ステータス異常
「初めまして……シラヌイ君と同じ、異界の民のシロヤマです。【守】の権能を司る【守王】です。」
「あたいはラヴーナ。まぁ、あんまり喋るのは得意な方じゃないから拳で語るさね。」
「わたくしはマーリア。得意魔術は精霊魔術。よろしくね。」
「……あたしはルナ。こっちがアシュリーちゃんで、この人がローナちゃん。これからしばらくの間、よろしく。」
紛争地帯、亜人領。そこでルナールたちはシラヌイのパーティと一時的に行動を共にすることになった。
経緯は魔族領に彼らが行くことになり、人手を募ったところでアシュリーの回復魔術に目を付けたシラヌイの誘いに3人が会議をした結果、乗ることになったからだ。
その乗った理由は
魔族領に行くには絶対的な戦力不足だったこと。
復讐対象が自分から移動して今村の下へ飛び込むのであれば復讐にやって来る可能性が高いこと。
パーティメンバーのクルルの基本的な行動範囲が同じになっていることから合流した可能性が高いということ。
が大きな理由として挙げられ、誰もそれに異存はなかったことで可決された。
「挨拶も済んだところで……行こうか。」
「せっかちだな……」
「ですが、魔族領の広大さを考えると賢明な判断です。紛争地帯だけでも横断するのに1週間は掛かると見た方が良いですからね……」
すぐに出発する雰囲気の一行の中でアシュリー達は決意を固めた。
「さて、クルルよ。」
「なーにーなのー?」
「俺は、一体何になったんだろうな。」
「どーかしたなの?」
「……まぁ、これを見てくれ。【ステータスクオ】」
今村は朝起きて何だか体が怠いな……と思いつつステータスを見て笑っていた。
イマムラ ヒトシ (17) 魔 男
状態:肉体改変中
命力:8000(現在2000)
魔力:10000(現在3000)
攻撃力:9000(現在3000)
防御力:8000(現在2000)
素早さ:8000(現在2000)
魔法技術:10000(現在3000)
≪技能一覧≫
【特級技能】…【玉石】【悪魔王の方途】
【上級技能】…【言語翻訳】
【中級技能】…【気配察知】【複魔眼】
【初級技能】…【奇術】【水棲】【調合】
≪称号一覧≫
【不羈なる悪魔王】【戦場の悪夢】【真玉遣い】【異界の超越者】【薬師】
現在所持金…200万G
こんな感じで、朝起きるとステータスがさっぱりしていたのだ。
「いや、魔王はいいんだ。……種族、魔って……何? 属性とかじゃないの? つーか続けると何か間男みたいになるじゃん……」
「なのなの。ところでごしゅじんさまークルルも、すてーたすがへんなの。よめないからよんでなの。」
「……あぁ、まぁ読むけど。」
リアクションが非常に薄かったので何となく自分以上の凄いことがあるのかと期待して今村はクルルのステータスを見る。
クルル・フォーゲル・ラシュランカー (0) 天使 女 Lv.58
状態:保有者→イマムラ ヒトシ
及び【玉成】、発情!
