は乙女ゲームを舞台とした悪役令嬢モノの世界なんです。」
「つまり、ラノベの世界ってこと?」
「そう言うことです。あの凄く申し訳ないんですけど、私タイトル憶えてなくて……最近のライトノベルって題名長いじゃないですか……」
「ああ……」
もちろん設定とか内容はしっかり憶えてますよ! と自分で自分をフォローするアリス様。わかる、確かにたくさんの人に親しんで貰うために最近はタイトル長い作品が多かったもんね。1度ブックマーク押しちゃえばそのあとは題名とかちまちま入力しなくて良いし。
是非ともこれから作品を書かれる作者様は、転生者達に優しいタイトルをつけてあげて欲しい。
「それで、具体的な内容は?」
悪役令嬢モノのラノベと一口に言っても種類は様々だ。苦難の中何とか生き抜いていく作品、最初から溺愛モードの作品。あとは対象年齢とかも重要になってくる。
「それは……最初に言っておきたいんですけれども……」なんて、アリス様は前置きして、恐る恐る口を開いた。
「国が、滅亡します」
「えっ?」
……えっ?
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