パスタ
VRゲームの日間ランキングに乗ることが出来ました。
お読み頂いている皆様、誠にありがとう御座います。
「ねぇーいいだろ? スキルの独占って良くないと思うんだよなぁ」
「いやいや、こっちも契約している生産者の人に作ってもらってるからさ。
別にフリーの人だったら、その人の宣伝も含めて全然ありなんだけど、
今回のはだめだよ」
アナスフィのゲーム内、【77】のビル内にて、
二人の人物が話し合いをしていた。
一人は現在、白銀の鎧を脱いでラフな格好をしているアーシェスだ。
元々夜に視聴者参加型のフリー対戦企画を予定しており、
昼は空いていた事もあって、呼び出しを受けていた。
その呼び出した人物こそ、先日のアーシェスVSトリエスティのバトルを見ていた
パスタである。
曲芸師というアナスフィでも人気のジョブを使っている彼女は、
主な配信は正当なバトルをメインにしたものでなく、
多種多様なスキルを使い、相手をおちょくる事をメインとした戦い方で
人気を誇っているライバーである。
見た目の容姿と可愛らしい声とは裏腹に相手を徹底的に罵倒して戦い、
負けそうになれば小物プレイをするというまさに”ピエロ”のような
ロールを素で演じている事もあり、アーシェスよりも登録者数が多い、
77の稼ぎ頭の一人でもあった。
「いやぁ、前からアー君のスキルが面白い方向になってきてさ。
ずぅーっと気になってたのよねー。
前の鳥君とのバトルも見たよー!
実は視聴者の人達と同時視聴してたんだよね。
可変型スキルといい、目から出すスキルといい。
まさにっ!私好みのスキルッ!!」
手を上げてオーバーに喜ぶパスタを
アーシェスは困った様子で見ていた。
配信中と一切変わらない様子の彼女。
これが演技なのか素のリアクションなのか
同じ事務所にいるアーシェスでさえ、判断に困るものであった。
「だからさぁー。
アー君。スキルの独占は良くないよ。
同じ事務所なんだし、共有してもよくなぁーい?」
「同じように生産プレイヤーと独自契約しているライバーいるじゃないですか。
なんで僕の所ばっかりに突っかかるんです?」
「それは、君のスキルが一番面白いと思ったからさ!
エフェクトもかなり力入れてるよね。
私あそこまでパーティクル描写が増やせるなんて知らなかったわ。
しかも、それぞれの速度も消えるまでの寿命もランダム設定されてるし、
任意の動きに追従させているように見える。
あれ、既存のSCじゃ出来ないエフェクトだよね?」
(―――随分と鋭いな)
パスタは今、アーシェスにとって一番触れられたくない部分に触れようとしている。
「結構調べたんだよね。
私のお抱えのスキル生産者を集めて会議もしたよ。
アー君のスキル、正確に言えばエフェクトは再現できるかってさ。
そしたらね、無理って結論になったの。
驚きでしょ?
単純な技術力が高いってのもあるそうだけど、
そもそも普通の生産者では持っていないエフェクトを使ってるって言ってたわ。
さっき話した、パーティクルの細かい調整も、多分もっと色々な機能を含めて、
制作は無理って結論になったのよ。
結論からいうとさ」
「パスタ、いい加減な憶測はやめて―――」
「あれランキング報酬で貰えるSC拡張パック、多分だけどさ
シリーズⅠ~Ⅹまで全部持ってる職人なんじゃないかって結論になったわ。
そんな人物かなり限られてくるんだけど」
シーズン終わりにランキング上位に配られるバトルポイントは
ランキング報酬として上位のプレイヤーは得られる。
もちろん、ゲームを優位に進めるようなアイテムはない。
しかし、プレイヤーのスキンや街で使えるビルドアイテム、
そして、パスタの話した生産用の見た目をより調整できるアイテムが
多くあった。
その中でもシリーズとして分けられたアイテムは数多くある。
しかし、シリーズ最終であるⅩナンバーを持っているプレイヤーは
本当に一握りだ。
そう、常時ランキングのトップ10いたようなプレイヤーくらいである。
それくらい入手するポイントが高かった。
「分かったよ、パスタ降参だ。
でもただじゃだめだ」
これ以上会話を伸ばしても碌な事にならないと悟った
アーシェスは妥協案を提示する事にした。
「もっちろん!!!
私も意地悪するつもりはないんだよ!
別にただで寄越せとか、配信である事ない事いうとか
そういう脅しをするつもりじゃなくてね。
そんな貴重な生産職をアー君だけが囲うのはどうなの?って話よ!
だから、こうしない。
3対3のチームバトルやって勝った方にお願いを聞くってのはどう?
私はアー君のスキル生産者を紹介して欲しい。
それか、アー君を通じてでもいいからスキルを作って欲しいの!
アー君が勝ったら前にお願いされてたアレでいいよ」
「―――――やっぱり君が持っているんだね【虚】スキル」
「うん!
知り合いに譲ってもらったの。
アー君これ、欲しかったんでしょ?
私が負けたらこれとアー君の魔眼スキル交換しよっ!」
目線が鋭くなっていた自身の顔を困ったように目じりを下げた。
「そこは譲ってくれるんじゃないのかい?」
「いやよ、どうしても欲しいもん!」
そうして、アーシェスは不本意ながらパスタの提案に折れることとなった。
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