表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したら三国乱世だった件  作者: レモンティー


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

9/49

第九章:武の者が認めるということ

朝。

まだ霧の残る軍営。

転生者はいつも通り、兵糧の確認をしていた。

そこに、重い足音が近づく。

一つじゃない。

二つ。

いや、三つ目の“圧”もある。

振り返る前から分かっていた。

(来たな……)

■張飛

最初に声を出したのは張飛だった。

「おい」

短い。

だが空気が揺れる。

転生者は振り返る。

「はい」

張飛は腕を組んで立っている。

顔は怖い。

だが怒ってはいない。

「最近よ、兵の顔が変わってきてる」

転生者は黙る。

張飛は続ける。

「前は“生きてるだけの顔”だった」

「今は違う」

一瞬、間が空く。

「……腹減ってる顔だ」

転生者は少しだけ目を瞬く。

(それ、良いのか悪いのか分からない評価だな)

だが張飛は笑う。

「まぁ、悪くねぇ」

その一言は、張飛なりの最大級の肯定だった。

■関羽

次に現れたのは関羽だった。

空気が一段重くなる。

関羽は言葉が少ない。

だが、その一言が重い。

「お前か」

転生者は背筋を正す。

「はい」

関羽は兵糧の樽を見る。

そのまま、手を伸ばし——少しだけ中身を見る。

「……崩れないな」

それだけ。

張飛が横で笑う。

「兄者にしては褒めてるな」

関羽は否定しない。

そして転生者を見る。

「兵は、飯で崩れる」

短い言葉。

だが核心だった。

「それを防いでいるのは、お前か」

転生者は答える。

「はい」

関羽はしばらく黙る。

そして——

「悪くない」

それだけ言って背を向ける。

■“評価”ではなく“認識”

二人が去ったあと。

張飛がぽつりと言う。

「兄者に“悪くない”って言われるのは、なかなかだぞ」

転生者は苦笑する。

「戦ってないんですけどね」

張飛は鼻で笑う。

「戦ってるだろ」

「別の場所でな」

その言葉が、妙に重く残る。

■劉備の一言

その夜。

劉備が焚き火の前で言う。

「お前はもう、ただの孤児ではないな」

転生者は少し黙る。

「それは困りますね」

劉備は笑う。

「なぜだ」

「責任が増えます」

劉備は焚き火を見つめたまま言う。

「それが“人の上に立つ”ということだ」

その言葉で、空気が少し変わる。

転生者はまだ気づいていない。

自分が今やっていることは“改善”ではない。

“軍の価値そのものを書き換える行為”だということを。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