命力:1838(現在3676)
魔力:1654(現在3308)
攻撃力:2104(現在4208)
防御力:1862(現在3724)
素早さ:2312(現在4624)
魔法技術:1858(現在3716)
≪技能一覧≫
【上級技能】…【人化術】
【中級技能】…【嵐魔術】【近接戦】【魅了】
【初級技能】…【歌唱】【飛翔】【特定探知】
≪称号一覧≫
【誠忠鳳凰】【無邪気な堕天使】【傾城の美幼女】【殺戮幼姫】
所持金…8万G
「……ん?」
「なーのー……ねー……クルル、へんなのー」
今村はステータスを見比べた。
「……あれ、負けてる……? ヤバいんじゃ……」
「ねー……ねー……あついよぉ……ごしゅじんさまぁ……」
取り敢えず、今村は無言で拘束に掛かる。だが、
「……改変中は、スキルも使用不可……? そもそも元となった【技能】がないから行使が……」
「クルル、なんであついのにおよーふくきてるなのー……?」
「えぇい……発情期ならその辺の何か変な鳥みたいなのとヤラせてればしばらくして治るだろ……放り投げるとするか。【玉壁】解除。」
開かなかった。
「……へ?」
「ねー……いま、ごしゅじんさま、はつじょーきっていったなの?」
無視する。そんなことより【玉壁】が開かないことの方が問題だ。
「この辺りの魔獣が強いから強烈な【玉壁】を展開したが、まさか自分でもその値を上回ってないと開かないとかそんなふざけた話じゃないよな……?」
「ねぇねぇ、クルル、はつじょーきなの? じゃあ、こどもつくんないとだめなの。ごしゅじんさまー……あいしてるなのー」
「……オラァッ!」
ノーモーションで気絶させるために動いた今村。だが、それは哀しくもクルルによって普通に受け止められる。
「なのぉ……? そーいうのが、いいなの……?」
「……ふっ!」
捕まった。そこから今村はクルルの手を引いて大きく弧を描かせて回し、回転投げをしようとしてがっちり足でホールドされる。
「クルルルル……はぁ……んっ……」
「ぅおっ!」
そのまま今村をフランケンシュタイナーでベッドに倒したクルルはマウントポジションからにっこり笑って今村の口に濃厚なキスをする。
「なのぉ……ぁぅ……」
「……うわ…………」
「たりない、なの? んぅぅ……はっ……ぁっ……おっきく、してー?」
【傾城】の能力を解除するだけでなく本気で行使してくるクルル。視線を逃さないようにしっかりと顔を近付けて再び舌を絡める。
そんなクルルに対して今村はクルルの舌を噛み切りにかかるが、硬くて噛み切れない。
「えへぇ……きもちいぃなのぉ…………もう、はじめるなの……」
今村は悩んだ。目の前にいるのは元の世界どころかこの世界でも見たことがない程愛くるしい女の子だ。その思考を奪うほどの美貌は間違いなく本物。ここまで一途に想い続ける可愛い子はいないだろう。
その魔手は今まさに迫って来ておりこのままでは間違いなく性的な意味で食われる。だが、起死回生の手を今村は有しているのだ。
ただ、それはあまりにもリスクの大きい物。
「仕方ない……だが、あれは最終手段にして……殺す気でぶっ潰す……久々に加減なしでやるが……体、怠いけど大丈夫か……?」
「なのー……ごしゅじんさまの、おっきぃ……クルルルル……はいるかなぁ?」
「本気出すと……自前の筋肉で……骨が折れるからな……だから、あんまりやりたくないんだがぁっと!」
本気を出した今村。だが、それは逆効果だった。
「あれ? 何か、更に力が抜け……」
「ありがとーなのーズボンとパンツ、とるね?」
「…………【玉条】!」
「効かないなのー……」
割と奥の手で必殺技的な感じで残しておいた技も簡単に打ち消された。
「あぁ……お前、覚えてろよ……?」
「なの。いっしょーわすれないなの……おもいでのこなの……」
「いや、やっぱ忘れろ。」
今村は、唾を嚥下して覚悟を決めた。その姿を見てクルルは天使の微笑を浮かべて全てを包み込むかのように再び優しくキスをする。
「じゃあ……」
「いっくぜぇ……【金玉】!」
痛みは、なかった。だが……貞操を守るために大切な物をほんの僅かな時間だけとはいえ失ってしまった。
「……死にたい……こんな世界に来たからこんな目に…………」
今村は強く王女に復讐を誓った。
イマムラ ヒトシ (17) 魔 男
状態:肉体改変・改造中
命力:10000(現在1500)
魔力:10000(現在2000)
攻撃力:10000(現在2000)
防御力:10000(現在1500)
素早さ:10000(現在1500)
魔法技術:12000(現在2000)
≪技能一覧≫
【特級技能】…【玉石】【悪魔王の方途】
【上級技能】…【言語翻訳】
【中級技能】…【気配察知】【複魔眼】
【初級技能】…【奇術】【水棲】【調合】
≪称号一覧≫
【不羈なる悪魔王】【戦場の悪夢】【戦屍蛮行】【真玉遣い】【異界の超越者】【薬師】
現在所持金…200万G
【不羈なる悪魔王】…ユニークタイトル。【技能】改変、及び肉体改変
【戦場の悪夢】…ステータス補整
【戦屍蛮行】…ステータス補整 肉体改造
【異界の超越者】…成長に大補整




